特徴的なポイント
・A 型又は B 型インフルエンザウイルス感染症及びその予防に有効な世界初の経口抗インフルエンザ ウイルス剤である。
・経口投与後、消化管から吸収され、肝エステラーゼにより活性体(Ro64-0802)へと変換され、呼吸気道内に速やかに移行する。
・インフルエンザウイルスの増殖サイクルに必須の酵素であるノイラミニダーゼ(NA)に結合し、その機能を抑制することによりウイルス増殖を阻止する。
構造式または示性式
名前の由来
Tami:原薬名 Oseltamivir より flu:Influenza より それぞれ複合して命名
ステム
抗ウイルス薬:-vir
発売日
2001年2月
メーカー
中外製薬株式会社
適応
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防
作用機序
インフルエンザウイルスが宿主細胞へ侵入する際、まずウイルス表面蛋白質であるヘマグルチニン(HA)と呼吸気道細胞表面にあるシアル酸が結合する。結合したウイルスは細胞内にエンドソームとして取り込まれ、エンドソーム膜とウイルスは膜融合し、細胞内に RNP(リボ核タンパク質複合体)を放出する。ウイルス RNA 鎖をもとに mRNA 合成が行われ、ウイルスタンパク質が作られる。複製されたウイルスは宿主細胞から出芽し、遊離する。ウイルスが遊離する際、ウイルス表面蛋白質であるノイラミニダーゼ(NA)がシアル酸を破壊することにより、ウイルスの出芽を促進する。 タミフル(オセルタミビルリン酸塩)はプロドラッグであり、代謝によりオセルタミビル活性体(Ro64-0802)に変換される。この活性体が NA に選択的に結合することにより、その働きを阻害する。ノイラミニダーゼを阻害されたウイルスは感染細胞から遊離できず、かつウイルス同士がお互いに凝集してしまい、それ以上の増殖が抑制される。
代謝などに関して
代謝は主として 3種類の経路が明らかとなっている。すなわち、①活性体である Ro64-0802への脱エステル化、②水酸化体(M4)への酸化及びカルボン酸体(M3)への更なる酸化、③Ro64-0796のグルクロン酸抱合反応である。
オセルタミビル及び Ro64-0802 は 20μg/mL の濃度においてヒト P450 分子種に対する相互作用はほとんど認められない。 ヒトでは肝臓のcarboxylesterase1 (HCE1) によりオセルタミビルが活性体に代謝されることが示された。
相互作用
(1)併用禁忌とその理由
特になし
(2)併用注意とその理由
(2)併用注意とその理由
特になし
重大な副作用
1)ショック、アナフィラキシー(頻度不明):ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、蕁麻疹、顔面・喉頭浮腫、呼吸困難、血圧低下等があらわれた場合 には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2)肺炎(頻度不明):肺炎の発症が報告されているので、異常が認められた場合には X 線等の検査により原因(薬剤性、感染性等)を鑑別し、適切な処置を行うこと。
3)劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(頻度不明):劇症肝炎等の重篤な肝炎、AST(GOT)、ALT(GPT)、 γ-GTP、Al-P の著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4)皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明):皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死融解症等の皮膚障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5)急性腎障害(頻度不明):急性腎障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6)白血球減少、血小板減少(頻度不明):白血球減少、血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
7)精神・神経症状、異常行動(頻度不明):精神・神経症状(意識障害、譫妄、幻覚、妄想、痙攣 等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、症状に応じて適切な処置を行うこと。因果関係は不明であるものの、インフルエンザ罹患時には、転落等に至るおそれのある異常行動(急に走り出す、徘徊する等)があらわれることがある(「重要な基本的注意」の項参照)。 8)出血性大腸炎、虚血性大腸炎(頻度不明):出血性大腸炎、虚血性大腸炎があらわれることがあるので、血便、血性下痢等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。