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このページは, 薬剤師国家試験やCBTのために「一から薬理学を学ぶ方」を対象としての解説を行います。
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「全速力で走ると心臓がバクバクした」といった経験はあるでしょう.
これは, 身体中の筋肉に血液を回すために心臓が心拍数を上げたということです.
それでは, 「私の心臓よ, 心拍数を上げるのです!」というような意識をしましたか?
おそらく答えはNoでしょう.
「では, なぜ意識もしていないのに心拍数が上がったのでしょうか?」
…
それは, 身体中の張り巡らされている自律神経が上手に制御しているからなんです。
自律神経とは, 交感神経と副交感神経から構成されており, この神経が様々な臓器を制御することでヒトは生存しているのです(図1).
そして今回は, 自律神経の中でも交感神経についてご紹介します.
まず, 走った後の心拍数の増加について考えてみましょう。
走ることによって, 交感神経が興奮し, 交感神経節を経て交感神経末端まで神経興奮が伝達されます.
「では, 神経末端から心臓にどのように神経興奮が伝わるのでしょうか?」
神経が臓器を制御するためには,制御情報を伝えるための手段が必要になり, 自律神経の場合だと, 情報伝達物質になります.
交感神経では, その情報伝達物質は『アドレナリン・ノルアドレナリン』といいます.
『アドレナリン』は副腎髄質から分泌され, 血中に入ることで全身のアドレナリン受容体に結合し, 制御が行われます.
一方, 『ノルアドレナリン』は自律神経末端から放出され, ヒトの臓器に存在する受容体に結合することで, 制御が行われます.
次に, 神経末端に興奮が伝達された後, どのようにしてノルアドレナリンが放出され, 心臓に情報伝達するかについてご紹介します.
図2は, 交感神経末端と心臓表面の部分を拡大部分になります.
※図表のβ1受容体は, アドレナリン受容体になります.
(下記で詳しく説明します.)
という流れで伝わります.
ちなみに, 放出されたが, β1受容体に結合することなく余ってしまったノルアドレナリン(図3)は,
といったメカニズムにより取り除かれます.
ここで, 「えっ, α2やらβ1受容体ってなに?」と思ったあなた!
「大丈夫です!」
次に, α2, β1受容体を含む, 自律神経受容体のサブタイプについてご説明します.
今回は, 心臓を例に解説をしたため, 図表でもアドレナリン受容体をβ1受容体と表記しました.
しかし, ひとえにアドレナリン受容体といっても複数の種類があり, その種類(=サブタイプ)によって作用する器官が異なります。
次の表は, サブタイプがどの器官に影響をするかを示した一例です.
※あくまで代表的な器官のみです.
詳しくは, 参考書にて確認してください.
サブタイプ名 | 支配を受ける器官 |
---|---|
α1 | 血管(収縮), 瞳孔(散大), 立毛 |
α2 | 神経系(ノルアドレナリン遊離抑制) |
β1 | 心臓(収縮), 子宮平滑筋(弛緩) |
β2 | 気管支平滑筋(弛緩), 骨格筋血管(弛緩) |
表1:アドレナリン受容体のサブタイプと支配を受ける器官の一覧
ノルアドレナリン
→α1, α2, β1受容体に作用
※他にもサブタイプはありますが, 国家試験ではこの4種類が登場します.
例えば, アドレナリンを身体に静注すると…
アドレナリンがアドレナリン受容体(α1, α2, β1, β2受容体)に結合するため,
心臓の動きが活発(β1)になり, 血管が収縮(α1)することで血圧が上がります.
また, 気管支が広がり(β2), 骨格筋の血管が弛緩(β2)することでを流れる血液量が多くなります。
つまり, 身体を動かすには最適な条件(昔だと狩り etc)が整うわけです.
そうしたことから, 交感神経は『昼の神経』とも呼ばれます.
交感神経の興奮→Ca2+チャネルが開口→神経細胞内のCa2+が増加→シナプス小胞が細胞膜と融合→小胞内のノルアドレナリンが放出→器官表面のアドレナリン受容体に結合→器官に影響が出る
交感神経の興奮→副腎髄質からアドレナリンが放出→血液中にアドレナリンが放出→血流に乗って各器官のアドレナリン受容体に結合→器官に影響が出る
この2つの働きが起こることによって, 『昼の神経』として条件が整うわけです.
いかがだったでしょうか?
今回は, 自律神経がアドレナリン受容体にどのように作用するかをご紹介しました.
ココが分からないといったことがありましたら, Twitter・コメント欄(スパムが多くてあまり確認できていませんが)でご連絡お待ちしております.