頭皮に使える塗り薬一覧【医療用】ステロイドローション・シャンプー・ビタミンD3外用薬の使い分けを薬剤師が解説

こんにちは、薬剤師のみかんです。

「頭に軟膏を出されたけど、髪がベタベタになって塗れない…」そんな声を窓口で聞くこと、ありませんか?頭皮は毛があるので、軟膏やクリームだと塗りにくく、アドヒアランスが下がりやすい部位なんです。

今回は、頭皮に使いやすいローション・シャンプー・ゲルなどの医療用外用薬を、疾患別・薬効別に整理しました。最近は販売中止になった製品もあるので、処方監査や疑義照会のポイントもあわせて確認していきましょう。

この記事でわかること

  • 頭皮に使える医療用外用薬(ローション・シャンプー・ゲルなど)の一覧
  • ステロイド・活性型ビタミンD3・抗真菌薬・脱毛症治療薬の使い分け
  • 使用量上限など、処方監査で確認したいポイント
  • デルモベートスカルプローション・ネリゾナソリューション・トプシムスプレー販売中止後の対応
  • そのまま使える患者説明トーク

頭皮に外用薬を使うときの基礎知識

なぜ頭皮には「ローション」が選ばれるのか

頭皮は毛髪が密集しているため、軟膏やクリームでは地肌まで薬が届きにくく、髪にも付着してベタつきます。そのため、有毛部には液状で伸びが良いローション剤やソリューション(液剤)、シャンプー剤、ゲル剤が選ばれることが多いです。

一方で、液状の製剤は垂れやすいという弱点があります。頭皮に塗った薬が額やまぶたに流れると、ステロイドの場合は眼への影響も心配になるため、塗り方の指導がとても大切です。

ローションの塗布量の目安は「1円玉大で約0.5g」とされています。軟膏の1FTU(人差し指の先から第一関節まで)に相当する量で、手のひら2枚分の面積に塗れる量です。頭皮の場合は、髪をかき分けて患部に直接つけてから指の腹でなじませるよう伝えると、塗り残しが減りますよ。

頭皮に外用薬を使う主な疾患

  • 脂漏性皮膚炎(フケ、赤み、かゆみ)
  • 尋常性乾癬(頭部は好発部位のひとつ)
  • 湿疹・皮膚炎(接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎の頭部病変など)
  • 脱毛症(円形脱毛症など)

頭皮の赤みやフケの原因は、脂漏性皮膚炎・乾癬・白癬(しらくも)など多岐にわたります。特に頭部白癬にステロイドを使うと悪化するおそれがあるので、診断がついていない状態での自己判断の使用は避けてもらうよう伝えましょう。

頭皮に使える医療用外用薬一覧

ステロイド外用薬(ローション・ゾル・シャンプー)

頭皮の湿疹・皮膚炎や乾癬で最もよく使われるのがステロイド外用薬です。頭皮は前腕などと比べて経皮吸収が高い部位とされる一方、毛髪に阻まれて薬が患部に届きにくく、乾癬では厚い鱗屑もあるため、ベリーストロング以上のランクが選ばれることも少なくありません。症状が落ち着いたら、ランクを下げたり塗布回数を減らしたりしていくのが基本です。

ランク製品名一般名剤形
ストロンゲストクロベタゾールプロピオン酸エステルローション0.05%(MYK/イワキ/ラクール)、グリジールスカルプローション0.05%クロベタゾールプロピオン酸エステルローション
ストロンゲストコムクロシャンプー0.05%クロベタゾールプロピオン酸エステルシャンプー(短時間接触)
ベリーストロングアンテベートローション0.05%ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルローション
ベリーストロングフルメタローション0.1%モメタゾンフランカルボン酸エステルローション
ベリーストロングリンデロン-DPゾルベタメタゾンジプロピオン酸エステルゾル(粘稠な液)
ベリーストロングトプシムローション0.05%フルオシノニドローション
ベリーストロングパンデルローション0.1%酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾンローション
ストロングリンデロン-Vローションベタメタゾン吉草酸エステルローション
ストロングリンデロン-VGローションベタメタゾン吉草酸エステル・ゲンタマイシン硫酸塩ローション
ストロングメサデルムローション0.1%デキサメタゾンプロピオン酸エステルローション
ストロングエクラーローション0.3%デプロドンプロピオン酸エステルローション
ミディアムリドメックスコーワローション0.3%プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルローション

