分子標的薬は、2000年ごろから開発され、その特異性かつ有効性から、創薬が活発に行われています。
毎年のように発売され、新規の治療にも期待される医薬品ですが、ターゲットにしている分子がなかなか聞き慣れないものも多くなっています。
そのため、作用機序を理解するのに難しいものも増えてきています。
今回、日本で承認された分子標的薬を調べ、年代別に一覧にしました。
これまで、一部の書籍では分子標的薬を記載しているものがありましたが、自由に見れない、完全に網羅できていない、最新の薬は掲載されていないなどの不便なところがありました。
そのため、この度、更新ができるインターネット上にまとめました。薬に携わる多くの方の参考になればと思っています。
分子標的薬について
分子標的薬は、ある分子を標的として開発された薬剤のことで、主にがん治療に用いられます。分子標的治療薬とも呼ばれます。開発の段階で、分子レベルの標的を決めて開発されるものがほとんどです。
そのため、これまでに発売された多くの医薬品も何かしらの標的分子を持っていますが、一般的にそれらは分子標的薬とは呼ばれません。
(考え始めるとどこまでが分子標的薬に該当するのか該当しないのかの線引きが難しくなりますよね….)
分子標的薬のメリットに、異常な細胞にだけ高発現している分子をターゲットにしていることが多いので、正常な細胞を傷つけずに治療ができ、副作用が少ない場合が多いです。
これまで開発されている分子標的薬は、大きく2種類に分けられます。
・低分子医薬品
標的とする分子の多くがタンパク質であり、従来の医薬品はこの低分子医薬品に当てはまるものが多いです。血液脳関門を通ったり、細胞膜の中や細胞核に入り込むことができます。
・抗体医薬品(バイオ医薬品)
抗体をモチーフに開発された医薬品です。低分子医薬品に対して分子量が多いことから、高分子医薬薬ともいわれます。抗体-抗原反応は特異性が高く、治療に期待が高い医薬品です。
抗体医薬品だけをまとめた記事もあります。
日本で承認された抗体医薬品 一覧
これまでに発売された分子標的薬の一覧表
こちらの表は、日本で既に承認・発売されている分子標的薬をまとめたものです。
標的とする分子や主な適応などの詳細については、この記事の後半部分に順に記しています。
※表が切れている場合は左右にスクロールできます。
日本承認年 | 一般名 | 商品名 |
---|---|---|
2001年 | トラスツズマブ | ハーセプチン |
リツキシマブ | リツキサン | |
イマチニブ | グリベック | |
2002年 | インフリキシマブ | レミケード |
バシリキシマブ | シムレクト | |
パリビズマブ | シナジス | |
ゲフィチニブ | イレッサ | |
2005年 | エタネルセプト | エンブレル |
トシリズマブ | アクテムラ | |
ゲムツズマブ オゾガマイシン | マイロターグ | |
2006年 | モルテゾミブ | ベルケイド |
2007年 | エベロリムス | アフィニトール |
ベバシズマブ | アバスチン | |
エルロチニブ | タルセバ | |
2008年 | ソラフェニブ | ネクサバール |
スニチニブ | スーテント | |
アダリムマブ | ヒュミラ | |
セツキシマブ | エルビタックス/アービタックス | |
ペガプタニブ | マクジェン | |
2009年 | ダサチニブ | スプリセル |
ニロチニブ | タシグナ | |
オマリズマブ | ゾレア | |
ラニビズマブ | ルセンティス | |
ラパチニブ | タイケルブ | |
2010年 | エクリズマブ | ソリリス |
パニツムマブ | ベクティビックス | |
アバタセプト | オレンシア | |
テムシロリムス | トーリセル | |
2011年 | ウステキヌマブ | ステラーラ |
アザシチジン | ビダーザ | |
ゴリムマブ | シンポニー | |
ボリノスタット | ゾリンザ | |
カナキヌマブ | イラリス | |
2012年 | デノスマブ | ランマーク |
クリゾチニブ | ザーコリ | |
モガムリズマブ | ポテリジオ | |
アキシチニブ | インライタ | |
パゾパニブ | ヴォトリエント | |
アフリベルセプト | アイリーア | |
セルトリズマブペゴル | シムジア | |
2013年 | オファツムマブ | アーゼラ |
レゴラフェニブ | スチバーガ | |
トファシチニブ | ゼルヤンツ | |
ペルツズマブ | パージェタ | |
トラスツズマブ エムタンシン | カドサイラ | |
