【2025年4月18日発売】アナエブリ皮下注200mgペン(ガラダシマブ)の特徴、作用機序

『みなさん、こんにちは。今回は2025年4月に新たに発売された遺伝性血管性浮腫発作抑制薬「アナエブリ皮下注200mgペン」について、簡単にまとめました。』

はじめに:アナエブリとは

アナエブリ(一般名:ガラダシマブ)は、2025年4月18日にCSLベーリング株式会社より新発売された、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制に用いるヒト抗活性化第XII因子(FXIIa)モノクローナル抗体製剤です。HAEは常染色体優性遺伝を背景とした希少疾患で、全身の皮下や粘膜に繰り返し発作的な腫脹を生じ、特に喉頭浮腫では生命予後を脅かすこともあります。国内の診断・治療中患者数は約430名と非常に限られています。

これまでHAEの急性発作抑制にはC1インアクチベーター補充療法やカリクレイン阻害剤、ブラジキニン受容体拮抗薬などが用いられてきましたが、発作頻度やQOLへの影響、治療負荷の軽減といった課題が残っていました。

アナエブリはFXIIaを標的とし、発作に関連するカリクレイン-キニン系の活性化を抑制する新たな作用機序を持つ初の抗体薬であり、月1回皮下注による定期投与が可能な点も大きな特徴です。これにより、患者の発作予防とQOL向上に新たな選択肢を提供します。

製品概要

  • 商品名:アナエブリ皮下注200mgペン
  • 一般名:ガラダシマブ(遺伝子組換え)
  • 製造販売元:CSLベーリング株式会社
  • 薬効分類:その他のアレルギー用薬(活性化第XII因子阻害剤)
  • 効能・効果:遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制
  • 承認日:2025年2月20日
  • 発売日:2025年4月18日
  • 包装:1ペン

作用機序と特徴

ガラダシマブは、活性型第XII因子(FXIIa)の触媒ドメインに結合し、その活性を阻害します。これによりカリクレイン-キニン系の活性化を抑制し、炎症性メディエーターであるブラジキニンの産生を減少させることで、HAEの発作抑制効果を発揮します。ヒトIgG4モノクローナル抗体で、月1回の皮下注射による持続的な発作予防が可能です。

効能・効果・適応症

遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制。成人および12歳以上の小児に適応があります。

用法・用量と投与時の注意点

通常、成人および12歳以上の小児には初回400mgを皮下注射し、以降は200mgを月1回皮下注します。投与部位は腹部・大腿部・上腕部で交替し、毎回部位を変えて投与します。注射部位や皮膚に異常がある場合は避け、冷蔵庫から取り出して室温に戻してから投与します。急性発作治療目的では使用せず、使用方法・意義を十分に説明したうえで投与します。

相互作用・代謝経路

本剤の主要な代謝経路は明記されていませんが、ヒトIgG4抗体として分解・排泄されます。併用薬との相互作用は報告されていません。抗薬物抗体が2.9%で検出されていますが、薬効への影響は明らかでありません。

食事の影響について

皮下注射製剤のため、食事の影響はありません。

主な副作用と安全性情報

  • 注射部位反応(内出血、紅斑、そう痒感/5%以上)
  • 重篤な過敏症(アナフィラキシー等/頻度不明)
  • aPTT・プロトロンビン時間延長(出血関連事象はまれ)
  • その他:発疹、倦怠感、頭痛、関節痛など

副作用発現時は観察を十分に行い、重篤な場合は速やかに投与中止・対応が必要です。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 適応症・年齢・投与目的(発作抑制)を確認
  • 過敏症既往の確認と重篤な過敏症状出現時の対応体制
  • 急性発作治療薬との併用・持参指導
  • 妊婦・授乳婦・12歳未満小児への投与可否検討
  • 自己注射の教育と管理、保存方法・廃棄方法の指導

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 副作用(注射部位反応・過敏症等)の説明と副作用出現時には受診勧奨
  • 投与部位について・使用方法の指導
  • 冷蔵庫から出して室温に戻してから投与すること
  • 急性発作時は他の適切な治療薬を必ず持参・使用することを説明
  • 妊娠・授乳中、体調変化時の医師相談

ケアポイント(看護師向け)

  • 注射部位や全身症状の観察と副作用早期発見
  • 重篤な過敏症(アナフィラキシー)等への対応体制
  • 自己注射・在宅管理のサポート、家族指導
  • 投与日・体調の記録、心理的サポート

まとめ

『アナエブリは、月1回の自己注射で遺伝性血管性浮腫の発作予防ができる新しいお薬です。副作用や投与法のポイントを押さえつつ、安心して治療継続できるよう現場でサポートしていきたいですね。』

執筆者:薬剤師[博士(薬学)]
参考・引用資料:添付文書、インタビューフォーム、適正使用ガイド、メーカープレスリリース資料など
※掲載内容には細心の注意を払っておりますが、古い情報や誤りがある場合がございます。最新の添付文書などをご確認ください。
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