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【2025年4月16日発売】イムデトラ点滴静注用(タルラタマブ)の特徴、作用機序

『みなさん、こんにちは。今回は2025年4月に新たに発売された小細胞肺がん治療薬「イムデトラ点滴静注用」について、簡単にまとめました。』

はじめに:イムデトラとは

イムデトラ(一般名:タルラタマブ)は、アムジェン株式会社より2025年4月16日に新発売された、がん化学療法後に増悪した小細胞肺がん(SCLC)を対象とした二重特異性タンパク製剤です。小細胞肺がんは悪性度が高く進行が早い予後不良の疾患で、特に三次治療以降の標準治療は確立されておらず、新たな治療選択肢が求められていました。

製品概要

作用機序と特徴

タルラタマブは、T細胞のCD3と小細胞肺がん細胞のデルタ様リガンド3(DLL3)の両者に結合する半減期延長型二重特異性抗体製剤です。DLL3はSCLC細胞の85~96%に高発現し、正常組織ではほとんど発現しません。タルラタマブはDLL3陽性腫瘍細胞にT細胞を誘導し、MHCクラスI・II非依存的に腫瘍細胞を傷害するため、免疫回避機構を持つSCLCに対しても新しい治療アプローチとなります。

効能・効果・適応症

がん化学療法後に増悪した小細胞肺がん(SCLC)に適応します。一次治療および二次治療での有効性・安全性は確立していません。

用法・用量と投与時の注意点

通常、成人には1日目に1mg、8日目に10mgを1時間かけて点滴静注します。15日目以降は10mgを2週間間隔で1時間かけて点滴静注します。サイトカイン放出症候群(CRS)や神経学的事象リスクのため、初回・8日目の投与後24時間は入院管理が必要です。投与前1時間以内に副腎皮質ホルモン剤投与、投与後は輸液を実施します。副作用発現時は休薬や中止を検討します。

相互作用・代謝経路

サイトカイン放出症候群発現時はCYP酵素が抑制され、カルバマゼピン、シロリムスなど治療域の狭いCYP基質薬の血中濃度が上昇し副作用リスクがあります。併用薬の管理と慎重なモニタリングが重要です。

食事の影響について

点滴静注製剤のため、食事の影響はありません。

主な副作用と安全性情報

副作用出現時は速やかに医療機関へ連絡し、適切な対応を行います。Gradeに応じて休薬や中止、必要に応じてトシリズマブ投与も考慮します。

処方時のチェックリスト(医師向け)

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

ケアポイント(看護師向け)

まとめ

『イムデトラは、新たな作用機序による小細胞肺がん治療薬として、難治例に新たな選択肢を提供します。副作用管理と安全な投与体制を徹底し、現場でQOL向上に貢献していきたいですね。』

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