レルベアは、長時間作用性β2刺激薬(LABA)であるビランテロールトリフェニル酢酸塩と吸入ステロイド薬(ICS)であるフルチカゾンフランカルボン酸エステルの2つの有効成分を含む吸入粉末剤である。
レルベアは、ドライパウダー吸入器エリプタを採用している。この吸入器には、2 つの両面アルミニウム製のストリップ(帯状のアルミシート)が装填されており、一方のストリップのブリスターには微粉化したフルチカゾンフランカルボン酸エステル及び乳糖水和物の混合粉末が含まれ、他方のストリップのブリスターには微粉化したビランテロールトリフェニル酢酸塩、ステアリン酸マグネシウム及び乳糖水和物の混合粉末が充填されている。1 回の吸入により、2 つのストリップからそれぞれブリスター1 個分の内容物が同時に放出される構造になっている。
喘息治療の目標は、健康人と変わらない日常生活が送れるようにすることである。本邦の喘息予防・管理ガイドライン(JGL)において、ICS は、あらゆる重症度の喘息患者に対して、基本治療薬であることが記されている。また、低用量又は中用量の ICS の単独投与で喘息をコントロールできなかったときには、LABAの追加療法が推奨されている。ICS を単独投与するよりも ICS/LABA 配合剤として投与することにより、より低用量の ICS で、かつ、より短期間に高いコントロールが得られる(Global Initiative for Asthma(GINA),JGL)ことから、レルベア 100、200 エリプタは、「気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入 β2刺激剤の併用が必要な場合)」の効能又は効果で国内製造販売承認申請を行い、2013 年 9 月に承認を取得した。
また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対する薬物治療の目標は、症状を軽減し、増悪の頻度と重症度を低下させ、健康状態と運動耐容能を改善することである(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD))。GOLD、COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン(JRS COPD)において、COPD を安定的に管理する場合、ICS と LABA の併用は、配合成分の単剤治療に比べ、増悪の減少と呼吸機能及び健康状態の改善に対して有効性が高いことが記載されている。そのため、レルベア 100 エリプタは「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入 β2 刺激剤の併用が必要な場合)」の効能又は効果で国内製造販売承認申請を行い、2016 年 12 月に承認を取得した。
さらに、2024 年 6 月には、5 歳以上 12 歳未満の小児を対象に「気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入 β2刺激剤の併用が必要な場合)」を効能又は効果として、小児用レルベア 50 エリプタの製造販売承認を取得した。また、レルベア 100 エリプタは、12 歳以上の小児気管支喘息に対し用法及び用量を追加する製造販売承認事項一部変更が追加承認された。
なお、レルベアエリプタは、米国において 2013 年 5 月に COPD、2015 年 4 月に喘息、2023 年 5 月に 5 歳以上の小児に対する喘息を適応として承認され、欧州において 2013 年 11 月に喘息及び COPD を適応として承認されている。
作用機序
作用部位:肺・気道局所
作用機序:ビランテロール/フルチカゾンフランカルボン酸エステルは、長時間作用性 β2 刺激薬(LABA)であるビランテロールトリフェニル酢酸塩と吸入ステロイド薬(ICS)であるフルチカゾンフランカルボン酸エステルとの配合吸入用散剤である。一般に、β2 刺激薬は β2 受容体に結合し、アデニル酸シクラーゼを活性化して細胞内サイクリック AMP(cAMP)を増加させる。その結果、プロテインキナーゼ A(PKA)が活性化し、気管平滑筋の弛緩作用等の薬理作用を示すと考えられている。また、一般に、ステロイドは細胞質内のグルココルチコイド受容体に結合し、複合体を形成し活性化する。受容体複合体は核内へ移行し、DNA 上のグルココルチコイド応答性エレメントに結合し、標的となる遺伝子転写を促進又は抑制する。その結果、炎症に関与するケミカルメディエータやサイトカイン等の産生を遺伝子レベルで調節し、抗炎症作用を発揮する。
製品情報
商品名 | 小児用レルベア50エリプタ14吸入用、同50エリプタ30吸入用 |
一般名 (洋名) | ビランテロールトリフェニル酢酸塩/フルチカゾンフランカルボン酸エステル (Vilanterol Trifenatate/Fluticasone Furoate) |
承認年月日 | 2024年6月24日 |
発売年月日 | 2024年8月23日 |
メーカー | グラクソ・スミスクライン(株) |
名前の由来 | レルベア:該当資料なし エリプタ:楕円形(ellipse) |
ステム | ビランテロールトリフェニル酢酸塩:気管支拡張剤、フェネチルアミン誘導体:-terol フルチカゾンフランカルボン酸エステル:該当しない |
[こちらも参照:ステムで薬の名前を暗記!【一覧リスト】薬が覚えられない人必見!]
効能又は効果
- 小児用レルベア50エリプタ
- 気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
- レルベア100エリプタ
- 気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
- 慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
- レルベア200エリプタ
- 気管支喘息(吸入ステロイド剤及び長時間作動型吸入β2刺激剤の併用が必要な場合)
有効な抗菌剤の存在しない感染症、深在性真菌症の患者[ステロイドの作用により症状を増悪するおそれがある。]
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
用法及び用量
〈気管支喘息〉
成人
通常、成人にはレルベア100エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg)を1日1回吸入投与する。
なお、症状に応じてレルベア200エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして200μg)を1日1回吸入投与する。
小児
通常、12歳以上の小児にはレルベア100エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg)を1日1回吸入投与する。
通常、5歳以上12歳未満の小児には小児用レルベア50エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして50μg)を1日1回吸入投与する。
〈慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)の諸症状の緩解〉
通常、成人にはレルベア100エリプタ1吸入(ビランテロールとして25μg及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルとして100μg)を1日1回吸入投与する。
・本剤は既に起きている気管支喘息の発作又は慢性閉塞性肺疾患の増悪を速やかに軽減する薬剤ではないので、毎日規則正しく使用するよう患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者を指導すること。
・本剤の投与期間中に発現する気管支喘息の急性の発作又は慢性閉塞性肺疾患の急性増悪に対しては、短時間作動型吸入β2刺激剤(例えば吸入用サルブタモール硫酸塩)等の他の適切な薬剤を使用するよう患者、保護者又はそれに代わり得る適切な者に注意を与えること。
代謝・代謝酵素について
ビランテロールトリフェニル酢酸塩:
主代謝経路は O-脱アルキル化による GW630200 及び GSK932009 の生成である。
フルチカゾンフランカルボン酸エステル:
主代謝経路は S–フルオロメチルカルボチオエート基が加水分解した GW694301X の生成である。
ビランテロールトリフェニル酢酸塩及びフルチカゾンフランカルボン酸エステルはいずれも主に CYP3A4
により代謝される(in vitro 試験)。
食事の影響
該当資料なし
副作用(抜粋)
重大な副作用として、アナフィラキシー反応(咽頭浮腫、気管支痙攣等)、肺炎が報告されている。
その他、1%以上で口腔咽頭カンジダ症、発声障害が報告されている。
情報更新日:2024年09月