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夢の技術CRISPR-Cas9が予想以上に変異を起こす!?

2018年7月17日、AFP BB Newsが、『遺伝子編集技術、予想以上にDNAを損傷 英研究』というタイトルで記事を発表しました。原著論文は、Nature Biotechnology(impact factor: 41.667)に16 July 2018、Repair of double-strand breaks induced by CRISPR–Cas9 leads to large deletions and complex rearrangementsというタイトルで発表されており、それがもとになっています。

以下、AFP BB Newsから引用

病気根絶の未来を開くと称賛され、ノーベル賞候補と目されている遺伝子編集技術について、16日に発表された研究論文は、この革新的な技術が、これまで考えられていたより精度が低く、予想以上に多くの細胞損傷を引き起こす恐れがあるとしている。
研究チームは、マウスとヒト細胞を用いた研究室実験で、「CRISPR-Cas9(クリスパー・キャスナイン)」と呼ばれる遺伝子改変技術に「広範囲の」遺伝子変異を「高い頻度で」引き起こす恐れがあることが分かったと報告している。
(中略)
英科学誌「ネイチャー・バイオテクノロジー(Nature Biotechnology)」に掲載された論文の共同執筆者であるブラッドリー氏によると、「DNAに生じる変化が、これまで著しく低く見積もられていた」ことが、今回の研究で判明したという。
変異については、有害か無害かはまだ明らかになっていない。
ブラッドリー氏は、「遺伝子治療にこの技術を検討している人は、有害な影響の有無を注意深く調べる必要があり、慎重にことを進める姿勢が求められる」と研究所の発表を通じて指摘した。
約6年前に最初に発表されたCRISPR-Cas9は、細胞のDNA鎖上の変異を持つ配列への挿入、除去、修正することをピンポイントで可能にする技術だ。
この技術により、誕生前の新生児において病原性遺伝子を除去または改変できるようになるとの期待が高まっていた。また近年では、CRISPR-Cas9がノーベル化学賞(Nobel Prize in Chemistry)を受賞すると繰り返し予測されていた。

引用:AFP BB News 遺伝子編集技術、予想以上にDNAを損傷 英研究 2018年7月17日

 

この技術は、安全性が証明されておらず、人間への治療に使用することは認められておりません。

しかし、研究においては簡単に目的遺伝子を欠損・挿入させることができるため、よく用いられています。

 

iPS細胞を含め、画期的な技術、治療法が生まれてはいますが、いずれも簡単に臨床への応用は難しいようですね。

今回のこの変異がどれくらいの害をもたらすのかは未だわかっておりませんが、生命に必須の遺伝子に何かの技術を加えることは容易に済むことではないことがなさそうです。

 

原著論文は難しめで、知識がないとわからないと思います。Nature系の雑誌なのですごく丁寧ですが。

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