・第 Xa 因子阻害剤である本剤は、第 Xa 因子活性部位との親和性が高く、選択的かつ直接的に第 Xa因子を阻害し、しかも良好な体内吸収と高いバイオアベイラビリティを有する薬剤である。
・直接経口抗凝固薬(direct oral
anticoagulants:DOAC)の一つであり、1日1回の経口投与が基本である。
・非弁膜症性心房細動患者と肺血栓塞栓症及び深部静脈血栓症患者に対して、日本人のみを対象とした第Ⅲ相試験を実施した初めての経口第Xa 因子阻害剤である。
構造式または示性式
名前の由来
第 Xa 因子(作用部位)を含む用語を用いた合成用語より命名された。
ステム
血液凝固第 Xa 因子阻害剤、抗血栓剤: -xaban
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発売日
2012年4月
メーカー
バイエル薬品株式会社
適応
非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
深部静脈血栓症及び肺血栓塞栓症の治療及び再発抑制
作用機序
活性化血液凝固第 X 因子(第 Xa 因子)は、内因系及び外因系凝固カスケードの合流点に位置する凝固因子であり、血液凝固反応の中心的な役割を担っている。セリンプロテアーゼである第 Xa 因子は、プロトロンビンをトロンビンに転換し、その結果、第 Xa 因子 1 分子により 1,000 分子以上のトロンビンが生成される。
リバーロキサバンは、経口投与により、選択的かつ直接的に第 Xa 因子を阻害し、トロンビンの生成を抑制することで、抗凝固作用を発揮する。
代謝などに関して
本剤は主に CYP3A4 による代謝経路により代謝され、一部 CYP2J2 の関与が認められた。主要な代謝物はモルホリノン環の酸化分解体及びアミド結合の加水分解体である。なお、代謝物に活性は認められていない。
本剤の未変化体及び代謝物は腎臓及び糞便を介して排泄される。
相互作用
(1) 併用禁忌とその理由
HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル[ノービア]、ロピナビル・リトナビル[カレトラ]、アタザナビル[レイアタッツ]、インジナビル[クリキシバン]、サキナビル[インビラーゼ]、ダルナビル[プリジスタ]、ホスアンプレナビル[レクシヴァ]、ネルフィナビル[ビラセプト])、オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル[ヴィキラックス]
これら薬剤との併用により、CYP3A4 及び P-糖蛋白の強力な阻害が起こり、本剤の血中濃度が上昇して抗凝固作用が増強される。
コビシスタットを含有する製剤(スタリビルド)
コビシスタットを含有する製剤との併用により、CYP3A4の強力な阻害が起こり、本剤の血中濃度が上昇して抗凝固作用が増強される。
一部のアゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール[イトリゾール]、ボリコナゾール[ブイフェンド]、ミコナゾール[フロリード]、ケトコナゾール[日本未発売])
これら薬剤との併用により、CYP3A4 及び P-糖蛋白の強力な阻害が起こり、本剤の血中濃度が上昇して抗凝固作用が増強される。
(2) 併用注意とその理由
抗凝固剤(ヘパリン製剤、低分子ヘパリン製剤など)
両剤の抗凝固作用が相加的に増強される。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤(抗血小板剤[アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンなど]、非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤[ナプロキセン、ジクロフェナクなど])
本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。
選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤
本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強される。
血栓溶解剤(ウロキナーゼ、t-PA製剤[アルテプラーゼなど])
本剤の抗凝固作用とフィブリン溶解作用により相加的に出血傾向が増強される。
フルコナゾール、ホスフルコナゾール
フルコナゾールがCYP3A4を阻害することにより本剤のクリアランスが減少するおそれがある。
クラリスロマイシン、エリスロマイシン
これらの薬剤がCYP3A4 及び P-糖蛋白を阻害することにより本剤のクリアランスが減少する。
リファンピシン
リファンピシンがCYP3A4 及び P-糖蛋白を強力に誘導することにより本剤のクリアランスが増加する。
フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ含有食品
これらの薬剤等がCYP3A4 を強力に誘導することにより本剤のクリアランスが増加する。
重大な副作用
- 出血
- 肝機能障害・黄疸
- 間質性肺疾患
- 血小板減少