薬剤師みかんのおくすり手帳https://gorokichi.com/okusuri-jouhou医師・看護師・薬剤師(薬学生)のための新薬まとめMon, 15 Sep 2025 14:05:19 +0000jahourly1【2025年9月12日発売】ベルスピティ錠2mg(エトラシモドL-アルギニン)の特徴、作用機序https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1374https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1374#respondFri, 12 Sep 2025 03:00:00 +0000https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/?p=1374

『みなさん、こんにちは。今回は2025年9月に新たに発売された潰瘍性大腸炎治療薬「ベルスピティ錠2mg」について、簡単にまとめました。』

はじめに: ベルスピティとは

ベルスピティ錠2mg(一般名:エトラシモドL-アルギニン)は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎(UC)に対する経口治療薬です。
UCは指定難病に分類され、2023年度には約14万6,700人が特定医療費受給者証を所持しています。主な症状は血性下痢(粘血便)、下痢、腹部痛、直腸出血などで、寛解と再燃を繰り返すのが特徴です。
これまでの治療では5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤やステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤、JAK阻害剤などが用いられてきましたが、効果不十分な症例も多く、新規作用機序を有する治療薬へのニーズが高まっていました。
ベルスピティは1日1回経口投与可能なS1P受容体調節薬で、利便性と有効性を兼ね備えた新しい治療選択肢として注目されています。

製品概要

  • 商品名: ベルスピティ錠2mg
  • 一般名: エトラシモドL-アルギニン
  • 薬効分類: スフィンゴシン1-リン酸受容体(S1P1,4,5)調節薬
  • 製造販売元: ファイザー(株)
  • 承認日: 2025年6月24日
  • 薬価収載日: 2025年8月14日
  • 発売日: 2025年9月12日

作用機序と特徴

ベルスピティはS1P受容体(特にS1P1,4,5)に高親和性で結合し、リンパ器官からのリンパ球移出を抑制することで血中リンパ球数を減少させます。その結果、炎症部位に集積するリンパ球が減少し、炎症性サイトカインの産生が抑制されます。
この作用により、UC患者の腸管粘膜の炎症をコントロールし、症状の改善と寛解維持に寄与します。
1日1回経口投与が可能で利便性が高い一方、投与初期の徐脈や房室伝導遅延、眼疾患(黄斑浮腫)などのリスクがあるため、循環器・眼科との連携管理が必要です。

効能・効果・適応症

中等症から重症の潰瘍性大腸炎(既存治療で効果不十分な場合に限る)

用法・用量と投与時の注意点

  • 通常、成人にはエトラシモドとして2mgを1日1回経口投与
  • 治療開始後12週で効果が得られない場合は中止を検討
  • 初回投与時は心拍数・心電図をモニタリング(少なくとも4時間)
  • 眼底検査を含む定期的な眼科検査を実施
  • 感染症や肝機能障害の有無を事前に確認し、定期的な検査を行う

相互作用・代謝経路

代謝は主にCYP2C8(38%)、CYP2C9(37%)、CYP3A4(22%)で行われます。

  • 併用禁忌:生ワクチン(投与中〜終了後2週間は接種不可)
  • 併用注意:CYP阻害薬(フルコナゾール、イトラコナゾール等)で曝露量↑、CYP誘導薬(リファンピシン等)で曝露量↓
  • 心拍数低下薬(β遮断薬、Ca拮抗薬)やQT延長薬との併用は注意

食事の影響について

高脂肪食によりTmaxは約2時間遅延するものの、Cmax・AUCに影響はなく、臨床上問題ありません。

主な副作用と安全性情報

  • 重大な副作用: 徐脈・房室ブロック、感染症(0.9%)、肝機能障害(0.7%)、黄斑浮腫(0.1%)、進行性多巣性白質脳症(頻度不明)など
  • その他: 浮動性めまい、頭痛、高血圧、悪心、肝酵素上昇など

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 既存治療で効果不十分なUC患者かを確認
  • 初回投与時は循環器モニタリング(心拍数・心電図)を必須
  • 眼底検査を含む眼科管理体制を整備
  • 定期的な肝機能・血球数検査を実施
  • 生ワクチン接種歴を確認し、併用を避ける
  • 妊婦・妊娠可能女性への投与は禁忌

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 1日1回、必ず決められたタイミングで服用するよう説明
  • 初回投与後は失神や動悸があればすぐ医師に連絡するよう指導
  • 視力異常・かすみ目が出たら眼科受診を促す
  • 風邪症状や発熱が続いた場合は免疫抑制による感染症を疑うよう指導
  • 患者に「完治薬ではなく炎症コントロール薬」であることを説明

ケアポイント(看護師向け)

  • 投与初期はバイタル(脈拍・血圧・心電図)を重点的に観察
  • めまい・失神・息切れなどの有無をモニタリング
  • 眼症状(視力低下、かすみ目)の聴取と記録
  • 感染兆候(発熱、咳、倦怠感)の早期発見に努める

まとめ

『ベルスピティは、潰瘍性大腸炎に対する新しい飲み薬です。効果と安全性をしっかり見極めながら、患者さんのQOL改善に役立つといいですね。』

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【2025年9月8日発売】リアルダ錠600mg(メサラジン)の特徴、作用機序https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1367https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1367#respondMon, 08 Sep 2025 03:00:00 +0000https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/?p=1367

『みなさん、こんにちは。今回は2025年9月に新たに発売された潰瘍性大腸炎治療薬「リアルダ錠600mg」について、簡単にまとめました。』

はじめに: リアルダ錠600mgとは

潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis: UC)は、大腸粘膜に慢性的な炎症や潰瘍を生じる原因不明の炎症性腸疾患です。国内の指定難病のひとつであり、2023年度の特定医療費受給者証所持者数は約146,702人と報告されています。
症状は血便や粘血便が特徴的で、下痢・腹痛・発熱などを伴い、再燃と寛解を繰り返すことが知られています。治療の基本は炎症のコントロールであり、寛解導入と維持を目的とします。
軽症から中等症のUCでは5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤が第一選択薬とされており、リアルダ錠600mg(一般名:メサラジン)は、このカテゴリーに属する新しい経口製剤です。従来のリアルダ錠1200mgを小型化し、体重に応じて柔軟に投与量を調整できる点が特徴で、小児患者への使用も視野に入れた治療選択肢として注目されています。