2014年 | ブレンツキシマブ ベドチン | アドセトリス |
アファチニブ | ジオトリフ | |
ナタリズマブ | タイサブリ | |
ルキソリチニブ | ジャカビ | |
ニボルマブ | オプジーボ | |
シロリムス | ラパリムス | |
アレクチニブ | アレセンサ | |
アレムツズマブ | マブキャンパス | |
ボスチニブ | ボシュリフ | |
ベムラフェニブ | ゼルボラフ | |
セクキヌマブ | コセンティクス | |
2015年 | ラムシルマブ | サイラムザ |
レンバチニブ | レンビマ | |
イピリムマブ | ヤーボイ | |
パノビノスタット | ファリーダック | |
ニンテダニブ | オフェブ | |
バンデタニブ | カプレルサ | |
2016年 | エボロクマブ | レパーサ |
メポリズマブ | ヌーカラ | |
ダブラフェニブ | タフィンラー | |
トラメチニブ | メキニスト | |
イブルチニブ | イムブルビカ | |
セリチニブ | ジカディア | |
オシメルチニブ | タグリッソ | |
カルフィルゾミブ | カイプロリス | |
ブロダルマブ | ルミセフ | |
イキセキズマブ | トルツ | |
アリロクマブ | プラルエント | |
ポナチニブ | アイクルシグ | |
ペムブロリズマブ | キイトルーダ | |
エロツズマブ | エムプリシティ | |
イダルシズマブ | プリズバインド | |
2017年 | アフリベルセプト | ザルトラップ |
イキサゾミブ | ニンラーロ | |
ロミデプシン | イストダックス | |
バリシチニブ | オルミエント | |
パルボシクリブ | イブランス | |
ダラツムマブ | ダラザレックス | |
サリルマブ | ケブザラ | |
ベズロトクスマブ | ジーンプラバ | |
ベリムマブ | ベンリスタ | |
アベルマブ | バベンチオ | |
2018年 | オラパリブ | リムパーザ |
アテゾリズマブ | テセントリク | |
デュピルマブ | デュピクセント | |
ベンラリズマブ | ファセンラ | |
イノツズマブ オゾガマイシン | ベスポンサ | |
グセルクマブ | トレムフィア | |
エミシズマブ | ヘムライブラ | |
オビヌツズマブ | ガザイバ | |
デュルバルマブ | イミフィンジ | |
ベドリズマブ | エンタイビオ | |
ブリナツモマブ | ビーリンサイト | |
アベマシクリブ | ベージニオ | |
ギルテリチニブ | ゾスパタ | |
ロルラチニブ | ローブレナ | |
2019年 | エンコラフェニブ | ビラフトビ |
ビニメチニブ | メクトビ | |
ロモソズマブ | イベニティ | |
ダコミチニブ | ビジンプロ | |
ペフィシチニブ | スマイラフ | |
リサンキズマブ | スキリージ | |
ラブリズマブ | ユルトミリス | |
エヌトレクチニブ | ロズリートレク | |
キザルチニブ | ヴァンフリタ | |
ネシツムマブ | ポートラーザ | |
ブロスマブ | クリースビータ | |
ベネトクラクス | ベネクレクスタ | |
2020年 | デルゴシチニブ | コレクチム |
ウパダシチニブ | リンヴォック | |
ブロルシズマブ | ベオビュ | |
カボザンチニブ | カボメティクス | |
チラブルチニブ | ベレキシブル | |
トラスツズマブ デルクステカン | エンハーツ | |
テポチニブ | テプミトコ | |
サトラリズマブ | エンスプリング | |
チルドラキズマブ | イルミア | |
イサツキシマブ | サークリサ | |
カプマチニブ | タブレクタ | |
フィルゴチニブ | ジセレカ | |
セツキシマブ サロタロカン | アキャルックス |
2000年代に承認されたもの 一覧
2000年代には、24種類もの分子標的薬が日本で承認され、多くの医薬品が今でも使われています。
2001年承認
トラスツズマブ(ハーセプチン)
承認日:2001/4/4
標的分子:HER2
主な適応疾患:HER2過剰発現の乳癌、胃癌
※HER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor Type 2:ヒト上皮増殖因子受容体2型)
リツキシマブ(リツキサン)
承認日:2001/6/20
標的分子:CD20
主な適応疾患:CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫
