
『みなさん、こんにちは。今回は2024年10月に新たに発売された非小細胞肺癌治療薬「ハイイータン錠50mg」について、簡単にまとめました。』
はじめに: ハイイータンとは
ハイイータン錠50mg(一般名:グマロンチニブ水和物)は、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)に対する分子標的治療薬です。
METエクソン14スキッピング変異は、非小細胞肺癌における重要なドライバー変異のひとつであり、EGFRやALKなど他のドライバー遺伝子変異とは重複せず、一般的に高齢発症例に多く、予後不良とされています。
実際、治療前の生存期間中央値は8.1か月と報告され、治療選択肢の拡充が強く望まれていました。
ハイイータンは、中国Haihe Biopharma社により開発され、大鵬薬品工業が国内導入を行ったMET阻害剤です。
製品概要
- 商品名: ハイイータン錠50mg
- 一般名: グマロンチニブ水和物
- 薬効分類: MET阻害剤(抗悪性腫瘍剤)
- 製造販売承認日: 2024年6月
- 発売日: 2024年10月11日
- 販売元: 大鵬薬品工業株式会社
作用機序と特徴
グマロンチニブは間葉上皮転換因子(MET)のリン酸化を阻害する低分子化合物です。
・METのリン酸化阻害 → 下流シグナル(PI3K/AKT、MAPK経路など)抑制
・腫瘍細胞の増殖抑制、浸潤・転移抑制
前臨床試験において、MET変異やMET増幅を有する非小細胞肺癌細胞株移植モデルで腫瘍増殖抑制作用が確認されました。
国際共同第Ⅱ相試験(GLORY試験)では奏効率65.8%を示し、治療抵抗例に対する有効性が期待されています。
効能・効果・適応症
MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
用法・用量と投与時の注意点
- 通常、成人に1回300mgを1日1回、空腹時に経口投与
- 副作用に応じて250mg、200mg、150mgへ段階的に減量可
- 食事によりCmax・AUCが上昇するため、食事の1時間前〜食後2時間は服用を避ける
- 副作用(間質性肺疾患、肝障害、浮腫など)が出た場合は休薬・減量・中止を判断
相互作用・代謝経路
・主にCYP3A、CYP2C8、CYP2C9で代謝
・未変化体が糞中に約74%排泄される
・MATE1/MATE2-K阻害作用あり → メトホルミン等の血中濃度上昇に注意
・強力なCYP阻害薬・誘導薬併用時は血中濃度変動の可能性あり
食事の影響について
高脂肪食後に投与するとCmax・AUCが約2倍に上昇するため、必ず空腹時に投与する必要があります。
主な副作用と安全性情報
- 重大な副作用: 間質性肺疾患(1.2%)、重度肝障害、QT延長(9.5%)、体液貯留(胸水・心嚢液)、血液障害など
- その他: 浮腫(79.8%)、低アルブミン血症(38.1%)、頭痛(32.1%)、食欲減退(32.1%)、悪心(28.6%)、ALT上昇(26.2%)、AST上昇(21.4%)など
- 副作用発現率は97%以上であり、特に浮腫・肝障害・消化器症状が多い
処方時のチェックリスト(医師向け)
- METエクソン14スキッピング変異陽性であることを確認(承認済み体外診断薬を使用)
- 間質性肺疾患・QT延長・肝障害の既往を確認
- 定期的に胸部画像、肝機能、心電図を評価
- 食事の影響を避けるため空腹時に投与を指示
- 副作用に応じて減量または中止を適切に判断
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 1日1回、必ず空腹時に服用することを説明
- 食後2時間以内の服薬は避けるよう指導
- 副作用(浮腫、呼吸苦、倦怠感、黄疸症状)に注意し早期受診を促す
- 妊娠可能女性には避妊の必要性を説明
ケアポイント(看護師向け)
- 呼吸苦・咳・発熱がないか観察(間質性肺疾患の早期発見)
- 体重・浮腫の有無を定期的にチェック
- 肝障害兆候(黄疸、倦怠感、尿の濃染)の確認
- バイタル測定で不整脈・QT延長リスクを把握
- 患者が「食事と服薬のタイミング」を守れているか確認
まとめ

『ハイイータンは、MET変異陽性の非小細胞肺癌に対する新しい治療薬です。食事との関係や副作用管理に注意しつつ、治療効果が期待できる薬ですね。』
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