製品概要

  • 商品名: リアルダ錠600mg
  • 一般名: メサラジン
  • 薬効分類: 潰瘍性大腸炎治療剤
  • 製造販売元: 持田製薬(株)
  • 製造販売承認日: 2025年6月24日
  • 薬価基準収載日: 2025年8月14日
  • 発売日: 2025年9月8日

作用機序と特徴

メサラジンは、腸管局所での抗炎症作用を示す5-ASA製剤です。その作用は以下の複数経路によると考えられています。
・活性酸素種の産生抑制および酸化ストレスからの細胞保護
・ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPAR-γ)の活性化
・転写因子NF-κBの活性化抑制による炎症性サイトカイン産生の抑制
・アラキドン酸代謝物(プロスタグランジン、ロイコトリエン)の産生抑制
これらの作用により、大腸粘膜の炎症反応を抑制し、潰瘍性大腸炎の症状を改善します。

リアルダ錠600mgは「MMXテクノロジー」という放出制御システムにより大腸で持続的に有効成分を放出する設計がなされており、1日1回投与が可能です。アドヒアランス向上に加え、小児UC患者における高用量投与にも対応できる点が大きな特徴です。

効能・効果・適応症

潰瘍性大腸炎(重症を除く)

用法・用量と投与時の注意点

  • 成人:通常1日1回2,400mgを食後経口投与
  • 活動期の成人:1日1回4,800mgまで投与可(状態により減量)
  • 小児(体重23kg超):通常40mg/kg(上限2,400mg)、活動期は80mg/kg(上限4,800mg)
  • 服用は必ず食後、錠剤は噛まずに服用する
  • PTP包装から取り出して服用(誤飲による穿孔リスクに注意)
  • 活動期投与は8週間を目安に有効性を評価し、漫然投与を避ける

相互作用・代謝経路

主に腸管粘膜でN-アセチルトランスフェラーゼにより代謝され、N-アセチルメサラジンとして尿中排泄されます。CYPを介した相互作用は少ないと考えられています。
一方で、アザチオプリンやメルカプトプリンと併用すると骨髄抑制が起こる可能性があり、併用時は注意が必要です。

食事の影響について

メサラジンの吸収は食事の影響をほとんど受けません。空腹時と食後で薬物動態は大きく変わらないことが確認されています。そのため、用法上は「食後投与」とされていますが、吸収効率よりも消化管への刺激軽減を考慮した設定です。

主な副作用と安全性情報

  • 重大な副作用: 再生不良性貧血、無顆粒球症、間質性腎炎、肝障害、膵炎、心筋炎、間質性肺疾患、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、Stevens-Johnson症候群など
  • その他の副作用: 発疹、頭痛、腹部膨満、下痢、血便排泄、尿異常(蛋白尿、血尿)、肝酵素上昇など
  • 副作用発現率は臨床試験で約17~26%程度と報告

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 重症UCではなく適応範囲に該当するか
  • 腎障害・肝障害の有無を確認
  • 骨髄抑制リスクのある薬剤との併用有無を確認
  • 8週間を目安に有効性評価を実施
  • 小児・高齢者では特に慎重投与

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 1日1回食後服用であることを説明
  • 錠剤は噛まずに服用、便中に錠剤が残ることがあるが有効性に影響はない旨を説明
  • PTPシートは必ず外して服用させることを強調
  • 腎・肝機能に異常が出る場合があるため、定期的な検査の必要性を説明
  • 副作用(発疹、尿異常、倦怠感など)を早期に報告するよう指導

ケアポイント(看護師向け)

  • 投与初期から排便回数・血便の有無を観察
  • 副作用として皮疹・発熱・呼吸症状が出ていないかチェック
  • 服薬アドヒアランス確認(特に小児患者では保護者へ指導)
  • 定期採血や尿検査のスケジュール管理をサポート
  • 患者が服薬継続に不安を抱えないよう心理的支援も重要

まとめ

『リアルダ錠600mgは、1日1回投与で服薬しやすく、小児から成人まで幅広く使える新しいUC治療薬です。患者さんの生活の質を高める頼もしい選択肢になりそうですね。』

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【2025年8月27日発売】ポムビリティ点滴静注用105mg(シパグルコシダーゼ アルファ)の特徴、作用機序https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1363https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1363#respondWed, 27 Aug 2025 03:00:00 +0000https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/?p=1363

『みなさん、こんにちは。今回は2025年8月に新たに発売されたポンペ病治療薬「ポムビリティ点滴静注用105mg」について、簡単にまとめました。』

はじめに: ポムビリティとは

ポンペ病(糖原病II型)は、酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の遺伝的欠損により、ライソゾーム内にグリコーゲンが蓄積し、心臓・骨格筋・肝臓などに障害を及ぼす希少かつ致死性の疾患です。国内患者数は推定124人で、小児慢性特定疾病および指定難病に指定されています。
発症形式は乳児型と遅発型に分かれ、遅発型では進行性の筋力低下や呼吸不全が問題となり、歩行補助や人工呼吸管理が必要となることがあります。従来はアルグルコシダーゼ アルファやアバルグルコシダーゼ アルファによる酵素補充療法(ERT)が標準でしたが、治療抵抗性が課題となっていました。
新たに登場したポムビリティ(一般名:シパグルコシダーゼ アルファ)は、GAAの酵素補充を目的とした改良型のERTであり、オプフォルダ(一般名:ミグルスタット)との併用で使用されます。

製品概要

  • 商品名: ポムビリティ点滴静注用105mg
  • 一般名: シパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)
  • 薬効分類: 遺伝子組換えポンペ病治療剤
  • 製造販売元: アミカス・セラピューティクス(株)
  • 承認日: 2025年6月24日
  • 薬価収載日: 2025年8月14日
  • 発売日: 2025年8月27日

作用機序と特徴

ポムビリティは遺伝子組換えヒト酸性α-グルコシダーゼであり、既存のアルグルコシダーゼ製剤と比較してマンノース-6-リン酸(M6P)受容体との結合能が高いbis-M6Pを多く含みます。これにより細胞内取込みとライソゾーム送達が強化され、筋組織に蓄積したグリコーゲンを効率的に分解します。
単独では血中で不活性化されやすい特徴がありますが、併用薬オプフォルダが安定化因子として働くことで、酵素の活性を維持しライソゾーム内での効果を高めます。