※CD20は、B細胞の表面分子であり、B細胞の発生の早期ステージから形質細胞(plasma cell:B細胞が分化した細胞)に最終分化する前までのB細胞発生過程で、広く発現します。 (コスモバイオ株式会社から引用)
イマチニブ(グリベック)
承認日:2001/11/21
標的分子:Bcr-Ablチロシンキナーゼ
主な適応疾患:慢性骨髄性白血病
※9番目の染色体(ABL遺伝子)と22番目の染色体(BCR遺伝子)の途中が切れて入れ替わり、つながってできたものをBCR-ABL遺伝子と呼びます。この遺伝子からBcr-Ablタンパク質が発現し、白血病細胞が増殖します。
2002年承認
インフリキシマブ(レミケード)
承認日:2002/1/17
標的分子:TNFα
主な適応疾患:関節リウマチ
インフリキシマブ(レミケード)の特徴
※TNF-α(tumor necrosis factor-α)は、代表的な炎症性サイトカインであり、単球やマクロファージ、T細胞から産生されます。
バシリキシマブ(シムレクト)
承認日:2002/1/17
標的分子:IL-2受容体α鎖(CD25)
主な適応疾患:腎移植後の急性拒絶反応の抑制
※IL-2受容体α鎖(CD25)は、活性化T細胞に多く発現するIL-2受容体のサブユニットのひとつです。
パリビズマブ(シナジス)
承認日:2002/1/17
標的分子:RSウイルスのFたん白質上の抗原部位A領域
主な適応疾患:RSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制
※RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は、パラミクソウイルス科に属するRNAウイルスの一種です。RSウイルス感染症は、乳幼児の代表的な呼吸器疾患です。
ゲフィチニブ(イレッサ)
承認日:2002/7/5
標的分子:EGFRチロシンキナーゼ
主な適応疾患:EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌
※EGFR(epidermal growth factor receptor:上皮成長因子受容体)は、細胞の増殖や成長を制御する上皮成長因子 (EGF) を認識し、シグナル伝達を行います。癌の増殖、進展に関わるシグナル伝達において重要と考えられています。
2005年承認
エタネルセプト (エンブレル)
承認日:2005/1/19
標的分子:TNFα及びLTα
主な適応疾患:関節リウマチ
※LTα(lymphotoxin-α:リンホトキシンα)は、TNF-βとも呼ばれ、リンパ球などの細胞から産生されるます。TNF-αと同じTNF受容体に結合し、同じ作用を有すると考えられています。
トシリズマブ (アクテムラ)
承認日:2005/4/11
標的分子:IL-6受容体
主な適応疾患:関節リウマチ
ゲムツズマブ オゾガマイシン(マイロターグ)
承認日:2005/7/25
標的分子:CD33
主な適応疾患:CD33陽性の急性骨髄性白血病
※CD33抗原は末梢血の単球に発現し、急性骨髄性白血病細胞の約90%が持っていると考えられています。
2006年承認
モルテゾミブ(ベルケイド)
承認日:2006/10/20
標的分子:プロテアソーム
主な適応疾患:多発性骨髄腫
※プロテアソーム (proteasome) はタンパク質の分解を行う巨大な酵素複合体です。プロテアソームは全ての細胞に存在し、細胞の機能や成長に重要な役割を果たしますが、がん細胞は他の細胞よりもプロテアソーム阻害剤の作用がよく出ることがわかっています。
2007年承認
エベロリムス(アフィニトール)
承認日:2007/1/26
標的分子:mTOR
主な適応疾患:結節性硬化症
※mTOR(mammallian target of rapamycin:細胞内シグナル伝達に関与するキナーゼ)は、哺乳類などの動物で細胞内シグナル伝達に関与するキナーゼで、細胞成長・増殖などの役割を担っています。
ベバシズマブ(アバスチン)
承認日:2007/4/18
標的分子:VEGF
主な適応疾患:結腸・直腸癌
ベバシズマブ(アバスチン)の特徴
※VEGF(vascular endothelial growth factor:VEGF)は、血管新生、脈管形成および内皮細胞増殖の活性化において重要な役割を担う増殖因子です。
エルロチニブ(タルセバ)
承認日:2007/10/19
標的分子:EGFRチロシンキナーゼ
主な適応疾患:非小細胞肺癌
※EGFRについてはゲフィチニブ(イレッサ)を参照
