医師・薬剤師・看護師向けおくすり情報サイト

【2025年3月19日発売】ブルキンザカプセル80mg(ザヌブルチニブ)の特徴、作用機序

『みなさん、こんにちは。今回は2025年3月に新たに発売された抗悪性腫瘍剤「ブルキンザカプセル80mg」について、簡単にまとめました。』

はじめに:ブルキンザとは

ブルキンザ(一般名:ザヌブルチニブ)は、2025年3月19日にBeiGene Japan合同会社より発売された経口のブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤です。対象疾患は、慢性リンパ性白血病(CLL/小リンパ球性リンパ腫を含む)、および原発性マクログロブリン血症・リンパ形質細胞リンパ腫(WM/LPL)です。

CLL/SLLは異常なBリンパ球が骨髄や末梢血、リンパ組織に浸潤するB細胞腫瘍で、日本国内の患者数は約2,000人と推定され、進行が緩徐なものが多いですが、一部には進行の早い予後不良例もあります。WMは、LPLの90~95%を占め、年間約350人が新たに診断されています。いずれも治療選択肢の幅が限られており、新たな分子標的薬の登場が期待されていました。

製品概要

作用機序と特徴

ブルキンザの有効成分ザヌブルチニブは、B細胞受容体シグナル伝達の下流に位置するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)を阻害する分子標的薬です。BTKの活性部位のシステイン残基と共有結合を形成し、キナーゼ活性を阻害。これにより、B細胞腫瘍の増殖や生存シグナルを抑制し、腫瘍細胞のアポトーシス(細胞死)を誘導します。

臨床試験では、既存のBTK阻害剤に比べて選択性が高く、1日2回経口投与で安定した血中濃度を維持できることが特徴です。再発・難治例や高齢・併存疾患患者でも有用性が示されています。

効能・効果・適応症

・慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)
・原発性マクログロブリン血症及びリンパ形質細胞リンパ腫

用法・用量と投与時の注意点

通常、成人にはザヌブルチニブとして1回160mg(2カプセル)を1日2回経口投与します(合計320mg/日)。患者の状態により減量が必要な場合は、1回80mg(1カプセル)を1日2回、さらに1日1回へと段階的に減量します。

血液毒性やGrade3以上の非血液毒性が出現した場合は休薬し、回復後に用量調節。CYP3A阻害剤・誘導剤、P-gp基質薬との併用時は血中濃度に注意し、必要に応じて用量調整を行います。

また、出血リスク増大や感染症の増悪リスクがあるため、手術・侵襲的処置の際は前後3~7日間の休薬を考慮します。

相互作用・代謝経路

ザヌブルチニブは主にCYP3A4で代謝されます。CYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)併用時は用量減量が必要です。CYP3A4誘導剤(カルバマゼピン、リファンピシン等)やセイヨウオトギリソウ含有食品は有効性低下のリスクがあるため、可能な限り併用を避けます。

また、P-gp基質薬(ジゴキシン、リバーロキサバン等)は血中濃度上昇の可能性があるため、患者の状態を慎重に観察します。CYP2C19やCYP3A基質薬、経口避妊薬なども相互作用に留意します。

食事の影響について

食事の影響はほとんどありません。空腹時・食後いずれでも服用可能です。

主な副作用と安全性情報

投与中は定期的な血液・肝機能・心電図検査、感染症のモニタリングが必須です。異常が認められた場合は速やかな対処を行います。

処方時のチェックリスト(医師向け)

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

ケアポイント(看護師向け)

まとめ

『ブルキンザはBTK阻害薬として、難治性B細胞腫瘍の治療に新たな選択肢を提供するお薬です。副作用や相互作用の管理に注意しつつ、患者さんのQOL向上に貢献できるよう現場で活用していきたいですね。』

モバイルバージョンを終了