効能・効果・適応症

成人の遅発型ポンペ病に対する「ミグルスタット(オプフォルダ)」との併用療法。

用法・用量と投与時の注意点

  • 通常、体重40kg以上の成人に1回20mg/kgを隔週で点滴静注
  • ミグルスタット(オプフォルダ)投与の1時間後に投与開始
  • 初回は1mg/kg/時以下で開始し、最大7mg/kg/時まで漸増可
  • 投与は約4時間かけて行う
  • ミグルスタット(オプフォルダ)投与後3時間以内に開始できない場合は、24時間以上あけて再実施

相互作用・代謝経路

ポムビリティは糖タンパク質で、腎排泄や代謝酵素への影響は限定的です。ミグルスタットと併用することで安定性と効果が増大します。
CYP酵素や一般的な薬物代謝への影響は小さいとされています。

食事の影響について

ポムビリティは点滴静注薬であるため、食事の影響は受けません。ただし、併用するオプフォルダは食事による吸収変動があるため、投与間隔の調整が必要です。

主な副作用と安全性情報

  • 重大な副作用: infusion reaction(23.5%)、アナフィラキシー(1.2%)
  • その他の副作用: 頭痛、発熱、悪心、蕁麻疹、そう痒症、呼吸困難、筋肉痛、倦怠感など
  • 臨床試験では投与52週までに約30%で副作用が報告されました
  • 抗薬物抗体の発現率は高く、治療歴に関わらず約90%以上で認められています

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 適応は「成人遅発型ポンペ病」であるか
  • 必ずオプフォルダ(ミグルスタット)との併用であるか
  • アナフィラキシーやinfusion reactionの既往がないか
  • 心・呼吸機能が低下していないかを確認
  • 投与中・投与後の救急対応体制を確保

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • ポムビリティは点滴で投与されるが、併用するオプフォルダは経口薬である点を説明
  • オプフォルダは食前後2時間を避けて服用することを徹底
  • 投与当日のスケジュールを患者に明確に伝える
  • 副作用(発熱、頭痛、蕁麻疹など)が出た場合はすぐ報告するように指導

ケアポイント(看護師向け)

  • 投与中はバイタルサインを30分ごとに確認
  • infusion reaction(発熱・悪寒・発疹など)出現時は投与中止・救急対応
  • 点滴速度を調整しながら投与を進める
  • 患者・家族に治療スケジュールを分かりやすく説明

まとめ

『ポムビリティは、これまでの酵素補充療法に比べて改良された新しいERTです。オプフォルダとの併用により、患者さんの生活の質の向上に大きな一歩をもたらすことが期待されますね。』

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【2025年8月27日発売】オプフォルダカプセル65mg(ミグルスタット)の特徴、作用機序https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1361https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1361#respondWed, 27 Aug 2025 03:00:00 +0000https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/?p=1361

『みなさん、こんにちは。今回は2025年8月に新たに発売されたポンペ病治療薬「オプフォルダカプセル65mg」について、簡単にまとめました。』

はじめに: オプフォルダカプセル65mgとは

ポンペ病(糖原病II型)は、ライソゾーム内の酸性α-グルコシダーゼ(GAA)の遺伝的欠損によりグリコーゲンが分解できず、骨格筋や心筋、肝臓に蓄積する進行性・致死性の希少疾患です。日本での患者数は約124人と推定され、小児慢性特定疾病および指定難病に指定されています。
発症年齢により乳児型と遅発型に分かれ、遅発型では筋力低下や呼吸不全が進行し、歩行補助や人工呼吸管理が必要となる場合もあります。これまでアルグルコシダーゼ アルファやアバルグルコシダーゼ アルファによる酵素補充療法(ERT)が標準でしたが、治療抵抗性が課題とされていました。
オプフォルダ(一般名:ミグルスタット)は、この遅発型ポンペ病に対するERT新薬「シパグルコシダーゼ アルファ(商品名:ポムビリティ)」と併用する初の酵素安定化剤として登場しました。

製品概要

  • 商品名: オプフォルダカプセル65mg
  • 一般名: ミグルスタット
  • 薬効分類: ポンペ病治療用酵素安定化剤
  • 製造販売元: アミカス・セラピューティクス(株)
  • 承認日: 2025年6月24日
  • 薬価収載日: 2025年8月14日
  • 発売日: 2025年8月27日

作用機序と特徴

オプフォルダはイミノ糖の一種で、ERT薬「シパグルコシダーゼ アルファ」と一過性に結合することで物理的安定性を高め、変性や不活性化を抑制します。その後ライソゾーム内で解離し、標的であるグリコーゲンの分解作用を補助します。
ただし、曝露が過剰になると酵素活性を阻害しうる点に注意が必要です。併用により既存ERTでの治療抵抗性に挑む新たな治療選択肢となります。

効能・効果・適応症

成人の遅発型ポンペ病に対する「シパグルコシダーゼ アルファ(遺伝子組換え)」との併用療法。

用法・用量と投与時の注意点

  • 体重40~50kg未満:195mgを隔週経口投与
  • 体重50kg以上:260mgを隔週経口投与
  • 食事の前後2時間は避ける
  • オプフォルダ投与の1時間後にシパグルコシダーゼ アルファ投与を開始
  • 3時間以内に併用できない場合は、24時間以上あけて再度併用療法を開始
  • 中等度以上の腎機能障害では減量、末期腎不全(CLcr<15 mL/min)は非推奨

相互作用・代謝経路

ミグルスタットは主に腎排泄され、代謝酵素CYPには大きな影響を与えません。CYP1A2・2E1にわずかな阻害作用が報告されています。
薬物相互作用の可能性は低いと考えられますが、腎排泄性薬剤併用時には注意が必要です。

食事の影響について

食事により最高血中濃度(Cmax)が約36%低下し、到達時間(tmax)が2時間遅延します。吸収に影響が出るため、必ず食事の前後2時間を避けて投与することが求められます。