2008年承認
ソラフェニブ(ネクサバール)
承認日:2008/1/25
標的分子:マルチキナーゼ
主な適応疾患:腎細胞癌
スニチニブ(スーテント)
承認日:2008/4/16
標的分子:マルチキナーゼ
主な適応疾患:イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍
アダリムマブ(ヒュミラ)
承認日:2008/4/16
標的分子:TNFα
主な適応疾患:関節リウマチ
※TNFαについてはインフリキシマブ(レミケード)を参照
セツキシマブ(エルビタックス/アービタックス)
承認日:2008/7/16
標的分子:EGFR
主な適応疾患:RAS 遺伝子野生型の結腸・直腸癌
※EGFRについてはゲフィチニブ(イレッサ)を参照
ペガプタニブ(マクジェン)
承認日:2008/7/16
標的分子:VEGF
主な適応疾患:加齢黄斑変性症
※VEGFについてはベバシズマブ(アバスチン)を参照
2009年承認
ダサチニブ(スプリセル)
承認日:2009/1/21
標的分子:Bcr-Ablチロシンキナーゼ
主な適応疾患:慢性骨髄性白血病
※Bcr-Ablについてはイマチニブ(グリベック)を参照
ニロチニブ(タシグナ)
承認日:2009/1/21
標的分子:Bcr-Ablチロシンキナーゼ
主な適応疾患:慢性骨髄性白血病
※Bcr-Ablについてはイマチニブ(グリベック)を参照
オマリズマブ (ゾレア)
承認日:2009/1/21
標的分子:IgE
主な適応疾患:気管支喘息
※IgE(Immunoglobulin E:免疫グロブリンE)は、Ⅰ型アレルギーを起こす抗原を認識する抗体です。
ラニビズマブ(ルセンティス)
承認日:2009/1/21
標的分子:VEGF
主な適応疾患:加齢黄斑変性症
※VEGFについてはベバシズマブ(アバスチン)を参照
ラパチニブ(タイケルブ)
承認日:2009/4/22
標的分子:EGFRチロシンキナーゼ、HER2チロシンキナーゼ
主な適応疾患:HER2過剰発現の乳癌
※EGFRについてはゲフィチニブ(イレッサ)を参照、HER2についてはトラスツズマブ(ハーセプチン)を参照
2010年代に承認されたもの 一覧
2000年代と比べると、一年あたりに開発・承認される分子標的薬が増えました。
2010年代にはなんと、88種類もの薬が承認されています。
2010年承認
エクリズマブ(ソリリス)
承認日:2010/4/16
標的分子:EGFR、HER2
主な適応疾患:ヘモグロビン尿症における溶血抑制
※EGFRについてはゲフィチニブ(イレッサ)を参照、HER2についてはトラスツズマブ(ハーセプチン)を参照
パニツムマブ(ベクティビックス)
承認日:2010/4/16
標的分子:EGFR
主な適応疾患:KRAS遺伝子野生型の結腸・直腸癌
※EGFRについてはゲフィチニブ(イレッサ)を参照
アバタセプト(オレンシア)
承認日:2010/7/23
標的分子:CD80/CD86
主な適応疾患:関節リウマチ
※CD80/CD86は抗原提示細胞上に発現しており、ナイーブT細胞の活性化に必要な副刺激分子です。免疫チェックポイント分子としても知られています。T細胞に発現するCD28及び活性化T細胞あるいは制御性T細胞に多く発現するCTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4:細胞傷害性Tリンパ球抗原4)が抗原提示細胞のCD80/CD86を刺激します。
テムシロリムス(トーリセル)
承認日:2010/7/23
標的分子:mTOR
主な適応疾患:腎細胞癌
※mTORについてはエベロリムス(アフィニトール)を参照
2011年承認
ウステキヌマブ(ステラーラ)
承認日:2011/1/21
標的分子:IL-12及びIL-23を構成するp40
主な適応疾患:クローン病
アザシチジン(ビダーザ)
承認日:2011/1/21
標的分子:DNMT
主な適応疾患:骨髄異形成症候群
※DNMT(DNA methyltransferase:DNAメチル基転移酵素)は、DNA中によく見られるCpGアイランド(CGという配列が集中して存在する領域)の部分などで炭素原子にメチル基を付加する。
ゴリムマブ(シンポニー)
承認日:2011/7/1
標的分子:TNFα
主な適応疾患:関節リウマチ、潰瘍性大腸炎
※TNFαについてはインフリキシマブ(レミケード)を参照
カナキヌマブ(イラリス)
承認日:2011/9/26
標的分子:IL-1β
主な適応疾患:クリオピリン関連周期性症候群
