【2024年11月20日発売】ユバンシ配合錠(マシテンタン/タダラフィル)の特徴、作用機序

みなさん、こんにちは。今回は2024年11月に新たに発売された肺動脈性肺高血圧症治療薬「ユバンシ配合錠」について、簡単にまとめました。

はじめに:ユバンシ配合錠とは

ユバンシ配合錠は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対する治療薬として開発された、日本初のエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)とホスホジエステラーゼ5(PDE-5)阻害剤の配合剤です。PAHは、国内では2022年度時点で4,529人の患者が報告されている指定難病で、労作時の息切れや易疲労感などを特徴とする進行性疾患です。治療は多剤併用療法が推奨されており、ユバンシはそのニーズに応える新たな選択肢として期待されています。

製品概要

  • 商品名:ユバンシ配合錠
  • 一般名:マシテンタン10mg/タダラフィル40mg
  • 承認日:2024年9月24日
  • 発売日:2024年11月20日
  • 製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社
  • 販売提携先:日本新薬株式会社

作用機序と特徴

ユバンシは、2つの異なる作用機序を持つ薬剤を1錠にまとめた配合剤です。マシテンタンはET-AおよびET-B受容体に拮抗し血管収縮を抑制、タダラフィルはPDE-5を阻害してcGMP濃度を上昇させ、血管拡張を促進します。これにより肺血管抵抗を低下させ、PAHの進行を抑えることが期待されています。加えて、服用錠数の削減によりアドヒアランス向上も期待されます。

効能・効果・適応症

「肺動脈性肺高血圧症」に対する適応を有します。ただし、本剤は第一選択薬ではなく、原則としてマシテンタン10mgおよびタダラフィル40mgの併用で忍容性が確認されている症例に使用が検討されます。

用法・用量と投与時の注意点

通常、成人には1日1回1錠(マシテンタンとして10mg及びタダラフィルとして40mg)を経口投与します。なお、初回からの投与は推奨されず、単剤併用での安定確認後の切り替えが前提です。

相互作用・代謝経路

マシテンタンは主にCYP3A4およびCYP2C9、タダラフィルは主にCYP3A4で代謝されます。強力なCYP3A4阻害剤や誘導剤、硝酸剤との併用は禁忌です。特に硝酸剤・NO供与剤とは降圧作用が相乗し危険です。

食事の影響について

食後投与においても吸収に大きな影響はなく、食事の有無にかかわらず服用可能です。ただし、タダラフィルのCmaxは空腹時よりやや上昇する傾向が認められます。

主な副作用と安全性情報

主な副作用には頭痛、浮腫、貧血、悪心などがあり、特に貧血(6.5%)には注意が必要です。肝機能障害、視覚・聴覚異常のリスクもあり、定期的な検査と経過観察が求められます。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • PAHに対して既にマシテンタン+タダラフィル併用中か
  • 妊婦でないか(避妊指導含む)
  • 重度の腎・肝障害がないか
  • 硝酸薬・NO供与薬の併用予定がないか
  • 定期的な肝機能・Hb・視聴覚のモニタリング体制の確認

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

「飲み忘れに注意し、毎日同じ時間に服用しましょう」「硝酸薬との併用は絶対にNGです。手持ち薬に注意を」。

副作用でめまいや視覚異常がある場合はすぐに医師に相談を。

まとめ

ユバンシ配合錠は、PAH治療における多剤併用の新たな一歩として、患者さんのQOL向上に貢献してくれるお薬です。1錠で済むのも魅力的ですね♪

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