主な副作用と安全性情報

  • 消化器症状:下痢(約6%)、悪心、腹痛、便秘
  • 神経系:頭痛(約7%)、めまい、認知障害
  • 筋骨格系:筋痙縮、筋肉痛
  • 全身:発熱、倦怠感
  • 検査値変動:血中尿素窒素上昇、リンパ球減少

国内外の第III相試験では、本剤併用群の6分間歩行距離(6MWD)の改善がみられましたが、統計学的な優越性は限定的でした。安全性は概ね許容範囲内とされています。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 適応は「成人遅発型ポンペ病」であるか
  • 必ずシパグルコシダーゼ アルファとの併用であるか
  • 腎機能障害の有無と重症度の確認
  • 妊娠・授乳の有無(禁忌)
  • 服薬時間(食前後2時間を避ける)を指導できているか

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 服薬は食事前後2時間を避けることを説明
  • 併用薬(ポムビリティ)の投与時間に合わせた調整を確認
  • 下痢や頭痛などの副作用の早期報告を促す
  • 自己判断で服薬を中断しないように指導

ケアポイント(看護師向け)

  • 服薬時間と点滴(ポムビリティ)の投与タイミングを確認
  • 消化器症状(下痢・悪心)の有無を観察
  • 筋力低下や呼吸機能の変化を定期的にモニタリング
  • 患者・家族への服薬サポートを継続的に行う

まとめ

『オプフォルダは、遅発型ポンペ病のERTを支える新しい選択肢です。現場での活用が進むことで、患者さんのQOL向上につながることを期待したいですね。』

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【2025年8月18日発売】エアウィン皮下注用45mg・60mg(ソタテルセプト)の特徴、作用機序https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1359https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1359#respondMon, 18 Aug 2025 03:00:00 +0000https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/?p=1359

みなさん、こんにちは。今回は2025年8月に新たに発売された肺動脈性肺高血圧症治療薬「エアウィン」について、簡単にまとめました。

はじめに:エアウィンとは

エアウィン皮下注用45mg・60mg(一般名:ソタテルセプト[遺伝子組換え])は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対する新しい治療薬です。PAHは、肺動脈の血管が狭くなり血流が障害されることで肺動脈圧が上昇し、右心室に負担をかけて最終的に右心不全を引き起こす難治性疾患です。指定難病に指定されており、国内の患者数は年々増加しており、2023年度の特定医療費受給者証所持者数は4,682人と報告されています。主な症状には労作時呼吸困難、息切れ、動悸、胸痛、失神、浮腫などがあり、進行すると日常生活に大きな支障をきたします。従来は利尿薬や酸素療法に加え、肺血管拡張薬を用いた治療が中心でしたが、それだけでは十分な効果が得られない患者が多く、新規作用機序を持つ薬剤が待望されていました。

製品概要(承認日、発売日、製造販売元など)

  • 商品名:エアウィン皮下注用45mg・60mg
  • 一般名:ソタテルセプト(遺伝子組換え)
  • 薬効分類:アクチビンシグナル伝達阻害剤
  • 製造販売元:MSD株式会社
  • 製造販売承認取得日:2025年6月24日
  • 薬価基準収載日:2025年8月14日
  • 発売日:2025年8月18日

作用機序と特徴

エアウィンは、世界初のアクチビンシグナル伝達阻害剤(ASI)です。PAHでは、肺血管平滑筋細胞の異常増殖や炎症によって肺血管リモデリングが進行し、血管抵抗が上昇します。本剤は、アクチビンシグナル経路を阻害することで細胞増殖促進と抑制のバランスを整え、肺血管平滑筋細胞の異常増殖を抑制し、肺血管の恒常性を回復させる作用を持ちます。既存の肺血管拡張薬とは異なる作用点を有しており、従来治療で十分な効果が得られなかった患者にも新たな選択肢を提供します。

効能・効果・適応症

肺動脈性肺高血圧症(PAH)

用法・用量と投与時の注意点

通常、成人にはソタテルセプトとして初回0.3mg/kgを皮下投与し、2回目以降は0.7mg/kgに増量して3週間ごとに投与します。投与前および投与中はヘモグロビン値および血小板数を定期的に測定し、特に投与5回目までは各投与前に検査を実施する必要があります。肺血行動態の悪化がみられなくても原因不明の低酸素症が出現した場合には、右左シャントの可能性を考慮して精査を行うことが推奨されています。

相互作用・代謝経路

ソタテルセプトはタンパク質製剤であり、主に標的受容体との結合を介して作用するため、一般的なCYP酵素を介した薬物相互作用は少ないと考えられています。ただし、併用薬による造血機能への影響や血液検査値変動には注意が必要です。

食事の影響について

皮下投与製剤のため、食事の影響は受けません。

主な副作用と安全性情報

  • ヘモグロビン増加
  • 血小板減少
  • 頭痛、倦怠感、鼻出血など

定期的な血液検査によるモニタリングが安全投与の鍵となります。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 対象患者がPAHであることを確認
  • 投与開始前にヘモグロビン値・血小板数を測定
  • 少なくとも投与5回目までは各投与前に検査を実施
  • 原因不明の低酸素症が出現した場合には精査を実施
  • 肺血管拡張薬併用下での治療を考慮

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 3週間ごとの皮下投与であることを説明
  • 血液検査の重要性を伝える
  • 倦怠感や頭痛、鼻出血などの副作用が出た場合は報告を促す
  • 通院間隔が長い患者では副作用兆候に注意するよう指導

ケアポイント(看護師向け)

  • 投与前に血液検査結果を確認
  • 注射部位の状態を観察
  • 倦怠感、息切れ、頭痛などの症状の聴取
  • 低酸素症の兆候がないかSpO2を定期的に確認

まとめ

エアウィンは、PAH治療において新しい作用機序を持つ画期的なお薬です。血液検査でのモニタリングが大切ですが、既存治療で十分な改善が得られなかった患者さんにとって希望となる選択肢になりそうですね。

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【2025年8月18日発売】ウェリレグ錠40mg(ベルズチファン)の特徴、作用機序https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1357https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1357#respondMon, 18 Aug 2025 03:00:00 +0000https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/?p=1357