※主に血液中の単球によって産生されるタンパク質で、炎症性サイトカインの一つです。
2012年承認
デノスマブ(ランマーク)
承認日:2012/1/18
標的分子:RANKL
主な適応疾患:多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変
※RANKL(receptor activator of NF-κB ligand:破骨細胞分化因子)は骨芽細胞が産生し、破骨細胞の分化および活性化において重要な役割を果たします。
クリゾチニブ(ザーコリ)
承認日:2012/3/30
標的分子:ALK、ROS1
主な適応疾患:ALK融合遺伝子陽性もしくはROS1融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌
※ALK(未分化リンパ腫キナーゼ:anaplastic lymphoma kinase)は、非小細胞肺癌の約 5%に融合遺伝子の発現が認められる。ROS1 (c-ros 癌遺伝子 1 受容体チロシンキナーゼ:c-ros oncogene 1 receptor tyrosine kinase)は原癌遺伝子で、様々ながん細胞で高発現し、増殖分化因子の受容体として機能しています。
モガムリズマブ(ポテリジオ)
承認日:2012/3/30
標的分子:CCR4
主な適応疾患:CCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫
※CCR4(CC chemokine receptor 4:CCケモカイン受容体4)は、リンパ球上に発現しているケモカイン受容体です。
アキシチニブ(インライタ)
承認日:2012/6/29
標的分子:マルチキナーゼ
主な適応疾患:腎細胞癌
パゾパニブ(ヴォトリエント)
承認日:2012/9/28
標的分子:マルチキナーゼ
主な適応疾患:悪性軟部腫瘍
アフリベルセプト(アイリーア)
承認日:2012/9/28
標的分子:VEGF
主な適応疾患:加齢黄斑変性
※VEGFについてはベバシズマブ(アバスチン)を参照
セルトリズマブペゴル(シムジア)
承認日:2012/12/25
標的分子:TNFα
主な適応疾患:関節リウマチ
※TNFαについてはインフリキシマブ(レミケード)を参照
2013年承認
オファツムマブ(アーゼラ)
承認日:2013/3/25
標的分子:CD20
主な適応疾患:CD20陽性の慢性リンパ性白血病
※CD20は、B細胞表面分子であり、B細胞の発生の早期ステージから形質細胞に最終分化する前までのB細胞発生過程で、広く発現しています。
レゴラフェニブ(スチバーガ)
承認日:2013/3/25
標的分子:マルチキナーゼ
主な適応疾患:結腸・直腸癌
トファシチニブ(ゼルヤンツ)
承認日:2013/3/25
標的分子:JAK1、JAK2、JAK3
主な適応疾患:関節リウマチ
※JAK(ヤヌスキナーゼ:Janus kinase)は、多くのサイトカインの受容体として機能し、細胞の成長や生存、分化などを制御しています。
ペルツズマブ(パージェタ)
承認日:2013/6/28
標的分子:HER2
主な適応疾患:HER2陽性の乳癌
※HER2についてはトラスツズマブ(ハーセプチン)を参照
トラスツズマブ エムタンシン(カドサイラ)
承認日:2013/9/20
標的分子:HER2
主な適応疾患:HER2陽性の乳癌
※HER2についてはトラスツズマブ(ハーセプチン)を参照
2014年承認
ブレンツキシマブ ベドチン
アドセトリス)
承認日:2014/1/17
標的分子:CD30
主な適応疾患:CD30陽性のホジキンリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫
※CD30は、活性化T細胞やB細胞、悪性リンパ腫の一部に発現します。
アファチニブ(ジオトリフ)
承認日:2014/1/17
標的分子:EGFRチロシンキナーゼ、HER2チロシンキナーゼ
主な適応疾患:EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌
※EGFRについてはゲフィチニブ(イレッサ)を参照、HER2についてはトラスツズマブ(ハーセプチン)を参照
ナタリズマブ(タイサブリ)
承認日:2014/3/24
標的分子:インテグリン
主な適応疾患:多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制
ルキソリチニブ(ジャカビ)
承認日:2014/7/4
標的分子:JAK
主な適応疾患:骨髄線維症
