
『みなさん、こんにちは。今回は2025年6月に新たに発売された無または低ガンマグロブリン血症治療薬「ハイキュービア」について、簡単にまとめました。』
はじめに:ハイキュービアとは
ハイキュービアは、免疫グロブリンG(IgG)補充療法が必要な無または低ガンマグロブリン血症の患者さんに対して使用される、国内初の促進型皮下注用免疫グロブリン製剤です。原発性免疫不全症候群(PID)や続発性免疫不全症候群(SID)など、抗体産生不全による免疫不全により、易感染性や重篤な感染症を繰り返す患者さんの治療選択肢として位置づけられています。
従来のIgG補充療法は静脈投与が中心でしたが、ハイキュービアはボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)と併用することで、皮下への大量IgG投与が可能となり、静脈路の確保が困難な場合や外来での長期治療の利便性向上にも寄与します。
製品概要
- 商品名:ハイキュービア10%皮下注セット5g/50mL・10g/100mL・20g/200mL
- 一般名:pH4処理酸性人免疫グロブリン(皮下注射)/ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)
- 製造販売元:武田薬品工業株式会社
- 薬効分類:血漿分画製剤・皮下注用人免疫グロブリン製剤
- 効能・効果:無または低ガンマグロブリン血症
- 承認日:2024年12月27日 発売日:2025年6月12日
- 包装:5g/50mL、10g/100mL、20g/200mL 各セット
作用機序と特徴
ハイキュービアは、まずボルヒアルロニダーゼ アルファ(rHuPH20)を皮下注射し、局所的かつ一時的に皮下組織の透過性を高めます。その直後、同じ部位に人免疫グロブリン製剤(IgG)を皮下注射することで、IgGの拡散・吸収が促進され、一度に大量のIgGを投与できます。これにより、3~4週間ごとという長い間隔で皮下投与が可能となり、静脈確保が難しい患者や外来患者に適しています。
効能・効果・適応症
無または低ガンマグロブリン血症の治療
(他に慢性炎症性脱髄性多発根神経炎や多巣性運動ニューロパチーの進行抑制にも適応あり)
用法・用量と投与時の注意点
・まずボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)を皮下投与し、約10分以内に同じ部位へ人免疫グロブリンGを皮下投与します。
・通常、IgGとして150~600mg/kg体重を3週間に1回、または200~800mg/kg体重を4週間に1回投与。
・投与は用量の1/3または1/4から開始し、漸増します。
・投与間隔や投与量は患者の状態により調整。
・1日に投与できる最大量や投与速度、複数部位投与の基準にも留意が必要です。
・必ずボルヒアルロニダーゼ アルファを先に投与し、2つの薬剤を混合しないこと。
相互作用・代謝経路
本剤投与中・投与後は生ワクチンの効果が得られない場合があり、生ワクチン接種は本剤投与後3カ月以上空ける必要があります。
また、血漿由来製剤のためウイルス感染症等の伝播リスクについても説明が必要です。
食事の影響について
食事の影響は特にありません。
主な副作用と安全性情報
- 注射部位反応(疼痛、紅斑、そう痒感、腫脹、漏出など)
- 頭痛、発熱、悪心、筋肉痛、関節痛、発疹、倦怠感
- 重大な副作用:アナフィラキシー反応、無菌性髄膜炎症候群、急性腎障害、血栓塞栓症、肝機能障害、溶血性貧血、血小板減少など
副作用の発現時は速やかに医療機関へ相談し、定期的な血液検査、腎機能・肝機能のモニタリングが推奨されます。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- IgG補充療法が必要な無または低ガンマグロブリン血症患者か
- 本剤の成分に対する過敏症・ショックの既往歴有無
- 感染症リスク、ウイルス伝播リスク、溶血性貧血等の合併症リスクの確認
- 投与スケジュール、最大投与量、漸増投与の管理
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 投与方法(必ずボルヒアルロニダーゼ アルファを先に、混合しない等)
- 副作用・体調変化時の連絡先案内
- 生ワクチン接種時期・感染症リスクの説明
ケアポイント(看護師向け)
- 注射部位の観察とケア
- 体調変化・副作用早期発見のための声かけ
- 定期通院や検査受診のフォロー
まとめ

『ハイキュービアは、無または低ガンマグロブリン血症の新しい皮下注用IgG補充療法として、患者さんの日常生活や治療継続の負担軽減に貢献するお薬です。』
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