コムクロシャンプーは「塗って15分で洗い流す」特殊な製剤

コムクロシャンプー0.05%は、ストロンゲストランクのクロベタゾールプロピオン酸エステルを含むシャンプー剤です。用法は、1日1回、乾燥した頭部の患部を中心に適量を塗布し、約15分後に水または湯で泡立てて洗い流すというものです。使用4週間を目安に必要性を検討し、漫然と使用を継続しないことが添付文書に記載されています。

メーカーの患者指導資材では、成人の頭皮全体に塗れる量は500円玉3枚分(約7.5mL)で、これを超えないよう案内されています。

「乾いた髪に塗る」のがポイントです。濡れた頭皮に塗ると液垂れして眼に入りやすくなるため、乾燥した頭皮への塗布とされています。お風呂の直前に塗って、15分待ってから入浴、という流れで説明すると伝わりやすいですよ。

リンデロン-DPゾルはイソプロパノールを含む

リンデロン-DPゾルは無色澄明の粘稠な液で、添加剤にイソプロパノールを含みます。液状で頭皮に塗り広げやすい一方、掻き壊しやびらんがある部位ではしみることがあります。

パンデルローションは「よく振って」「火気を避けて保管」

パンデルローション0.1%は、添加剤にエタノールとイソプロパノールを含みます。添付文書には、よく振ってから使用すること、火気を避けて保管することが記載されています。

ローション剤は、製品によって振ってから使うもの、アルコールを含むものなど取り扱いが違います。ドライヤーやたばこなど、頭まわりは火気に近づく場面も多いので、アルコール含有製剤では「塗った直後に火を近づけない」「火のそばに置かない」とひと言添えると親切ですね。

活性型ビタミンD3外用薬・配合剤(乾癬)

頭部の尋常性乾癬では、活性型ビタミンD3外用薬や、ステロイドとの配合剤も選択肢になります。いずれも血清カルシウム値上昇のリスクがあるため、使用量上限の確認が必須です。

製品名一般名用法使用量上限
オキサロールローション25μg/gマキサカルシトール1日2回マキサカルシトール外用製剤として1日10g(250μg)まで
ボンアルファハイローション20μg/gタカルシトール水和物1日1回本剤として1日10gまで(他のタカルシトール外用剤併用時はタカルシトールとして1日200μgまで)
ドボベットゲルカルシポトリオール水和物・ベタメタゾンジプロピオン酸エステル1日1回1週間に90gまで

上限は「剤形ごと」ではなく「成分の合計」で考えるのがポイントです。オキサロールは軟膏とローションを合わせて1日10gまで、ドボベットは軟膏・ゲル・フォームを合わせて1週間90gまでです。体幹に軟膏、頭皮にローション(ゲル)という処方はよくあるので、合算量を必ずチェックしましょう。

ドボベットゲルの注意点

ドボベットゲルは、活性型ビタミンD3とベリーストロングクラスのステロイドの配合剤です。添付文書では、使用開始後4週間を目安に必要性を検討すること、血清カルシウムおよび腎機能の検査を定期的(開始2〜4週後に1回、その後は適宜)に行うことが求められています。また、低温では有効成分が析出する可能性があるため、冷蔵庫など低温の場所を避けて保存するよう指導します。

抗真菌薬(脂漏性皮膚炎)

製品名一般名用法(脂漏性皮膚炎)
ニゾラールローション2%ケトコナゾール1日2回

ニゾラールローション2%は、白癬・皮膚カンジダ症・癜風に加えて脂漏性皮膚炎にも適応があります。用法が疾患によって異なり、白癬・皮膚カンジダ症・癜風は1日1回、脂漏性皮膚炎は1日2回です。

ニゾラールは「脂漏性皮膚炎なら1日2回」です。処方箋の用法が1日1回になっていたら、病名を確認してみる価値がありますね。脂漏性皮膚炎は再燃しやすいので、ステロイドで炎症を抑えたあとにケトコナゾールで維持する、という流れもよく見かけます。

同じ「頭のカビ」でも、頭部白癬(しらくも)は別扱いです。皮膚真菌症の診療ガイドラインでは、頭部白癬は抗真菌薬の内服が原則とされ、外用抗真菌薬は刺激でかえって悪化するおそれがあるため使用しないとされています。頭部白癬の診断で抗真菌薬のローションだけが処方されていたら、確認してみましょう。