※JAKについてはトファシチニブ(ゼルヤンツ)を参照
ニボルマブ(オプジーボ)
承認日:2014/7/4
標的分子:PD-1(活性化T細胞の表面に発現する受容体)
主な適応疾患:悪性黒色腫、非小細胞肺癌
ニボルマブ(オプジーボ)の特徴
※PD-1(Programmed cell death 1)は活性化T細胞の表面に発現する受容体です。免疫チェックポイント阻害剤として発売されました。
シロリムス(ラパリムス)
承認日:2014/7/4
標的分子:mTOR
主な適応疾患:リンパ脈管筋腫症
※mTORについてはエベロリムス(アフィニトール)を参照
アレクチニブ(アレセンサ)
承認日:2014/7/4
標的分子:ALK
主な適応疾患:ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌
※ALKについてはクリゾチニブ(ザーコリ)を参照
アレムツズマブ(マブキャンパス)
承認日:2014/9/26
標的分子:CD52
主な適応疾患:慢性リンパ性白血病
※B細胞性リンパ球のほとんどにCD52が発現している。
ボスチニブ(ボシュリフ)
承認日:2014/9/26
標的分子:Bcr-Ablチロシンキナーゼ、Srcチロシンキナーゼ
主な適応疾患:慢性骨髄性白血病
※Bcr-Ablについてはイマチニブ(グリベック)を参照
ベムラフェニブ(ゼルボラフ)
承認日:2014/12/26
標的分子:BRAF(V600変異)
主な適応疾患:BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫
※BRAF(v-raf murine sarcoma viral oncogene homolog B1)は、細胞増殖などに関わるリン酸化酵素の1つで、様々な腫瘍で変異が報告されている。変異の多くが、コドン600のバリン(V)がグルタミン酸(E)へ置換(V600E)している。V600E変異が起きると、下流のシグナルを常時活性化し、細胞外からの刺激がなくても細胞の増殖をもたらす。
セクキヌマブ(コセンティクス)
承認日:2014/12/26
標的分子:IL-17A
主な適応疾患:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬
※IL-17(IL-17A)は主に活性化T細胞から産生されて、線維芽細胞や上皮細胞、血管内皮細胞、マクロファージなど様々の細胞に作用して、炎症性メディエーターの発現を誘導します。
2015年承認
ラムシルマブ(サイラムザ)
承認日:2015/3/26
標的分子:VEGFR2
主な適応疾患:胃癌、結腸・直腸癌
※VEGF受容体(vascular endothelial growth factor receptor:血管内皮細胞増殖因子受容体)で、リガンドである血管内皮増殖因子(VEGF)が血管内皮細胞の増殖・遊走の促進、血管透過性の亢進、単球・マクロファージの活性化などを引き起こします。
レンバチニブ(レンビマ)
承認日:2015/3/26
標的分子:マルチキナーゼ
主な適応疾患:甲状腺癌、切除不能な肝細胞癌
イピリムマブ(ヤーボイ)
承認日:2015/7/3
標的分子:CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球抗原4)
主な適応疾患:悪性黒色腫、腎細胞癌
※CTLA-4(Cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4:細胞傷害性Tリンパ球抗原4)は、T細胞表面の分子で、活性化T細胞や制御性T細胞(Treg)に多く発現しています。樹状細胞(抗原提示細胞)上のCD28リガンド(CD80やCD86)と競合し、免疫応答を負に制御する免疫チェックポイント受容体と考えられています。
ニンテダニブ(オフェブ)
承認日:2015/7/3
標的分子:マルチキナーゼ
主な適応疾患:特発性肺線維症
バンデタニブ(カプレルサ)
承認日:2015/9/28
標的分子:マルチキナーゼ
主な適応疾患:甲状腺髄様癌
2016年承認
エボロクマブ (レパーサ)
承認日:2016/1/22
標的分子:PCSK9
主な適応疾患:家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症
※PCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9:プロ蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)は、家族性高コレステロール血症の原因遺伝子の1つであると考えられています。