みなさん、こんにちは。今回は2025年8月に新たに発売されたフォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍・腎細胞がん治療薬「ウェリレグ」について、簡単にまとめました。

はじめに:ウェリレグとは

ウェリレグ錠40mg(一般名:ベルズチファン)は、低酸素誘導因子 HIF-2α を標的とする経口の選択的阻害薬で、フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病関連腫瘍およびがん化学療法後に増悪した根治切除不能または転移性の腎細胞がん(RCC)を適応とする抗悪性腫瘍剤です。VHL病は国内で推定600〜1,000人の患者が罹患する希少疾患で、若年発症・多発性・再発性が特徴。RCCは腎がんの約9割を占め、淡明細胞型ではVHL遺伝子異常が多く、VEGFR-TKIや免疫チェックポイント阻害薬が標準ですが、再発・進行例での選択肢拡充が求められてきました。ウェリレグはHIF-2α経路を直接阻害することで、腫瘍血管新生と増殖シグナルを抑制し、外科的介入や既存薬で対応困難な状況に新たなオプションを提供します。

製品概要(承認日、発売日、製造販売元など)

  • 商品名:ウェリレグ錠40mg
  • 一般名:ベルズチファン
  • 薬効分類:抗悪性腫瘍剤/HIF-2α阻害剤
  • 製造販売元:MSD株式会社
  • 製造販売承認取得日:2025年6月24日
  • 薬価基準収載日:2025年8月14日
  • 発売日:2025年8月18日
  • 識別コード・剤形:青色フィルムコート錠 40mg(識別コード177)

作用機序と特徴

ベルズチファンは、HIF-2α と ARNT(HIF-1β)との二量体形成を阻害し、HIF-2α標的遺伝子の転写を抑制します。これにより、血管新生の抑制・細胞周期停止を介して腫瘍増殖を抑えると考えられます。VHL遺伝子異常で持続的に活性化するHIF-2経路を直接叩くため、VEGF経路阻害や免疫療法後の患者においても理論的有効性が期待されます。

効能・効果・適応症

  • フォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍(適応患者の選択は臨床成績の熟読が必要)
  • がん化学療法後に増悪した根治切除不能又は転移性の腎細胞癌(PD-1/PD-L1阻害薬およびVEGFR-TKI既治療例が対象)

用法・用量と投与時の注意点

通常、成人にベルズチファンとして 120mg を1日1回経口投与します。副作用時は40mg刻みで段階的減量、または休薬・中止を行います(目安表あり)。
重要な注意として、EPO低下に伴う貧血および低酸素症があるため、投与前および投与中に定期的なヘモグロビン測定とSpO2モニタリングを行います。初回治療は、緊急時対応可能な施設で、がん化学療法に習熟した医師のもとで実施します。

相互作用・代謝経路

ベルズチファンはUGT2B17・CYP2C19が主代謝、一部CYP3A4で代謝され、CYP3Aを誘導します。

併用注意:
CYP2C19阻害薬(フルコナゾール、フルボキサミン、チクロピジンなど)・UGT2B17阻害薬(イマチニブなど):ベルズチファン濃度↑→有害事象増大に留意。

CYP3A基質薬(ミダゾラム、フェンタニル、経口避妊薬など):ベルズチファンの誘導作用で基質薬の効果↓の可能性。必要に応じて用量調整や代替を検討。

CYP2C19誘導薬併用でベルズチファン曝露↓の可能性。

その他、ベルズチファンはP-gp基質で、in vitroでUGT2B17・OCT1・MATE1/2-K阻害を示しています。

食事の影響について

高脂肪食併用で Cmaxはわずかに低下する一方、AUCはほぼ同等(空腹時比 Cmax0.76、AUC 1.00)。食事の有無にかかわらず投与可能です。

主な副作用と安全性情報

  • 重大な副作用:貧血(74.4%)、低酸素症(10.4%)
  • その他の主な副作用:疲労、悪心、めまい、呼吸困難、頭痛、関節痛、ALT/AST上昇、電解質異常など

VHL病試験では奏効率63.9%(CR 6.6%、PR 57.4%)。RCC第Ⅲ相では、PFSハザード比0.75でエベロリムスに対し有意なPFS延長を示しました(OSは中間解析で有意差なし)。安全性では貧血・低酸素症のモニタリングが鍵となります。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 対象がVHL病関連腫瘍またはがん化学療法後に増悪した根治切除不能/転移性RCCであるか確認(適応外投与を避ける)。
  • 治療開始前にHb・SpO2の基線を取得し、以降も定期モニタ。貧血・低酸素症の対策(輸血・ESA等)を準備。
  • 併用薬でCYP2C19/UGT2B17阻害薬CYP3A基質薬の有無をチェックし、投与計画を調整。
  • 副作用発現時の休薬・減量(40mg刻み)・中止基準をチームで共有。
  • 妊娠可能年齢への避妊指導(最終投与後1週間まで)と授乳回避の説明。
  • 中等度以上の肝機能障害では曝露↑の可能性あり。慎重投与と厳格な観察。

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 1日1回120mg毎日同じ時間に。飲み忘れは気づいた時点で服用し、次回分と二重服用しない
  • 食事の影響は軽微のため、食前・食後いずれでも可。継続性を優先。
  • 貧血(だるさ、息切れ、ふらつき)や低酸素症(呼吸苦、チアノーゼ)の症状に早期対応を案内。
  • 相互作用:一部抗真菌薬・抗うつ薬・抗てんかん薬、経口避妊薬、鎮静薬などのリスク説明。OTC・サプリも必ず申告してもらう。
  • PTPは直前に取り出し、誤飲防止を周知。湿気対策も指導。

ケアポイント(看護師向け)

  • 治療開始〜数週はHb・SpO2、バイタル、呼吸状態を重点観察。倦怠感・動悸・息切れの聴取をルーチン化。
  • めまい・頭痛・霧視などの神経症状、呼吸困難・胸水兆候の有無をこまめに評価。
  • 採血スケジュール・減量基準の共有、ESAや輸血の準備体制を事前に確認。
  • 妊娠回避・授乳回避の指導内容を再確認し、継続的にアドヒアランスを支援。

まとめ(QOL・現場活用)

