
『みなさん、こんにちは。今回は2025年4月に新たに発売された気管支喘息・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症治療薬「ファセンラ皮下注30mgペン」について、簡単にまとめました。』
はじめに:ファセンラとは
ファセンラ皮下注ペン(一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え))は、アストラゼネカ株式会社より2025年4月1日に新発売された、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体製剤です。気管支喘息のうち既存治療で症状コントロールが困難な難治例、および既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)に対して使用されます。喘息は慢性的な気道炎症を本態とし、EGPAは複数臓器障害をきたす指定難病です。いずれも従来治療でコントロール困難な患者への新規選択肢として注目されています。
製品概要
- 商品名:ファセンラ皮下注30mgペン
- 一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え)
- 製造販売元:アストラゼネカ株式会社
- 薬効分類:その他の呼吸器官用薬(ヒト化抗IL-5受容体α抗体)
- 効能・効果:既存治療でコントロール困難な気管支喘息/既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
- 承認日:2024年12月27日
- 発売日:2025年4月1日
- 包装:1mL(注射針付きオートインジェクター×1)
作用機序と特徴
ベンラリズマブはヒトIL-5受容体αに高親和性で結合するIgG1κ型モノクローナル抗体です。好酸球や好塩基球表面のIL-5Rαを標的とし、抗体依存性細胞傷害活性(ADCC)を強力に誘導して標的細胞のアポトーシスを促進します。結果として血中好酸球数を著明に減少させ、喘息の増悪抑制やEGPAの寛解導入・維持効果を発揮します。プレフィルド型のペン製剤のため、在宅自己注射も可能です。
効能・効果・適応症
・既存治療によってもコントロール困難な気管支喘息
・既存治療で効果不十分な好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)
用法・用量と投与時の注意点
〈気管支喘息〉
成人・12歳以上の小児および体重35kg以上の6歳~12歳未満の小児には1回30mgを、初回・4週後・8週後に皮下注、以降は8週間隔で皮下注射します。
〈EGPA〉
成人には1回30mgを4週間隔で皮下注射します。
投与開始は医療機関で行い、十分な教育訓練後、自己注射の適応可。投与忘れや副作用時は必ず医療機関へ連絡を指導します。
相互作用・代謝経路
ベンラリズマブはIgG1モノクローナル抗体で、生体内のタンパク分解系で代謝されます。薬物代謝酵素(CYP)等への影響は基本的にありませんが、他の注射製剤との同部位投与や併用薬に注意します。
食事の影響について
皮下注射製剤のため、食事の影響はありません。
主な副作用と安全性情報
- 重篤な過敏症(アナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹等/頻度不明)
- 頭痛(約1.4%)、発熱(約1.2%)、咽頭炎
- 注射部位反応(疼痛、紅斑、そう痒感、丘疹等)
- 過敏症反応(発疹、蕁麻疹など)
- 疲労、消化不良
副作用が疑われる場合は速やかに自己投与中止・医療機関への連絡を徹底します。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- 適応症(気管支喘息:高用量ICS等併用下でコントロール困難な患者、EGPA:既存治療で効果不十分な成人)を確認
- 投与前の血中好酸球数を評価
- 妊娠・授乳婦・小児への投与可否を慎重に判断
- 自己注射適応時は十分な教育訓練と管理体制を整える
- 副作用(過敏症・感染症・注射部位反応等)への対応体制確保
- 投与開始後も定期的に症状・副作用をモニタリング
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 副作用(頭痛・発熱・注射部位反応等)や重篤な過敏症状が出た場合の受診勧奨
- 投与忘れや自己注射の際の注意点を勧奨
- 注射器の保存方法、冷蔵庫からの取り出しと常温戻しの手順を説明
- 自己注射が困難な場合は医師へ相談するよう案内
- 妊娠・授乳時の安全性に注意
ケアポイント(看護師向け)
- 投与時・自己注射時の手技指導と管理サポート
- 投与後の全身状態、注射部位の観察
- 副作用(特に重篤な過敏症や感染症)の早期発見と迅速対応
- 患者・家族への不安軽減・心理的サポート
- 定期通院や自己注射管理の徹底
まとめ

『ファセンラ皮下注ペンは、難治性喘息やEGPAの新たな治療オプションです。自己注射で利便性も高まり、日常生活の質の向上に貢献できる薬剤ですね。副作用や投与管理を徹底しながら現場でしっかり活用していきたいですね。』