医師・薬剤師・看護師向けおくすり情報サイト

【2025年3月19日発売】クアルソディ髄注100mg(トフェルセン)の特徴、作用機序

『みなさん、こんにちは。今回は2025年3月に新たに発売されたSOD1遺伝子変異を有する筋萎縮性側索硬化症治療薬「クアルソディ髄注100mg」について、簡単にまとめました。』

はじめに:クアルソディ髄注100mgとは

クアルソディ(一般名:トフェルセン)は、バイオジェン・ジャパン株式会社が2025年3月19日に発売した、SOD1遺伝子変異を有する筋萎縮性側索硬化症(ALS)の機能障害進行抑制を目的としたアンチセンス核酸医薬品です。


筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位および下位運動ニューロンの進行性変性を特徴とする指定難病で、2023年度の特定医療費受給者数は9,727人に上ります。全身の骨格筋の筋力低下や萎縮をきたし、進行すると日常生活動作の困難化や球麻痺による嚥下障害、呼吸不全を招くことがあります。患者の約2%に認められるSOD1遺伝子変異によるALS(SOD1-ALS)では、異常SOD1タンパクの蓄積が神経細胞死を引き起こします。


クアルソディはこの原因となるSOD1 mRNAに特異的に結合し、SOD1タンパクの合成を減少させることで神経変性の進行を遅らせ、疾患の進行を緩徐化させる効果が期待されています。これにより変異タイプに関わらずSOD1-ALS患者すべてに治療効果が見込まれる新規治療薬です。

製品概要

作用機序と特徴

クアルソディの有効成分トフェルセンは、SOD1-ALS患者の原因遺伝子であるヒトSOD1 mRNAの3’非翻訳領域に特異的に結合するアンチセンス核酸医薬品です。ワトソン・クリック塩基対を形成してSOD1 mRNAにハイブリダイズし、RNase-Hによって標的mRNAを分解させることでSOD1タンパクの合成を低減させます。

この作用により、異常なSOD1タンパク質の蓄積を抑え、運動ニューロンの変性や細胞死の進行を遅延させる効果が期待されます。遺伝子変異タイプに依存せず幅広いSOD1-ALS患者に適用可能であり、疾患進行抑制の新たな治療選択肢です。

効能・効果・適応症

SOD1遺伝子変異を有する筋萎縮性側索硬化症における機能障害の進行抑制

用法・用量と投与時の注意点

通常、成人にはトフェルセンとして1回100mgを1~3分かけて髄腔内投与します。初回、2週後、4週後に投与し、以降は4週間間隔で継続投与します。

投与時には脳脊髄液圧の測定や定期的な髄液検査を行い、脊髄炎、神経根炎、頭蓋内圧上昇、視神経乳頭浮腫、無菌性髄膜炎などの副作用に注意する必要があります。また、腎機能検査、血算、凝固能検査を投与開始前および投与期間中に定期的に実施し、安全管理を徹底します。

相互作用・代謝経路

トフェルセンは主にエキソヌクレアーゼによる加水分解で代謝されます。血漿蛋白結合率は約98%です。主に尿中に代謝物が排泄されます。特定の薬剤との代謝的相互作用の報告はありませんが、投与に際しては腎機能および凝固能の定期的な検査が推奨されます。

食事の影響について

髄腔内投与製剤であるため、食事の影響は特に報告されていません。通常通りの食事摂取が可能です。

主な副作用と安全性情報

処方時のチェックリスト(医師向け)

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

ケアポイント(看護師向け)

まとめ

『クアルソディはSOD1遺伝子変異型ALSに対する初のアンチセンス核酸医薬品として、疾患進行の抑制に期待できる治療薬です。慎重な副作用管理とともに、患者さんのQOL向上を目指して現場での活用を進めていきたいですね。』

モバイルバージョンを終了