ウェリレグはHIF-2αを直接抑える内服薬として、外科中心だったVHL病や既治療RCCの現場に新しい風を運んでくれますね。モニタリングをしっかり行いながら、患者さんの通院負担やQOLの向上につなげていきましょう。

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【2025年8月14日発売】タービー皮下注3mg・40mg(トアルクエタマブ)の特徴、作用機序https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1355https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1355#respondThu, 14 Aug 2025 03:00:00 +0000https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/?p=1355

みなさん、こんにちは。今回は2025年8月に新たに発売された多発性骨髄腫治療薬「タービー」について、簡単にまとめました。

はじめに:タービーとは

タービー皮下注(一般名:トアルクエタマブ〔遺伝子組換え〕)は、2025年に新たに承認・発売された再発または難治性多発性骨髄腫(MM)の治療薬です。
多発性骨髄腫は、骨髄中の形質細胞ががん化し、骨や血液・腎臓に影響を及ぼす治療困難な疾患です。日本における年間新規患者数は約7,000人と推定され、高齢者に多く、症状としては骨痛・骨折、貧血、腎障害、高カルシウム血症などがみられます。従来の治療選択肢(IMiDs、プロテアソーム阻害剤、抗CD38抗体)に抵抗性を示した患者においては標準治療が確立しておらず、新たな分子標的薬への期待が高まっていました。
タービーは従来の標的分子(BCMA)とは異なるGPRC5Dを標的とした二重特異性抗体製剤であり、新しい治療オプションとして注目されています。

製品概要

  • 商品名:タービー皮下注3mg・40mg
  • 一般名:トアルクエタマブ(遺伝子組換え)
  • 薬効分類:抗悪性腫瘍剤(二重特異性抗体製剤)
  • 製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社
  • 製造販売承認日:2025年6月24日
  • 薬価基準収載日:2025年8月14日
  • 発売日:2025年8月14日

作用機序と特徴

タービー(トアルクエタマブ)は、GPRC5DとCD3に対する二重特異性抗体です。GPRC5Dは多発性骨髄腫細胞で高発現しており、正常組織での発現が限定的といわれています。タービーはT細胞上のCD3と腫瘍細胞上のGPRC5Dを同時に結合し、T細胞を活性化し、その結果、GPRC5Dを発現する骨髄腫細胞を直接攻撃・破壊します。BCMA標的療法に抵抗性となった患者にも有効性が期待できる点が大きな特徴です。

効能・効果・適応症

再発または難治性の多発性骨髄腫(標準的治療が困難な場合に限る)。
IMiDs・PI・抗CD38抗体の3クラス治療歴を有する患者を対象としています。

用法・用量と投与時の注意点

通常、成人には以下のいずれかで皮下投与します。
A法:漸増期 0.01 → 0.06 → 0.4mg/kg、その後 0.4mg/kgを週1回皮下注
B法:漸増期 0.01 → 0.06 → 0.4 → 0.8mg/kg、その後 0.8mg/kgを2週に1回皮下注
投与初期はサイトカイン放出症候群(CRS)リスクが高いため、必ず入院下で管理し、前投与薬(ステロイド、抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛薬)を使用します。

相互作用・代謝経路

・本剤投与によるサイトカイン放出によりCYP酵素が抑制され、ワルファリン、シクロスポリン、タクロリムスなど治療域の狭い薬剤の血中濃度が上昇する可能性あり。
・生ワクチン接種は感染症リスクがあるため避けることが推奨されています。

食事の影響について

食事による有意な影響は報告されていません。投与は皮下注製剤のため、摂食状況によらず使用可能です。

主な副作用と安全性情報

  • サイトカイン放出症候群(76.1%)
  • 味覚不全(71.1%)
  • 爪障害(55.5%)、皮膚障害(41.5%)、発疹(34.6%)
  • 血液毒性:好中球減少(25.2%)、貧血(24.9%)、血小板減少(20.9%)
  • 神経学的事象:ICANS(8.6%)、頭痛(8.6%)、痙攣・錯乱など
  • 感染症:肺炎、敗血症など(注意が必要)

重度CRSや神経毒性の発現時には速やかに休薬、中止を行い、必要に応じてトシリズマブ等の投与を行います。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • IMiDs・PI・抗CD38抗体治療歴を有するか
  • 初期投与は入院下で行う準備が整っているか
  • トシリズマブ製剤を速やかに使用できるように備えているか
  • CYP基質薬(ワルファリン等)の併用確認
  • 感染症リスク評価(既往・予防投与含む)

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 入院下での初期投与と前投与薬の必要性を説明
  • 投与後数日は発熱・倦怠感・皮疹に注意するよう案内
  • 味覚異常や爪障害が出やすいことを事前に説明
  • 自己判断で市販薬を使用しないよう指導
  • 生ワクチン接種を避けるよう説明

ケアポイント(看護師向け)

  • 投与初期48時間は発熱・血圧・呼吸状態を重点観察
  • 神経学的症状(言語障害、錯乱、けいれん)に注意
  • 皮膚・爪の異常や口腔内症状を観察・記録
  • 感染兆候(咳、発熱、排尿異常など)の早期発見

まとめ

タービーは従来の標準治療に抵抗性を示す骨髄腫患者さんに、新しい希望をもたらすお薬ですね。特に入院下での安全管理や多職種連携がとても大切だと感じます。

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【2025年7月16日発売】バルバーサ錠(エルダフィチニブ)の特徴、作用機序https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1349https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1349#respondWed, 16 Jul 2025 03:00:00 +0000https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/?p=1349

『みなさん、こんにちは。今回は2025年7月に新たに発売された尿路上皮がん治療薬「バルバーサ」について、簡単にまとめました。』

はじめに:バルバーサとは

バルバーサ錠(一般名:エルダフィチニブ)は、FGFR3遺伝子変異または融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がんの治療薬です。尿路上皮がんは膀胱に多く発生し、進行すると治療が難しくなるがんです。膀胱がんの国内新規診断者数は年間約23,000人、死亡者数は約9,600人と報告されています。転移例では5年生存率が20%以下と予後不良ですが、尿路上皮がん患者の約20%にFGFR遺伝子異常が見られることが分かっています。従来治療が効かなくなった場合の新たな選択肢として、FGFR阻害剤による個別化治療が注目されています。

