特徴的なポイント
・インフルエンザウイルス感染症治療に対して、新たな選択肢を増やすこと、及び本剤による 1 回の治療で効果を得ることを企図し、開発を進めたもの
・小児から成人までの A 型又は B 型インフルエンザウイルス感染症患者に対して有効性が確認されており、本剤の治療及び予防は 1 回で完結するため、患者の自己判断による服薬中止や服薬忘れを懸念する必要がない
・本剤は、プロドラッグであり、吸入投与後、ラニナミビル(活性代謝物)に変換され、ウイルスの増殖部位である呼吸器に長時間にわたり貯留し、作用を示す
構造式または示性式
名前の由来
1回吸入投与の 1 を「I」とし、ノイラミニダーゼ(NA)阻害剤の「NA」に続き、ウイルスの「VIR」をあわせて名称の由来とした
ステム
抗ウイルス薬:-vir
ノイラミニダーゼ阻害剤:-amivir
発売日
2010 年 10 月
メーカー
第一三共株式会社
適応
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症の治療及びその予防
作用機序
作用部位は気道と肺で、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の活性代謝物であるラニナミビルが、A 型及び B 型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する。
代謝などに関して
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物は、吸入投与後、気管及び肺において加水分解により活性代謝物ラニナミビルに変換されると推測される。
この代謝にはカルボキシルエステラーゼをはじめとするセリン水解酵素群並びにチオール基を有する加水分解酵素(アリルエステラーゼ)など、生体内に存在する複数の酵素が関与していると考えられた。
主要なチトクローム P450 分子種に対する阻害・誘導は認められなかった。
この代謝にはカルボキシルエステラーゼをはじめとするセリン水解酵素群並びにチオール基を有する加水分解酵素(アリルエステラーゼ)など、生体内に存在する複数の酵素が関与していると考えられた。
主要なチトクローム P450 分子種に対する阻害・誘導は認められなかった。
相互作用
(1)併用禁忌とその理由
特になし
(2)併用注意とその理由
特になし
特になし
(2)併用注意とその理由
特になし
重大な副作用
1) ショック、アナフィラキシー:ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、蕁麻疹、血圧低下、顔面蒼白、冷汗等の異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
2) 気管支攣縮、呼吸困難:気管支攣縮、呼吸困難があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
3) 異常行動:因果関係は不明であるものの、インフルエンザ罹患時には、転落等に至るおそれのある異常行動(急に走り出す、徘徊する等)があらわれることがある
重大な副作用(類薬)
他の抗インフルエンザウイルス薬(吸入剤)で以下の重大な副作用が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、多形紅斑
その他の注意点
本剤は、夾雑物として乳蛋白を含む乳糖水和物を使用しており、乳製品に対して過敏症の既往歴のある患者に投与した際にアナフィラキシーがあらわれたとの報告があるので、投与に際しては十分に注意すること。