日本では、2006年度に薬学部が4年制から6年制に移行し、毎年多くの薬剤師が6年制課程の薬学部から輩出されています。
それに伴い、現在では毎年1万人近くの薬剤師国家試験の合格者が誕生しています。
薬剤師の過剰時代がすぐに来ると言われていましたが、今現在でも、薬剤師は地方では不足が目立っており、都会においても多くの募集が現在行われています。
では、日本の薬剤師が現在どういった就業分布になっているのかをご存知ですか?
そこで今回は、過去20年から現在までの薬剤師の就業状況の変化をまとめました。
薬剤師の就業・動向調査について
医師・歯科医師・薬剤師調査は、 医師、歯科医師及び薬剤師について、性、年齢、業務の種別、従事場所及び診療科名(薬剤師を除く。)等による分布を明らかにし、厚生労働行政の基礎資料を得ることを目的としたものです。
※統計法に基づく一般統計調査となっています。
調査の実施にあたって
届出は2年に1回(西暦の偶数年に)行うこととなっており、調査年の12月31日現在の状況となります。
調査事項はこちらとなります
- 住所
- 性別
- 生年月日
- 登録年月日
- 業務の種別
- 従事先の所在地
※医師・歯科医師の場合は、上記のほかに、主たる業務内容や従事する診療科名、取得している広告可能な医師・歯科医師の専門性に関する資格名を記載します。
薬剤師数の推移と就業分布
薬剤師の就業状況を1994年からまとめて、グラフにしたものがこちらになります。
グラフの中の数字は、薬剤師数(青字は総薬剤師数)を表しています。
この結果をみると、1994年から徐々に薬剤師の数が増え、2016年には30万人を超えました。
また、就業状況を確認すると、薬局の従事者の伸びが明らかに大きいことがわかると思います。
一方で、病院・診療所の従業者は、僅かにしか増加しておらず、医薬品関係企業の従業者は現在では少しずつ減少しています。
この結果から、ここ20年近くの間、薬局で働く薬剤師が大幅に補充されていたということになりますね。
では、薬局の数もそれだけ増えているということなのでしょうか。それも調べてみました。
薬局数の推移
薬局数は、衛生行政報告例の薬事の項目で毎年調査されています。
公表されているデータが2000年からでしたので、それ以前はわかりませんが、薬局従事者と同様に大きく店舗数が増えていることがわかります。
現在、日本において薬局は6万店舗近くあります。
面白いことに、コンビニも右肩上がりに増え続け、2018年度の集計結果では5万8千店舗ほどあるとされています。
確かに、コンビニも薬局も次々にオープンし、今では数百メートルに1店舗はある状況が多いですよね。
しかし、薬局数は(コンビニも)、ずっと右肩上がりが続くのではなく、いずれ減少に転じていくのではないかと考えられています。
高齢化社会も進み、小さな薬局は大手に買収されて、その後に閉店することも現在で起こっています。
おわりに
薬学部は、4年制から6年制へと移行する際に、多くの私立大学が誕生しました。
今でも、薬剤師不足が続く地方では、薬学部の新設が起こっています。
薬学部の学生の定員は、20年前と比較して1.5倍以上あると言われており、あまり勉強熱心ではない学生も増えたことで、大学の卒業あるいは国家試験の合格が困難な場合が増えています。
薬局の店舗数増加などにより、薬剤師は増え続けているのに対し、未だに引く手あまたの状態です。
しかし、近年、増えすぎた薬局、儲かっている薬局経営者たちに対し、国は目を付けています。
そのため、ここ数年の間に、薬局を中心とした薬剤師の就職状況が大きく変化する可能性があります。
薬剤師を目指している薬学生、また、既に薬剤師として働く方々は、時代の波に負けずに努力しなければならない時期がやってきていると私は思っています。
最近の6年制薬学生の就職動向はこちらをご参照ください。
【2019年卒】6年制薬学生の就職動向
各大学の薬剤師国家試験の合格率の推移はこちらの記事にまとめてあります。
薬剤師国家試験 大学別合格率【ランキングと推移】