製品概要

  • 商品名:バルバーサ錠3mg・4mg・5mg
  • 一般名:エルダフィチニブ
  • 製造販売元:ヤンセンファーマ(株)
  • 薬効分類:その他の腫瘍用薬
  • 効能・効果:がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異または融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮癌
  • 承認日:2024年12月27日 発売日:2025年7月16日
  • 包装:28錠(PTPシート)

作用機序と特徴

バルバーサは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害します。特にFGFR3変異やFGFR融合タンパクのリン酸化を抑制し、腫瘍細胞の増殖シグナル伝達を遮断することで、腫瘍の進行を抑制します。

効能・効果・適応症

がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異または融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮癌
(FGFR異常は承認済み体外診断薬で確認が必要)

用法・用量と投与時の注意点

・通常、成人にはエルダフィチニブとして1日1回8mgを2週間経口投与し、その後は1日1回9mgを継続投与します。
・血清リン濃度や副作用発現時に応じて減量・休薬等を行います(最小4mgまで段階的減量可)。
・眼科的副作用のため定期的な眼科検査が必要です。
・PTPシートは必ず取り出して服用を指導してください。

相互作用・代謝経路

  • CYP2C9およびCYP3A4で主に代謝される。
  • 強いCYP3A・CYP2C9阻害剤・誘導剤との併用で血中濃度変化のリスクあり(例:イトラコナゾール、フルコナゾール、カルバマゼピン等)。
  • P-gp阻害によるジゴキシン等の血中濃度上昇リスクあり。

食事の影響について

食事の影響は軽微であり、空腹時・食後どちらでも服用可能です。

主な副作用と安全性情報

  • 高頻度:高リン血症(78.5%)、下痢(54.8%)、口内炎(45.9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(30.4%)など
  • 重篤な副作用:網膜剥離(12.6%)、角膜障害(5.2%)、急性腎障害(3.0%)、重度の爪障害、手足症候群等
  • その他:味覚異常、脱毛、肝機能異常、貧血、口腔内乾燥、発疹、疲労感など

異常があれば速やかに休薬・中止・適切な処置を行います。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • FGFR3遺伝子変異/融合遺伝子の確認と記録
  • 前治療歴(化学療法、PD-1/PD-L1阻害剤)確認
  • 眼科的副作用・腎障害・高リン血症への対応体制
  • 定期的な眼科・腎機能・血清リン・カルシウム検査
  • 患者・家族への説明と同意取得

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • PTPシートから取り出して服用指導
  • 副作用(視覚異常、口内炎、下痢、皮膚症状など)の早期対応
  • 他剤併用(CYP阻害・誘導薬、P-gp基質薬等)の確認
  • 定期受診・検査の重要性指導

ケアポイント(看護師向け)

  • 服薬管理と服用状況の確認
  • 視覚異常・手足症候群・腎機能低下・皮膚症状などのモニタリング
  • 日常生活指導(口腔・皮膚・爪のケア、高リン血症の食事制限等)
  • 家族・多職種連携でQOL支援

まとめ

『バルバーサは、従来治療が難しい尿路上皮がんに対する新たな経口FGFR阻害剤です。個別化治療の選択肢として、チーム医療で患者さんをサポートしていきましょう。』

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【2025年7月1日発売】テビムブラ点滴静注100mg(チスレリズマブ)の特徴、作用機序https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1347https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1347#respondTue, 01 Jul 2025 03:00:00 +0000https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/?p=1347

『みなさん、こんにちは。今回は2025年7月に新たに発売された食道がん治療薬「テビムブラ」について、簡単にまとめました。』

はじめに:テビムブラとは

テビムブラ点滴静注100mg(一般名:チスレリズマブ)は、根治切除不能な進行・再発の食道がんの治療に用いられるヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体製剤です。食道がんは国内でも罹患率・死亡率ともに高く、特に男性に多い傾向があります。主に扁平上皮がんが大多数を占めており、進行・再発例では治療選択肢が限られていました。近年、免疫チェックポイント阻害薬の導入によって、生存期間延長やQOL向上が期待されるようになりました。

テビムブラは、フルオロウラシル・シスプラチンとの併用または単剤投与が可能で、複数の国際共同試験で生存期間の延長効果が示されています。PD-1阻害剤による免疫療法の新たな選択肢として注目されています。

製品概要

  • 商品名:テビムブラ点滴静注100mg
  • 一般名:チスレリズマブ(遺伝子組換え)
  • 製造販売元:ビーワン・メディシンズ合同会社
  • 薬効分類:その他の腫瘍用薬
  • 効能・効果:根治切除不能な進行・再発の食道癌
  • 承認日:2025年3月27日 発売日:2025年7月1日
  • 包装:10mL[1バイアル]

作用機序と特徴

テビムブラ(チスレリズマブ)は、ヒトPD-1に対するモノクローナル抗体で、PD-1とそのリガンド(PD-L1、PD-L2)との結合を阻害します。これにより、がん抗原特異的T細胞の増殖・活性化・腫瘍細胞への傷害活性を高め、腫瘍増殖を抑制すると考えられています。

効能・効果・適応症

根治切除不能な進行・再発の食道癌
(手術の補助療法としての有効性・安全性は確立していません)

用法・用量と投与時の注意点

・通常、成人にはチスレリズマブ200mgを3週間間隔で60分かけて点滴静注します。
・フルオロウラシルおよびシスプラチンとの併用療法が標準ですが、化学療法後に増悪した場合は単剤投与も可能です。
・初回投与で忍容性良好なら2回目以降は30分まで投与時間短縮可能。
・重篤な副作用発現時には投与中止・休薬等を適宜検討します。

相互作用・代謝経路

特記すべき薬物相互作用はありませんが、他の抗腫瘍薬等との同時混注は避けてください。
生物学的製剤につき投与後も副作用管理・観察が必要です。

食事の影響について

食事による影響は特にありません。

主な副作用と安全性情報

  • 主な副作用:貧血、好中球減少、食欲減退、悪心、AST/ALT増加、下痢、発疹、疲労など
  • 重大な副作用:間質性肺疾患、肝機能障害、皮膚障害(SJS/TEN)、内分泌障害(甲状腺、副腎、下垂体)、1型糖尿病、腎障害、心筋炎、神経障害、血液障害、静脈血栓塞栓症、Infusion reaction、結核 など