脱毛症治療薬

製品名一般名主な効能用法
フロジン外用液5%カルプロニウム塩化物水和物円形脱毛症などの脱毛防止・発毛促進、乾性脂漏、尋常性白斑脱毛症・乾性脂漏:1日2〜3回(尋常性白斑:1日3〜4回)

フロジン外用液は、局所血管拡張作用を利用した外用薬です。アセチルコリン様作用により、塗布直後に全身発汗やそれに伴う悪寒、嘔気などがあらわれることがあるため、異常があれば使用を中止して水などで洗い流すよう添付文書に記載されています。また、湯上がりのあとなどに使用すると副作用が強くあらわれる傾向があるとされています。

「お風呂上がりにすぐ塗る」は、多くの外用薬では推奨される場面ですが、フロジンは例外です。湯上がり直後は避けて、少し時間をおいてから使うよう伝えておくと安心です。

疾患別の使い分けの考え方

  • 脂漏性皮膚炎:炎症が強い時期はステロイドローション、維持期はケトコナゾール外用(ニゾラールローション)が組み合わされることが多い。なお、エクラーローションは効能・効果の湿疹・皮膚炎群に脂漏性皮膚炎が明記されている
  • 頭部の尋常性乾癬:ステロイドローション、コムクロシャンプー、活性型ビタミンD3ローション、ドボベットゲルなど。広範囲にはシャンプー剤、厚い局面にはピンポイントでゲル、という組み合わせもある
  • 湿疹・皮膚炎:症状の強さに応じたランクのステロイドローション
  • 円形脱毛症:ステロイド外用やカルプロニウム外用など(治療選択は重症度や範囲により専門医が判断)

薬剤師の処方監査・疑義照会のポイント

  • 販売中止品の処方:デルモベートスカルプローション、ネリゾナソリューション、トプシムスプレーが処方された場合は、後発品や代替薬への変更を提案
  • 頭部白癬への外用抗真菌薬:頭部白癬は内服治療が原則。外用抗真菌薬のみの処方なら病名と治療方針を確認
  • 活性型ビタミンD3製剤の上限:同一成分の軟膏とローション・ゲルの合算量、処方日数から見た1日・1週あたりの使用量を確認
  • 用法の確認:ニゾラールローションは脂漏性皮膚炎なら1日2回、コムクロシャンプーは15分後に洗い流す用法
  • 剤形の妥当性:頭皮に軟膏・クリームが処方されていて使いにくいと訴えがあれば、ローション剤への変更を提案
  • 長期使用の確認:コムクロシャンプー・ドボベットゲルは4週間を目安に必要性を評価。漫然と継続していないか確認
  • 検査値の確認:活性型ビタミンD3含有製剤では血清カルシウム・腎機能のフォロー状況を確認

制度・供給に関する最新情報

デルモベートスカルプローションは販売中止

グラクソ・スミスクラインは2025年7月に、デルモベート軟膏・クリーム・スカルプローション、キンダベート軟膏の販売中止を案内しました。案内文書では、経過措置期間の終了は2026年3月末(予定)とされています。

代替品として、同成分のクロベタゾールプロピオン酸エステルローション0.05%(MYK、イワキなど)が示されています。このほか、ラクール、グリジールスカルプローション0.05%(佐藤製薬)も流通しています。

ネリゾナソリューションも製造販売中止

レオ ファーマは2024年3月に、ネリゾナソリューション0.1%の製造販売中止を案内しています。頭皮にネリゾナソリューションを使用していた患者さんには、同じベリーストロングクラスのローション剤などへの切り替えが検討されます。

トプシムスプレーも販売中止

頭皮に噴霧しやすいスプレー剤として使われてきたトプシムスプレー0.0143%も、2025年4月に販売中止が案内され、2025年9月から販売中止となっています。同成分のローション剤であるトプシムローション0.05%は引き続き流通しています。

【みかんメモ】長年同じ薬を使っていた患者さんほど、切り替えに不安を感じやすいものです。「成分やランクはこう変わるけれど、使い方はほぼ同じ」と具体的に伝えると安心してもらえますよ。使用感が変わってアドヒアランスが下がっていないか、次回来局時に確認するのもおすすめです。

長期収載品の選定療養にも注意

2024年10月から、後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)を患者さんの希望で選択した場合に、特別の料金が発生する選定療養の仕組みが始まっています。先発品のローション剤を希望される場合は、対象品目かどうかを厚生労働省の公表リストで確認して説明しましょう。

患者説明トーク(Q&A)

