
『みなさん、こんにちは。今回は2024年8月に新たに発売された部分発作治療薬「ブリィビアクト錠」について、簡単にまとめました。』
はじめに:ブリィビアクトとは
てんかんは世界で約6,500万人、日本でも約71〜93万人の患者さんがいるとされる中枢神経系の慢性疾患です。発症は乳幼児から高齢者まで幅広く、年間約8万6,000人が新たに診断されると考えられています。
てんかん発作は「部分発作」「全般発作」「分類不能発作」に大別され、中でも部分発作(焦点発作)は全体の約60%を占める最も頻度の高いタイプです。長期的な薬物治療が必要となる疾患ですが、30%程度の患者さんは既存の単剤または併用療法でもコントロール困難な発作に悩まされています。
ブリィビアクト錠(一般名:ブリーバラセタム)は、このような難治性部分発作に対する新たな選択肢として、2024年8月に国内で発売された抗てんかん薬です。
製品概要
- 商品名:ブリィビアクト錠25mg・50mg
- 一般名:ブリーバラセタム
- 製造販売元:ユーシービージャパン株式会社
- 承認日:2024年6月24日
- 薬価基準収載日:2024年8月15日
- 発売日:2024年8月30日
- 剤形:錠剤(25mg、50mg)
- 薬効分類:抗てんかん剤
作用機序と特徴
ブリィビアクトは、脳内のシナプス小胞タンパク2A(SV2A)に高親和性かつ選択的に結合することで、神経伝達物質の放出を制御し、抗てんかん作用を示すと考えられています。この機序はレベチラセタム(LEV)と類似していますが、SV2Aへの親和性はブリーバラセタムの方が高く、より選択的に作用するとされます。
また、本剤は忍容性が高く、初期から有効用量での投与が可能であり、用量漸増の必要がない点も特徴です。単剤・併用療法いずれにも使用可能であり、柔軟な治療設計が可能です。
効能・効果・適応症
てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)
用法・用量と投与時の注意点
通常、成人にはブリーバラセタムとして1日50mgを1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により1日200mgを超えない範囲で適宜増減できる。
相互作用・代謝経路
ブリーバラセタムは主にアミダーゼにより加水分解され、一部CYP2C19により代謝される。また、エポキシドヒドロラーゼ及びCYP2C19を阻害する。
併用注意薬:
- リファンピシン、フェニトインなどCYP誘導薬:血中濃度が低下する可能性あり
- カルバマゼピン:血中濃度が低下する可能性あり。また、カルバマゼピンの活性代謝物であるカルバマゼピン-エポキシドの血中濃度が上昇する可能性もある。
- フェニトイン:血中濃度が低下する可能性あり。また、フェニトインの血中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある。
- アルコール:中枢抑制作用が増強する可能性あり
※同様の作用機序を有するレベチラセタムにブリーバラセタムを併用しても有効性の増強が期待されないことを踏まえ、臨床試験ではイーケプラ錠(レベチラセタム)との併用は禁止されていた。
食事の影響について
食事の有無による吸収への影響はほとんどないとされています。ただし、吸収のばらつきを避けるため、可能であれば毎回同じタイミング(食後または空腹時)で服用することが推奨されます。
主な副作用と安全性情報
主な副作用(発現頻度が高いもの)
- 傾眠(10〜15%)
- めまい
- 疲労感
- 吐き気
- 興奮・攻撃性・抑うつなど精神神経症状(小児で特に注意)
重篤な副作用:
- 精神症状(精神錯乱、敵意など)
- アナフィラキシー反応(まれ)
- 過敏症状(皮膚症状、呼吸器症状など)
処方時のチェックリスト(医師向け)
- 焦点発作の診断が明確か
- 既存の抗てんかん薬との併用の有無を確認
- 精神症状の既往歴に注意
- CYP2C19誘導薬使用時は効果減弱に注意
- 14日制限解除済みであることを確認(長期処方可)
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 1日2回規則正しく服用するよう説明(朝夕など)
- 眠気・めまいなど初期副作用に注意喚起
- アルコール摂取は控えるよう指導
- 中止・変更時は医師の指示を厳守
- 他の抗てんかん薬との重複に注意(レベチラセタムなど)
ケアポイント(看護師向け)
- 服薬状況・副作用の有無を定期的に確認
- 眠気・注意力低下による転倒リスクに配慮
- 精神症状(イライラ・不安・抑うつ)に関する患者の変化に注目
- 長期処方になった患者の通院サイクルの変化を確認
- 家族にも服薬管理の協力を促す
まとめ

『ブリィビアクトは、発作をうまくコントロールできずに困っている方にとって心強いお薬やね。毎日しっかり続けて、安心できる毎日が送れるようにサポートしていこな〜☺️』