副作用が発現した場合は、グレード等に応じて速やかに休薬・中止・適切な処置を行います。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 進行・再発食道がん(ESCC等)で切除不能例か確認
  • 自己免疫疾患・間質性肺疾患・臓器移植・結核等の既往有無
  • 重篤な副作用発現時の対応体制(特に間質性肺疾患、肝障害、内分泌障害など)
  • 定期的な胸部画像・肝腎機能・内分泌機能のモニタリング
  • 家族への治療説明・同意取得

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 投与間隔や治療期間の説明
  • 投与時・投与後の体調変化(息切れ、発熱、下痢、皮疹など)は速やかに医療機関へ連絡
  • 自己免疫関連副作用や感染症兆候について説明

ケアポイント(看護師向け)

  • 投与時のバイタルチェック・Infusion reaction対策
  • 間質性肺疾患・肝機能障害・内分泌障害等の早期発見・症状観察
  • 点滴部位や全身症状の観察と記録
  • 治療継続の心理的サポート・家族支援

まとめ

『テビムブラは、進行・再発食道がんの治療選択肢を広げる新しい免疫チェックポイント阻害剤です。多職種連携で患者さんのQOL向上を目指しましょう。』

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【2025年6月12日発売】リブマーリ内用液10mg/mL(マラリキシバット塩化物)の特徴、作用機序https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1345https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/1345#respondThu, 12 Jun 2025 03:00:00 +0000https://gorokichi.com/okusuri-jouhou/?p=1345

『みなさん、こんにちは。今回は2025年6月に新たに発売されたアラジール症候群・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症治療薬「リブマーリ」について、簡単にまとめました。』

はじめに:リブマーリとは

リブマーリ内用液10mg/mL(一般名:マラリキシバット塩化物)は、アラジール症候群(ALGS)および進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)に伴う胆汁うっ滞性そう痒の治療に用いる、国内初の回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤です。

ALGSは小葉間胆管減少症を伴うまれな遺伝性疾患で、重度のそう痒や黄疸、成長障害などが現れ、60~75%の患者が成人前に肝移植が必要になることがあります。PFICは乳児期から進行性の肝機能障害や強いそう痒を呈し、いずれも患者・家族の生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼします。

従来は利胆剤やかゆみ止め、ビタミン補充など対症療法が中心でしたが、リブマーリは胆汁酸の腸肝循環を遮断し、血清胆汁酸を低下させることで、根本的なそう痒軽減が期待できる新規経口薬です。

製品概要

  • 商品名:リブマーリ内用液10mg/mL
  • 一般名:マラリキシバット塩化物
  • 製造販売元:武田薬品工業株式会社
  • 薬効分類:肝臓疾患用剤
  • 効能・効果:アラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症における胆汁うっ滞に伴うそう痒
  • 承認日:2025年3月27日 発売日:2025年6月12日
  • 包装:30mL(1瓶)

作用機序と特徴

マラリキシバットは、回腸末端部の腸管上皮細胞に発現する回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)を選択的かつ可逆的に阻害し、胆汁酸の腸肝循環を遮断します。これにより、胆汁酸が糞便中に排泄されやすくなり、血清胆汁酸濃度が低下し、そう痒の軽減効果が期待できます。体内吸収はわずかで、主に腸管内で作用します。

効能・効果・適応症

次の疾患における胆汁うっ滞に伴うそう痒
・アラジール症候群(ALGS)
・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)
※PFICのうち、BSEP完全欠損変異例では効果が期待できません。

用法・用量と投与時の注意点

【アラジール症候群】
通常、マラリキシバット塩化物として200μg/kgを1日1回食前に経口投与し、1週間後に400μg/kg 1日1回へ増量します。
【進行性家族性肝内胆汁うっ滞症】
通常、300μg/kgを1日1回食前に経口投与、1週間後から300μg/kgを1日2回、さらに1週間後から600μg/kgを1日2回に増量します。
※体重別投与量表に基づき、ディスペンサーで計量し投与。
※3ヵ月間投与しても効果がない場合は継続可否を検討。
※副作用や肝機能、脂溶性ビタミン低下、脱水・下痢等に注意し、定期的にモニタリングを行います。

相互作用・代謝経路

主に未変化体で糞中に排泄されます。OATP2B1阻害作用があるため、併用薬には注意が必要です。
生ワクチン等の薬効へ影響する可能性や、胆汁酸排泄増加による脂溶性ビタミン(A, D, E, K)低下に留意します。

食事の影響について

高脂肪食摂取後の投与では血中濃度が大幅に減少します。必ず空腹時(食前)に投与してください。

主な副作用と安全性情報

  • 下痢(20~23%)、腹痛(6~13%)、便意切迫、皮膚炎、血中ビリルビン増加など
  • 重大な副作用:脱水、高度な下痢、肝機能障害、ビタミン欠乏、アナフィラキシーなど

副作用発現時は速やかに減量・休薬や適切な処置を行い、定期的な肝機能・ビタミン測定を実施します。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • ALGS/PFICの診断、BSEP完全欠損ではないことを確認
  • 体重、肝機能、ビタミンA/D/E/K、PT-INR測定の体制
  • ディスペンサー使用説明、服用指導の実施
  • 3ヵ月後の効果判定・継続可否評価
  • 下痢・腹痛・脱水症状等の副作用説明と家族への指導

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 必ず食前に服用すること、ディスペンサーで計量すること
  • 開封後130日以内の使用・保管・廃棄方法
  • 副作用(下痢、脱水等)時の受診目安説明
  • ビタミン補給の重要性や、継続的な検査の必要性

ケアポイント(看護師向け)

  • 副作用(下痢、脱水、皮膚炎など)・肝機能障害の観察
  • 投与量・投与法の説明サポートと家族への指導
  • 服用・ディスペンサー管理の確認
  • ビタミン低下や栄養障害・発育不良の早期発見

まとめ

『リブマーリは、ALGS・PFICに伴うそう痒を根本から軽減できる新しい経口治療薬です。家族との協力や多職種連携で、安心して治療を続けていきましょう。』

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