薬剤師国家試験のヤマ 寄生虫(アニサキス、クドア、ザルコシスティス)による食中毒の特徴【画像写真あり】

最近、魚介類の生食による食中毒が増えており、その原因の一つに寄生虫による食中毒が起こっています。

そのため、ニュースでもアニサキスをはじめ寄生虫による食中毒の予防方法などが特集されています。

流行のものは薬剤師国家試験に出やすいということなので、しっかり押さえておきましょう!

そういえばポテトサラダからのO157感染も世間を騒がしていますね。

 

寄生虫(parasite)とは

寄生生物のうち動物に分類されるものを指し、寄生動物とも呼ばれます。

また、他の動物の体内または体外に付着・住み着き、栄養をとり生活する動物です。

つまり、ウイルスや細菌も寄生しますが、動物ではないので寄生虫には分類されません(栄養も取らない場合も多い)。

 

さらに、寄生する部位によって、体表面に寄生するものは外部寄生虫、体内に寄生するものは内部寄生虫と呼びます。

外部寄生虫にはノミ、シラミ、ダニなどが、内部寄生虫には回虫、蟯虫(ぎょうちゅう)、肺吸虫、条虫などが存在します。

 

アニサキス:覚えておきたい寄生虫①

アニサキスの特徴

最近はニュースなどでも取り上げられることも多く、聞き慣れた名前になっている人もいるかと思います。

食中毒の病因物質として、ノロウイルスとカンピロバクター菌に次いで3番目に多くなっています。

※近年増加している食中毒のため、過去数年間の合計件数で表されたデータ上では3番目になっていない場合がありますが、実際ここ数年間は3番目に件数が多い食中毒です。

 

アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。

その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3 cm、幅は0.5~1 mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。

アニサキス幼虫はサバ、イワシ、カツオ、サケ、イカ、サンマ、アジなどの魚介類に寄生します

魚介類の内臓に寄生しているアニサキス幼虫は鮮度が落ちると、内臓から筋肉(刺身で食べる部分)に移動することが知られています。


白くて渦巻き状になることが多いのが特徴です。

アニサキスによる食中毒の現状と症状


このグラフからも、一年中一定の患者数が検出されています。ここ2年くらいは患者数が年100人を超えています

特徴として、件数と患者数はほとんど同じです(魚介類に大量に寄生していたら気付くため)

 

ちなみに、平成29年の1-7月の間では、合計64件(患者数67名)報告されています。

飲食店で提供された食事から、スーパーなどの販売店で購入した刺身(カツオやシメサバが多い)のいずれにおいても発生しています。

 

アニサキスによる食中毒は、アニサキスの幼虫がヒトの胃及び腸壁に侵入して胃腸障害を起こします。

【急性アニサキス症】

食後数時間後から十数時間後に、みぞおちの激しい痛み、悪心、嘔吐を生じます。

【急性アニサキス症】

食後十数時間後から数日後に、激しい下腹部痛、腹膜炎症状を生じます。

※多くが急性胃アニサキス症

 

現在までのところ、アニサキスに対して効果的な治療薬はありません

したがって、治療法は、胃アニサキス症の場合には内視鏡による虫体摘出が一般的です。

アニサキスによる食中毒の予防

・魚を購入する際は、新鮮な魚を選ぶ。また、丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除くことが大事。

・内臓を生で食べない。

・目視で確認して、アニサキス幼虫を除去する。

冷凍する。 (-20℃で24時間以上冷凍)

加熱する。(60℃では1分、70℃以上)

→寄生虫なので、冷凍・加熱により殺すことで食中毒を防ぐことができます。

 

こちらに厚生労働省が事業者向けに出しているリーフレットのリンクを貼っておきますので一通り目を通しておくと覚えられるかと思います。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000171143.pdf

 

クドア・セプテンプンクタータ:覚えておきたい寄生虫②

クドアの特徴

こちらはあまり聞き慣れない寄生虫だと思いますが、見かけは非常に可愛らしい花びらのような形が特徴的です。

クドア・セプテンプンクタータは、ヒラメに寄生するクドア属の寄生虫(粘液胞子虫)の一種です。

クドアによる食中毒の現状と症状

特徴として、寄生量が多いためか、アニサキスと違い1件あたりの患者数が多いです。

クドアによる食中毒は、生食用生鮮ヒラメ(ヒラメのお刺身等)に関連するものが多く、 食後数時間程度で一過性の嘔吐や下痢を呈し、軽症で終わる症状が特徴です。

ちなみに、平成29年の1-7月の間では、合計3件(患者数24名)報告されています。

クドアによる食中毒の予防

冷凍する(-20℃で4時間以上冷凍)

加熱する(中心温度75℃、5分以上の加熱により病原性が失われる)

 

ザルコシスティス・フェアリー:覚えておきたい寄生虫③

ザルコシスティスの特徴

ザルコシスティス(サルコシスティスとも呼ばれる)・フェアリーは胞子虫類のコクシジウム目に属し、トキソプラズマ、アイメリア等に近縁の寄生性原虫です。

馬の筋肉に寄生する寄生虫で、犬と馬の間を行ったりきたりして生活します(糞便中にスポロシストとして排出され、その糞便に汚染された飼料や水を介して行き来する)。

ヒトには寄生しませんが、寄生した馬の肉を生(馬刺し)で食べた後に、一過性の体調不良を起こした事例が報告されています。

ザルコシスティスによる食中毒の現状と症状

2013年に1件(患者数6人)確認されて以降は現在まで発生していません。

食後数時間程度(4~8時間程度)で下痢、嘔吐、胃部の不快感などが認められるものの、症状は軽度であり、速やかに回復し、後遺症はないとされています。

ザルコシスティスによる食中毒の予防

冷凍する(中心温度-20℃で48時間以上)

加熱する(中心部までの十分な加熱)

さいごに

アニサキスをはじめ、生食ブームにより寄生虫による食中毒が増えています。

薬学的な治療をする場合は少なく、あまり薬剤師に必要とされないと思いがちですが、医療人としては公衆衛生の知識は必要になります。薬剤師国家試験にでます。

細菌やウイルスに比べて微妙な立ち位置ではありますが、覚えることは少ないのでしっかり押さえておきましょう。

寄生虫は加熱・冷凍で死ぬ!ってことは忘れないようにしましょう。

 

(参考)
厚生労働省: 食中毒関連サイト、食中毒統計資料など
国立感染症研究所: ザルコシスティス総論

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