Q. 頭皮のローションは、どうやって塗ればいいですか?

A. 髪をかき分けて、容器の先を患部に近づけて少しずつ出し、指の腹でやさしくなじませてください。一度手のひらに取ってから塗る方法でも大丈夫です。額や眼に垂れないよう、少量ずつ塗るのがコツですよ。塗り終わったら手をよく洗ってくださいね。

Q. コムクロシャンプーは、普通のシャンプーと同じように使えばいいですか?

A. 使い方が少し違います。髪が乾いた状態で患部を中心に塗って、そのまま約15分おいてから、お湯をかけて泡立てて洗い流してください。15分以上放置せず、ゴシゴシこすらないのがポイントです。お薬を流したあとに、いつものシャンプーやリンスを使っても構いません。

Q. 体の軟膏と頭のローション、同じ成分なら好きなだけ使っていいですか?

A. オキサロールやドボベットのような活性型ビタミンD3を含むお薬は、軟膏とローション(ゲル)を合わせた量に上限があります。使いすぎると血液中のカルシウムが上がることがあるので、指示された量を守ってくださいね。のどの渇きやだるさ、食欲の低下などがあれば早めにご相談ください。

Q. 前にもらっていたお薬と名前が違うのですが、大丈夫ですか?

A. 以前のお薬がメーカーの都合で販売中止になったため、同じ成分のお薬(または同じ強さのお薬)に変わっています。使い方はほとんど変わりませんが、使い心地が違うと感じたら遠慮なく教えてください。

Q. フロジンはお風呂上がりに塗ってもいいですか?

A. お風呂上がりすぐは避けてください。湯上がりのあとに使うと、汗が出るなどの副作用が強く出やすいとされています。少し時間をおいて、体が落ち着いてから塗ってくださいね。

まとめ

  • 頭皮には、ローション・ゾル・シャンプー・ゲルなど、有毛部に使いやすい剤形が選ばれる
  • ステロイドはミディアムからストロンゲストまで頭皮用の剤形がそろっている
  • コムクロシャンプーは乾いた頭皮に塗って約15分後に洗い流す短時間接触療法
  • 活性型ビタミンD3製剤は成分の合算量で上限を確認(オキサロール1日10g、ボンアルファハイ1日10g、ドボベット1週90g)
  • ニゾラールローションは脂漏性皮膚炎では1日2回
  • フロジン外用液は湯上がり直後の使用を避ける
  • 頭部白癬は内服治療が原則で、外用抗真菌薬は使わない
  • デルモベートスカルプローション、ネリゾナソリューション、トプシムスプレーは販売中止。後発品・代替薬への切り替えを

関連書籍

参考情報

  • コムクロシャンプー0.05% 電子添文(マルホ株式会社)
  • コムクロシャンプー 患者指導用資材・Q&A(マルホ株式会社)
  • ドボベットゲル 電子添文
  • オキサロール軟膏25μg/g・オキサロールローション25μg/g 電子添文(マルホ株式会社)
  • ボンアルファハイ軟膏20μg/g・ボンアルファハイローション20μg/g 電子添文
  • ニゾラールクリーム2%・ニゾラールローション2% 電子添文
  • フロジン外用液5% 電子添文
  • アンテベート軟膏0.05%・クリーム0.05%・ローション0.05% 電子添文(鳥居薬品株式会社)
  • リンデロン-DP軟膏・クリーム・ゾル 電子添文・インタビューフォーム
  • リドメックスコーワローション0.3% 電子添文
  • トプシムローション0.05% 電子添文
  • パンデル軟膏0.1%・クリーム0.1%・ローション0.1% 電子添文(大正製薬株式会社)
  • メサデルム軟膏0.1%・クリーム0.1%・ローション0.1% 電子添文(岡山大鵬薬品株式会社)
  • エクラーローション0.3% 電子添文(久光製薬株式会社)
  • 日本皮膚科学会「皮膚真菌症診療ガイドライン」
  • 田辺三菱製薬株式会社「トプシムスプレー0.0143% 販売中止のご案内」(2025年4月)
  • グラクソ・スミスクライン株式会社「デルモベート軟膏0.05%/クリーム0.05%/スカルプローション0.05%およびキンダベート軟膏0.05% 販売中止のご案内」(2025年7月)
  • レオ ファーマ株式会社「ネリゾナソリューション0.1%製造販売中止およびネリゾナ製剤一部包装販売中止のご案内」(2024年3月)
  • 厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」

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