『アドレナリンの血圧反転』の解説

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今回は, アドレリン・ノルアドレナリンの特徴についてご紹介します.

アドレナリン受容体については下のリンクをご覧ください.

『交感神経・アドレナリン受容体』の解説

突然ですが, 次の問題は分かりますか?

問29 麻酔下の動物に、アドレナリンを静脈注射すると
急速な血圧上昇とそれに続く下降が認められた。
しかし、ある薬物を前処置後に、先と同量のアドレナリンを
静脈注射すると血圧下降のみが認められた。
前処置した薬物はどれか。1つ選べ。

1 スコポラミン  2 フェントラミン  3 イソプレナリン
4 プロプラノロール  5 クロニジン

第99回 薬剤師国家試験 必須問題

 

答えは, 「2」です.

これは, 『アドレナリンの血圧反転』(アドレナリン反転とも呼ぶ)という現象を問題にしています.

では, アドレナリンの血圧反転とはどういったものなのでしょうか?

アドレナリンの血圧反転とは?

ポイント
  • α受容体遮断薬を投与した後にアドレナリンを投与すると, β2作用による血圧拡張作用のみが起こり, 血圧が低下すること
  • ノルアドレナリンβ2作用がほとんどないので血圧反転を起こさない

まず, アドレナリン(α1, α2, β1, β2受容体刺激)を急速静注した場合, 次のような血圧上昇作用の後に, 少しの下降作用(図1)が起こります.

図1:アドレナリン投与後の血圧変化

これは, 血管収縮作用(α作用)が血管拡張作用(β作用)より強く現れるためです.

 

そして, α受容体遮断薬を投与してからアドレナリンを投与してみると, 次のように血圧下降作用のみが表れます.

図2:α受容体遮断薬投与後のアドレナリン投与の血圧変化

これは, 本来起こるべきα1受容体による血圧上昇が抑制され, β2作用による血圧拡張作用のみが起こるからです.

この現象のことを, 『アドレナリンの血圧反転』といいます.

おまけ:圧受容器反射

ポイント
  • ノルアドレナリンを投与すると血圧上昇を起こすと同時に, 心拍数が減少する現象

ヒトの体は, 常に一定のバランスを保って機能しています.

なので, 突然1つの器官が異常な動きをするとそれを抑制しようと調節するよう働きます.

例えば, ノルアドレナリン(α1, α2, β1受容体刺激)を静脈内に投与すると血圧上昇を起こしますが, 同時に心拍数が低下することがあります.

これは, 圧受容器が血圧の急激な上昇を感知することで, 迷走神経が興奮し, 心拍数を減少させるからです.

こういった現象のことを, 『圧受容器反射』といいます.


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