多剤耐性アシネトバクターが院内感染疑い 鹿児島大病院

2018年8月2日、鹿児島大学病院にて、入院患者ら15人から多剤耐性アシネトバクターや類似の菌が検出され、うち8人が死亡していたことがわかりました。

以下、読売新聞の記事から引用。

 鹿児島大病院(鹿児島市)の入院患者ら15人から、複数の抗菌薬(抗生物質)が効かない多剤耐性の細菌アシネトバクターや類似菌が検出され、うち8人が死亡していたことが鹿児島県への取材で分かった。(略)
県によると、同病院の患者ら5人から多剤耐性アシネトバクターが検出され、別の患者ら10人からは類似の菌が検出された。

8/2(木) 22:15配信 読売新聞 引用:抗生物質効かない耐性菌か、入院患者ら8人死亡

アシネトバクターは広く自然界に存在する細菌の一種です。
特に院内の床などの環境から高率に分離されることが知られています。

アシネトバクターはグラム陰性桿菌ですが、乾燥した環境で長期間(数週間)生存できます。
しかし、健常人に感染を起こすことは稀であり、その多くは日和見感染症として発症します。

また、多剤耐性アシネトバクターが分離されることは極めて稀といわれています。
そのため、同一施設において複数例本菌が分離された場合には、病院内で広がった可能性を疑うのが大切なようです。
(参考:日本感染症学会)

多剤耐性アシネトバクターといえば、第一例目が2009年に福岡大学病院で26名が感染し、そのうち4名が死亡しています(因果関係は不明)。
第二例目は、同じく2009年に帝京大学医学部附属病院で59名が感染し、そのうち34名が死亡しています(9名は因果関係が否定できない)。

多剤耐性アシネトバクターは以前は外国から持ち込まれていましたが、すでに日本に定着しつつあるようで、アシネトバクター属の0.1%ほどのようです。
ただ、感染力は極めて弱く、多剤耐性アシネトバクターに感染するのは、かなり弱った患者が多いようです。
病院内であると、免疫力が弱った重症患者も多いので、こういった弱い菌でも感染してしまう可能性があるようですね。
参考:m3.com 帝京大・アシネトバクター、「事例の全容解明を」- 山形大学病院検査部副部長・准教授・森兼啓太氏に聞く

多剤耐性アシネトバクターに対しては基本的に、アルコール消毒などの通常の消毒剤が殺菌に有効みたいです。

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