【2024年10月29日発売】ブイタマークリーム1%(タピナロフ)の特徴、作用機序

『みなさん、こんにちは。今回は2024年10月に新たに発売されたアトピー性皮膚炎・尋常性乾癬治療薬「ブイタマークリーム1%」について、簡単にまとめました。』

はじめに: ブイタマーとは

ブイタマークリーム1%(一般名:タピナロフ)は、アトピー性皮膚炎(AD)および尋常性乾癬(PS)の治療に用いられる新しい外用薬です。
ADは強い痒みを伴い、慢性的かつ再発性の炎症を特徴とする皮膚疾患で、日本でも指定難病に位置づけられています。皮疹による生活の質(QOL)低下が大きな課題であり、特に小児から成人まで幅広い患者層に影響します。
一方、PSは銀白色の鱗屑を伴う境界明瞭な紅斑が特徴で、慢性に経過する疾患です。治療の基本は外用副腎皮質ステロイドや外用ビタミンD3ですが、副作用や使用制限が臨床上の課題でした。
ブイタマーは非ステロイド性かつ新規作用機序を持つ低分子外用剤であり、これらの疾患に対する新たな選択肢として期待されています。

製品概要

  • 商品名: ブイタマークリーム1%
  • 一般名: タピナロフ
  • 薬効分類: アトピー性皮膚炎・尋常性乾癬治療剤
  • 製造販売元(輸入元): 日本たばこ産業(株)
  • 販売元: 鳥居薬品(株)
  • 製造販売承認日: 2024年6月24日
  • 薬価基準収載日: 2024年8月15日
  • 発売日: 2024年10月29日

作用機序と特徴

ブイタマー(タピナロフ)は芳香族炭化水素受容体(AhR)調節薬です。
タピナロフがAhRに結合すると転写因子が活性化され、以下のような作用が誘導されます。
・炎症性サイトカイン(IL-4, IL-17Aなど)の産生抑制
・抗酸化分子(NQO1など)の発現誘導
・皮膚バリア機能の改善

これらによりADおよびPSにおける皮膚炎症を抑制し、痒みや紅斑の改善、バリア機能の回復をもたらします。
非ステロイド性であり、副腎皮質ステロイドやビタミンD3外用薬で問題となる副作用リスクを軽減できる点が大きな特徴です。

効能・効果・適応症

  • アトピー性皮膚炎(成人および12歳以上の小児)
  • 尋常性乾癬(成人)

用法・用量と投与時の注意点

  • 通常、1日1回、適量を患部に塗布
  • 漫然とした長期投与は避ける
  • アトピー性皮膚炎:8週間以内に効果が見られなければ中止
  • 尋常性乾癬:12週間以内に効果が見られなければ中止
  • 皮膚感染部位には原則使用せず、必要な場合は抗菌薬等との併用を考慮

相互作用・代謝経路

・皮膚局所で作用する外用薬であり、全身性の薬物相互作用は少ないと考えられています。
・代謝にはCYP1A2、CYP3A4およびUGT1A9が関与し、さらにSULT酵素による抱合も寄与します。
・血漿中濃度は低く、長期使用でも全身曝露は限定的です。

食事の影響について

外用剤であるため、食事による影響はありません。

主な副作用と安全性情報

  • 主な副作用: 適用部位毛包炎、ざ瘡、接触皮膚炎、頭痛、そう痒感、刺激感など
  • 発現率: 臨床試験では約40〜60%に副作用が認められたが、大部分は軽度〜中等度
  • 重篤な副作用: まれだが重度皮膚反応の可能性あり。異常時は投与中止
  • 妊婦・授乳婦: 動物実験で胎児毒性が報告されており、必要性を慎重に検討

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 12歳未満には使用不可(ADの場合)
  • 皮膚感染部位を避ける、または併用治療を考慮
  • 漫然とした長期投与を避け、改善がなければ中止
  • 妊娠・授乳中の患者ではリスクとベネフィットを検討
  • 重度皮膚症状や副作用があれば投与中止を検討

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 1日1回、適量を患部に塗布することを説明
  • 症状改善がなければADは8週、PSは12週で中止の必要あり
  • 目や粘膜には使用しないよう注意
  • 副作用(刺激感、ざ瘡、毛包炎)が出たらすぐ報告するよう指導
  • ステロイドではないため副腎抑制リスクは低いと伝える

ケアポイント(看護師向け)

  • 患部の皮膚状態(発赤、ざ瘡、毛包炎など)を定期的に観察
  • 痒みの変化を患者から聞き取り、QOL改善を評価
  • 感染兆候がある部位には使用を避けるよう指導
  • 患者・家族へ「漫然使用せず改善なければ中止」を周知
  • 塗布時の刺激感や違和感が強い場合は医師に報告

まとめ

『ブイタマーは、アトピー性皮膚炎や乾癬に対する新しい外用薬です。ステロイドに頼らずに治療できる選択肢が増えるのは、患者さんにとって心強いですね。』

執筆者:薬剤師[博士(薬学)]
参考・引用資料:添付文書、インタビューフォーム、適正使用ガイド、メーカープレスリリース資料など
※掲載内容には細心の注意を払っておりますが、古い情報や誤りを含む場合があります。最新の添付文書などをご確認ください。
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