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【2025年1月15日発売】ファダプス錠10mg(アミファンプリジンリン酸塩)の特徴、作用機序

みなさん、こんにちは。今回は2025年1月に新たに発売されたランバート・イートン筋無力症候群治療薬「ファダプス」について、簡単にまとめました。

はじめに:ファダプスとは

ファダプス錠10mg(一般名:アミファンプリジンリン酸塩〈Amifampridine Phosphate〉)は、ランバート・イートン筋無力症候群(Lambert-Eaton Myasthenic Syndrome:LEMS)の筋力低下改善を目的とした内服薬です。

LEMSは、神経筋接合部における自己免疫性疾患で、2017年の推定受療患者数は348人とされる稀少疾患(希少疾病)です。主に抗P/Q型電位依存性カルシウムチャネル(Voltage-Gated Calcium Channel:VGCC)抗体が神経終末へのカルシウム流入を阻害し、アセチルコリンの放出が障害されることで、筋力低下・腱反射低下・自律神経障害などの症状を引き起こします。

また、50~70%の患者に悪性腫瘍(特に小細胞肺がん)が合併する傾向があり、予後は腫瘍の有無に大きく影響されます。既存治療は対症療法が中心であり、ファダプスは日本初の承認アミファンプリジン製剤として、治療の選択肢拡大に寄与する新薬です。

製品概要

作用機序と特徴

ファダプスは、電位依存性カリウムチャネル(Voltage-Gated Potassium Channel)を遮断することで、神経筋接合部における脱分極時間を延長し、カルシウムチャネルの開口時間を増加させます。

その結果、アセチルコリンの放出量が増加し、神経筋伝達の効率が改善され、筋力低下を改善すると考えられています。
3,4-ジアミノピリジン系として、長年欧米で使用されてきた実績があり、日本では初承認のアミファンプリジン製剤です。

効能・効果・適応症

ランバート・イートン筋無力症候群の筋力低下の改善

用法・用量と投与時の注意点

通常、成人にはアミファンプリジンとして初期用量1回5mgを1日3回経口投与します。

患者の状態に応じて1回5〜30mgの範囲で適宜増減し、1日3〜5回投与、最大1日100mgまでとされます。
増量は3日以上の間隔をあけ、1日用量として5mgずつ行う必要があります。

てんかんや痙攣性疾患の既往がある患者は禁忌であり、浮動性めまい、霧視、疲労、痙攣発作などの副作用に注意が必要です。

相互作用・代謝経路

CYP代謝酵素による主な代謝ではなく、代謝や相互作用の記載は限定的ですが、中枢神経系に影響を及ぼす薬剤(例:抗けいれん薬)との併用には注意が必要です。

食事の影響について

食事の影響に関する明確な制限はなく、食後投与が基本とされています。

主な副作用と安全性情報

主な副作用には、めまい、霧視、疲労、胃腸症状(下痢・吐き気)などがあり、痙攣発作などの重篤な副作用にも注意が必要です。

神経系への作用があるため、自動車運転や機械操作に支障をきたす可能性があり、十分な指導が求められます。

処方時のチェックリスト(医師向け)

ケアポイント(看護師向け)

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

一言アドバイス:「1日何回か飲まなあかんけど、ちゃんと時間あけて守ってな。めまいとかあったらすぐ言ってや〜」

まとめ

ファダプスは、LEMSの筋力低下に新しい選択肢やね。しっかり飲み方守って、無理せんように使っていこ!

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