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【2024年11月12日発売】ザビセフタ配合点滴静注用(アビバクタムナトリウム/セフタジジム水和物)の特徴・作用機序

開発の経緯について

世界的に抗菌薬に対する耐性菌が増えており、本邦においても基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生腸内細菌目細菌やカルバペネム耐性腸内細菌目細菌、薬剤耐性緑膿菌といったグラム陰性菌の耐性出現が報告されている。これら腸内細菌目細菌及び緑膿菌は、β-ラクタマーゼを介することが耐性化の原因のひとつである。世界的に抗菌薬に対する耐性菌が増加している中、薬剤耐性を示すグラム陰性菌による感染症に対し、新たな治療選択肢を提供するためにザビセフタの開発が進められた。
ザビセフタ配合点滴静注用(以下、本剤)は、新有効成分となる β-ラクタマーゼ阻害薬であるアビバクタムと、1978 年に英国で開発されたセファロスポリン系抗菌薬であるセフタジジムの配合剤である。アビバクタムは、クラス A[ESBL や Klebsiella pneumoniae カルバペネマーゼ(KPC)など、クラス C の β-ラクタマーゼに加え、一部のクラス D の β-ラクタマーゼ(OXA-48 カルバペネマーゼ)の活性を阻害する。なお、アビバクタムはクラス B のメタロβ-ラクタマーゼに対する阻害作用は示さない。
海外では、複雑性尿路感染症(cUTI)、複雑性腹腔内感染症(cIAI)、人工呼吸器関連肺炎(VAP)を含む院内肺炎(HAP)に対する治療薬として、アストラゼネカ社及び Forest Research Institute社(現 Abbvie 社)により共同開発され、2015 年 2 月に米国で、2016 年 6 月に EU で承認を取得した。本邦においては、cIAI 患者を対象とした国内第Ⅲ相試験を追加実施し本剤を開発した。
これらにより、本邦では「本剤に感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌」を適応菌種、「敗血症、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍」を適応症として 2024 年 6 月に承認を取得した。

作用機序

本剤は、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌に対して MIC90値 8mg/L 以下で抗菌作用を示す。
アビバクタムは非β-ラクタム系β-ラクタマーゼ阻害薬であり、β-ラクタマーゼと共有結合を形成し、加水分解に対して安定な付加体を形成することによりβ-ラクタマーゼを阻害する。また、基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)、Klebsiella pneumoniae カルバペネマーゼ(KPC)型カルバペネマーゼ及び AmpC 型β-ラクタマーゼを含む Ambler クラス A*及びクラス C のβ-ラクタマーゼを阻害する。さらに、セフタジジムの加水分解への関与が低いクラス D のカルバペネマーゼである OXA-48 も阻害する。セフタジジムは細菌のペニシリン結合蛋白質(PBP)に結合し、細胞壁のペプチドグリカン合成を阻害して溶菌により殺菌作用を示す。
セフタジジムが抗菌的に作用する PBP は細胞膜の外側表面に局在しているが、細胞膜の外側に細胞外膜を有するグラム陰性菌では、細胞膜と細胞外膜の間となるペリプラズムで、セフタジジムに曝露される。
*アビバクタム/セフタジジムは PER 又は VEB 型β-ラクタマーゼ(Ambler クラス A)を産生する緑膿菌に十分な抗菌活性は示さない

製品情報

商品名ザビセフタ配合点滴静注用
一般名
(洋名)
アビバクタムナトリウム/セフタジジム水和物
(Avibactam Sodium / Ceftazidime Hydrate)
承認年月日2024年6月24日
発売年月日2024年11月12日
メーカー製造販売:ファイザー株式会社
名前の由来β-ラクタマーゼ阻害剤のアビバクタム(Avibactam)がセフタジジム(Ceftazidime)に加わるこ
とを表現して命名された。
ステムアビバクタムナトリウム
-bactam:β-ラクタマーゼ阻害剤
セフタジジム水和物
cef-:抗生物質、セファロスポラン酸誘導体

[こちらも参照:ステムで薬の名前を暗記!【一覧リスト】薬が覚えられない人必見!]

効能又は効果

〈適応菌種〉
本剤に感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフルエンザ菌、緑膿菌

〈適応症〉
敗血症、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍

禁忌

・本剤の成分又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者
・他のβ-ラクタム系抗生物質(ペニシリン系、モノバクタム系、カルバペネム系等)に対し重篤な過敏症(アナフィラキシー等)の既往歴のある患者

用法及び用量

通常、成人には1回2.5g(アビバクタムとして0.5g/セフタジジムとして2g)を1日3回2時間かけて点滴静注する。なお、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍に対しては、メトロニダゾール注射液と併用すること。

注意

腎機能障害のある患者(CLcrが50mL/min以下)に対しては下表を参考に本剤の用量を調節すること。

代謝・代謝酵素について

アビバクタム及びセフタジジムはほとんど代謝を受けない 。

食事の影響

該当資料なし

副作用(抜粋)

重大な副作用として、ショック、アナフィラキシー、クロストリジウム・ディフィシレ大腸炎、急性腎障害等の重篤な腎障害、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少、溶血性貧血、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(StevensJohnson 症候群)、間質性肺炎、PIE 症候群、肝炎、肝機能障害、黄疸、精神神経症状があらわれることがある。主な副作用は下痢、悪心等が報告されている。

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情報更新日:2024年11月

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