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ポステリザンF坐薬(大腸菌死菌・ヒドロコルチゾン)の特徴・作用機序

開発の経緯について

 1922 年、Piorkowski&Bonnin は大腸菌死菌浮遊液による生菌増殖抑制及び溶菌(大腸菌数減少)をin vitro の実験で報告し、Bonnin は大腸菌ワクチンの局所作用に対する学問的基礎に従って、初めて痔核等へ応用した。
 大腸菌死菌浮遊液は白血球遊走能を高めることにより局所感染防御作用を示し、また肉芽形成促進作用による創傷治癒促進作用を示すことから、同年、ドイツのドクトル・カーデ製薬会社(ベルリン)からポステリザン軟膏及びポステリザン坐薬が発売され、急・慢性痔疾の治療と予防に有効であることが証明された。
 更に、1954 年から 1956 年にかけてドクトル・カーデ製薬会社では、このポステリザン軟膏に抗炎症作用を有するヒドロコルチゾンを配合した強力ポステリザン(軟膏)を開発し、1957 年に発売されている。
日本国内では、マルホ株式会社が 1953 年 8 月(昭和 28 年 8 月)にポステリザン軟膏を発売し、次いで 1965 年 11 月(昭和 40 年 11 月)には強力ポステリザン(軟膏)の販売を開始した。
 1974 年 7 月(昭和 49 年7月)にポステリザン軟膏が再評価指定され、また 1977 年 3 月(昭和 52 年3 月)には強力ポステリザン(軟膏)も再評価指定されたことに伴い、ポステリザン軟膏及び強力ポステリザン(軟膏)の有効性及び安全性について確認された(再評価結果その 18:昭和 56 年 8 月)。
 その後、1996 年 3 月(平成 8 年 3 月)に大腸菌死菌浮遊液にヒドロコルチゾンを配合したポステリザンF坐薬が承認され、同年 9 月に販売を開始し現在にいたっている。

作用機序

作用部位:直腸・肛門及び肛門周囲皮膚
作用機序:
(1)本剤の局所感染防御作用、肉芽形成促進作用及び抗炎症作用は、大腸菌死菌浮遊液及びヒドロコルチゾンの協力作用に基づく 。(ラット、マウス)
(2)大腸菌死菌浮遊液は白血球遊走能を高め 3)、局所感染防御作用を示す 。(in vitro、マウス)
(3)大腸菌死菌浮遊液は、肉芽形成促進作用により創傷治癒を促進する 。(ラット)
(4)ヒドロコルチゾンは血管透過性亢進抑制、熱炎症抑制、浮腫抑制等の抗炎症作用を有する 。(ラット)

製品情報

商品名ポステリザンF坐薬
一般名
(洋名)
該当しない
(該当しない)
発売年月日1996 年 9 月 24 日
メーカーマルホ株式会社
名前の由来ラテン語の posteriori(後方の)と sanare(治癒する)を組み合わせたものである。
ステム不明

[こちらも参照:ステムで薬の名前を暗記!【一覧リスト】薬が覚えられない人必見!]

効能又は効果

痔核・裂肛の症状(出血、疼痛、腫脹、痒感)の緩解、肛門部手術創

禁忌

・局所に結核性、化膿性感染症又はウイルス性疾患のある患者〔本剤に含まれるヒドロコルチゾンは結核性、化膿性感染症又はウイルス性疾患を悪化させるおそれがある〕
・局所に真菌症(カンジダ症、白癬等)のある患者〔本剤に含まれるヒドロコルチゾンは真菌症(カンジダ症、白癬等)を悪化させるおそれがある〕
・本剤に対し過敏症の既往歴のある患者
・ヒドロコルチゾンに対し過敏症の既往歴のある患者

用法及び用量

通常成人1回1個を1日1〜3回肛門内に挿入する。

注意

長期連用により、全身投与の場合と同様な症状があらわれることがあるので、長期連用は避けること。

代謝・代謝酵素について

該当資料なし

食事の影響

該当資料なし

副作用(抜粋)

本剤は副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
同一成分薬の強力ポステリザン軟膏における副作用は、1632 例中 7 例(0.43%)に認められ、その内訳はそう痒感 2 件(0.12%)、便意 1 件(0.06%)、適用部位不快感 1 件(0.06%)等であった。

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情報更新日:2022年2月

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