
『みなさん、こんにちは。今回は2025年7月に新たに発売された尿路上皮がん治療薬「バルバーサ」について、簡単にまとめました。』
はじめに:バルバーサとは
バルバーサ錠(一般名:エルダフィチニブ)は、FGFR3遺伝子変異または融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮がんの治療薬です。尿路上皮がんは膀胱に多く発生し、進行すると治療が難しくなるがんです。膀胱がんの国内新規診断者数は年間約23,000人、死亡者数は約9,600人と報告されています。転移例では5年生存率が20%以下と予後不良ですが、尿路上皮がん患者の約20%にFGFR遺伝子異常が見られることが分かっています。従来治療が効かなくなった場合の新たな選択肢として、FGFR阻害剤による個別化治療が注目されています。
製品概要
- 商品名:バルバーサ錠3mg・4mg・5mg
- 一般名:エルダフィチニブ
- 製造販売元:ヤンセンファーマ(株)
- 薬効分類:その他の腫瘍用薬
- 効能・効果:がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異または融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮癌
- 承認日:2024年12月27日 発売日:2025年7月16日
- 包装:28錠(PTPシート)
作用機序と特徴
バルバーサは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のチロシンキナーゼ活性を選択的に阻害します。特にFGFR3変異やFGFR融合タンパクのリン酸化を抑制し、腫瘍細胞の増殖シグナル伝達を遮断することで、腫瘍の進行を抑制します。
効能・効果・適応症
がん化学療法後に増悪したFGFR3遺伝子変異または融合遺伝子を有する根治切除不能な尿路上皮癌
(FGFR異常は承認済み体外診断薬で確認が必要)
用法・用量と投与時の注意点
・通常、成人にはエルダフィチニブとして1日1回8mgを2週間経口投与し、その後は1日1回9mgを継続投与します。
・血清リン濃度や副作用発現時に応じて減量・休薬等を行います(最小4mgまで段階的減量可)。
・眼科的副作用のため定期的な眼科検査が必要です。
・PTPシートは必ず取り出して服用を指導してください。
相互作用・代謝経路
- CYP2C9およびCYP3A4で主に代謝される。
- 強いCYP3A・CYP2C9阻害剤・誘導剤との併用で血中濃度変化のリスクあり(例:イトラコナゾール、フルコナゾール、カルバマゼピン等)。
- P-gp阻害によるジゴキシン等の血中濃度上昇リスクあり。
食事の影響について
食事の影響は軽微であり、空腹時・食後どちらでも服用可能です。
主な副作用と安全性情報
- 高頻度:高リン血症(78.5%)、下痢(54.8%)、口内炎(45.9%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(30.4%)など
- 重篤な副作用:網膜剥離(12.6%)、角膜障害(5.2%)、急性腎障害(3.0%)、重度の爪障害、手足症候群等
- その他:味覚異常、脱毛、肝機能異常、貧血、口腔内乾燥、発疹、疲労感など
異常があれば速やかに休薬・中止・適切な処置を行います。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- FGFR3遺伝子変異/融合遺伝子の確認と記録
- 前治療歴(化学療法、PD-1/PD-L1阻害剤)確認
- 眼科的副作用・腎障害・高リン血症への対応体制
- 定期的な眼科・腎機能・血清リン・カルシウム検査
- 患者・家族への説明と同意取得
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- PTPシートから取り出して服用指導
- 副作用(視覚異常、口内炎、下痢、皮膚症状など)の早期対応
- 他剤併用(CYP阻害・誘導薬、P-gp基質薬等)の確認
- 定期受診・検査の重要性指導
ケアポイント(看護師向け)
- 服薬管理と服用状況の確認
- 視覚異常・手足症候群・腎機能低下・皮膚症状などのモニタリング
- 日常生活指導(口腔・皮膚・爪のケア、高リン血症の食事制限等)
- 家族・多職種連携でQOL支援
まとめ

『バルバーサは、従来治療が難しい尿路上皮がんに対する新たな経口FGFR阻害剤です。個別化治療の選択肢として、チーム医療で患者さんをサポートしていきましょう。』
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