【2024年11月20日発売】タスフィゴ錠35mg(タスルグラチニブコハク酸塩)の特徴、作用機序

みなさん、こんにちは。今回は2024年11月に新たに発売された胆道がん治療薬「タスフィゴ錠」について、簡単にまとめました。

はじめに:タスフィゴ錠とは

タスフィゴ錠(一般名:タスルグラチニブコハク酸塩)は、がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌に対する分子標的治療薬です。胆道がんは、国内で年間約22,000人が罹患する稀少がんで、5年生存率が約25%と予後不良な疾患です。特に肝内胆管がんの14%にFGFR2融合遺伝子が認められており、本薬のターゲットとなります。

製品概要

  • 商品名:タスフィゴ錠35mg
  • 一般名:タスルグラチニブコハク酸塩
  • 承認日:2024年9月24日
  • 発売日:2024年11月20日
  • 製造販売元:エーザイ株式会社

作用機序と特徴

タスルグラチニブは、FGFR1、2、3を選択的に阻害する低分子化合物です。FGFR融合タンパクのチロシンキナーゼ活性を抑制することで、腫瘍の成長や進行に関与するシグナル伝達経路をブロックし、抗腫瘍効果を発揮します。特にFGFR2融合遺伝子を有する肝内胆管がんに対して、高い奏効率(30.2%)が報告されています。

効能・効果・適応症

「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌」に対する効能・効果があります。FGFR2融合遺伝子は、承認されたコンパニオン診断薬で確認された患者のみが対象です。

用法・用量と投与時の注意点

通常、成人には1日1回140mgを空腹時に経口投与します。食後の服用では吸収が低下するため、食事の1時間前から食後2時間までは服薬を避ける必要があります。副作用に応じた段階的な減量が設定されており、高リン血症や網膜剥離のリスクに備えた定期的なモニタリングが必須です。

相互作用・代謝経路

タスルグラチニブは主にCYP4F12、CYP2J2、CYP3A4で代謝され、M2という活性代謝物を生成します。CYP酵素の誘導・阻害作用に注意が必要で、リファンピシンなどとの併用時は薬物動態に影響が生じます。P-gpやBCRPの阻害作用も報告されており、他剤との併用に慎重な対応が求められます。

食事の影響について

高脂肪食との併用により、CmaxおよびAUCが低下します。効果的な血中濃度維持のためにも、必ず空腹時(食前1時間〜食後2時間は避ける)に服用するよう指導が必要です。

主な副作用と安全性情報

頻度の高い副作用は高リン血症(82.6%)、爪障害(72.5%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(49.3%)です。重篤な副作用として網膜剥離や視力障害も報告されており、眼科的な定期検査が必要です。Grade 3以上の有害事象では、休薬または減量の判断が重要です。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • FGFR2融合遺伝子がコンパニオン診断で確認されているか
  • 食事時間と服薬のタイミングに注意が払えるか
  • 視力障害の既往がないか、または眼科検査体制の整備
  • 高リン血症への対応(検査・食事指導)体制
  • 肝機能障害の有無

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

「食前1時間、または食後2時間以降に服用してください」「目の異常を感じたらすぐに医師へ相談を」。高リン血症対策として、血液検査の重要性も伝えましょう。

まとめ

タスフィゴは、FGFR2融合遺伝子を標的にした新たな胆道がん治療の一手。空腹時内服は忘れがちだけど、しっかりと薬の効果を出すためには重要です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です