
『みなさん、こんにちは。今回は2025年5月に新たに発売された子宮頸がん治療薬「テブダック点滴」について、簡単にまとめました。』
はじめに:テブダックとは
テブダック(一般名:チソツマブ ベドチン)は、2025年5月21日にジェンマブ株式会社から新発売された、進行または再発の子宮頸がんに対する抗悪性腫瘍剤です。がん化学療法後に増悪した症例を対象とするファースト・イン・クラスの抗体薬物複合体(ADC)で、腫瘍細胞に高発現する組織因子(TF)に対する抗体と微小管阻害薬MMAEを結合した構造が特徴です。
治療選択肢が限られる進行・再発例に新たな作用機序で有効性が示され、国際共同第Ⅲ相試験でも全生存期間の延長が確認されています。また、本剤投与にあたっては眼障害リスクがあるため、眼科管理や予防的点眼剤の併用が推奨されています。
製品概要
- 商品名:テブダック点滴静注用40mg
- 一般名:チソツマブ ベドチン(遺伝子組換え)
- 製造販売元:ジェンマブ株式会社
- 薬効分類:その他の腫瘍用薬(ADC)
- 効能・効果:がん化学療法後に増悪した進行又は再発の子宮頸癌
- 承認日:2025年3月27日 発売日:2025年5月21日
- 包装:1バイアル
作用機序と特徴
テブダックは、腫瘍細胞表面に高発現する組織因子(TF)を標的とした抗体薬物複合体(ADC)です。TFに結合した抗体が腫瘍細胞に取り込まれ、リンカーで結合した微小管阻害薬モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を細胞内で遊離し、微小管重合阻害によってアポトーシスを誘導します。TFは子宮頸がんを含む多くの固形がんで高発現しており、本剤はTF発現腫瘍に対する高い抗腫瘍効果を示します。
効能・効果・適応症
がん化学療法後に増悪した進行または再発の子宮頸癌
用法・用量と投与時の注意点
通常、成人にはチソツマブ ベドチンとして1回2mg/kg(体重)を30分以上かけて、3週間間隔で点滴静注します(1回最大200mg)。患者の状態により減量可能です。眼障害対策として、副腎皮質ステロイド点眼剤を投与24時間前から4日間、血管収縮点眼剤(ブリモニジン酒石酸塩)を投与直前に1~3滴、ドライアイ治療用点眼剤を投与開始日から終了後30日まで使用します。投与前後の眼科的観察と早期副作用対応が必須です。
相互作用・代謝経路
MMAEは主にCYP3A4で代謝されます。CYP3A4阻害薬併用で本剤の血中濃度が上昇する可能性があり、注意が必要です。他の強力なCYP3A4誘導薬や肝機能障害を有する患者では投与に注意します。
食事の影響について
点滴静注製剤のため、食事の影響はありません。
主な副作用と安全性情報
- 重篤な眼障害(角膜障害、視力低下、失明等)
- 末梢神経障害(感覚異常、しびれなど)
- 好中球減少、発熱性好中球減少
- 疲労、悪心、下痢、食欲減退
- 注射部位反応、皮膚障害、肝機能障害
重篤な眼障害リスクが高いため、投与前後は必ず眼科診察を行い、副作用出現時は速やかに中止・適切な対応が必要です。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- 進行・再発子宮頸がんに対し、既治療歴・病勢進行例か確認
- 投与前に眼科医の診察実施と副作用リスク説明、同意取得
- 点眼薬3種(副腎皮質ステロイド、血管収縮、ドライアイ治療)を指示
- 投与中・後の眼障害、末梢神経障害、骨髄抑制、肝障害等のモニタリング
- 妊婦・授乳婦・小児・肝障害患者は慎重投与
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 眼障害(視力低下・異物感・充血等)の早期受診指導
- 点眼薬の使用方法・期間とその重要性を説明
- 末梢神経障害や倦怠感、発熱、下痢など副作用発現時の医療機関受診を徹底
- 併用薬(CYP3A4阻害・誘導薬など)の確認
- 定期的な血液・肝機能検査の重要性
ケアポイント(看護師向け)
- 投与時の全身状態・バイタルチェック
- 眼障害や末梢神経障害の症状聴取・観察
- 点眼薬の正しい使用指導、自己管理サポート
- 副作用発現時の早期対応と眼科・医師への連携
- 心理的サポートや療養指導
まとめ

『テブダックは治療選択肢が限られる進行・再発子宮頸がんに対し、新たな作用機序で期待される薬剤です。特に眼障害リスクの管理や多職種連携が重要となるため、チーム医療での活用を意識したいですね。』
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