メポリズマブ(ヌーカラ)
承認日:2016/3/28
標的分子:IL-5
主な適応疾患:気管支喘息
ダブラフェニブ(タフィンラー)
承認日:2016/3/28
標的分子:BRAF(V600変異)
主な適応疾患:BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫、非小細胞肺癌
トラメチニブ(メキニスト)
承認日:2016/3/28
標的分子:BRAF(V600変異)、MEK(MAPK/ERKシグナル伝達経路に関わるキナーゼ)
主な適応疾患:BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫、非小細胞肺癌
イブルチニブ(イムブルビカ)
承認日:2016/3/28
標的分子:BTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)
主な適応疾患:慢性リンパ性白血病、マントル細胞リンパ腫
※ブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton’s tyrosine kinase; BTK)は、Bリンパ球の分化や活性化において非常に重要な役割を担う分子である。
セリチニブ(ジカディア)
承認日:2016/3/28
標的分子:ALK
主な適応疾患:ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌
※ALKについてはクリゾチニブ(ザーコリ)を参照
オシメルチニブ(タグリッソ)
承認日:2016/3/28
標的分子:EGFRチロシンキナーゼ
主な適応疾患:EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌
※EGFRについてはゲフィチニブ(イレッサ)を参照
カルフィルゾミブ(カイプロリス)
承認日:カルフィルゾミブ
標的分子:プロテアソーム
主な適応疾患:多発性骨髄腫
※プロテアソームについてはモルテゾミブ(ベルケイド)を参照
ブロダルマブ (ルミセフ)
承認日:2016/7/4
標的分子:IL-17受容体A
主な適応疾患:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
イキセキズマブ (トルツ)
承認日:2016/7/4
標的分子:IL-17A
主な適応疾患:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
アリロクマブ (プラルエント)
承認日:2016/7/4
標的分子:PCSK9
主な適応疾患:家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症
※PCSK9についてはエボロクマブ (レパーサ)を参照
ポナチニブ(アイクルシグ)
承認日:2016/9/28
標的分子:Bcr-Ablチロシンキナーゼ (T315I変異型にも有効)
主な適応疾患:慢性骨髄性白血病
※Bcr-Ablについてはイマチニブ(グリベック)を参照
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)
承認日:2016/9/28
標的分子:PD-1
主な適応疾患:悪性黒色腫、非小細胞肺癌
ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の特徴
※PD-1についてはニボルマブ(オプジーボ)を参照
エロツズマブ(エムプリシティ)
承認日:2016/9/28
標的分子:SLAMF7
主な適応疾患:多発性骨髄腫
※SLAMF7(signaling lymphocyte activation molecule family 7:シグナル伝達リンパ活性化分子ファミリー7)は、骨髄細胞や免疫細胞の表面に多く発現している糖タンパク質で、95%以上の多発性骨髄腫細胞上に存在するとされています。
イダルシズマブ (プリズバインド)
承認日:2016/9/28
標的分子:ダビガトラン及びそのグルクロン酸抱合代謝物
主な適応疾患:ダビガトランの抗凝固作用の中和
2017年承認
アフリベルセプト(ザルトラップ)
承認日:2017/3/30
標的分子:VEGF
主な適応疾患:結腸・直腸癌
※VEGFについてはベバシズマブ(アバスチン)を参照
イキサゾミブ(ニンラーロ)
承認日:2017/3/30
標的分子:プロテアソーム
主な適応疾患:多発性骨髄腫
※プロテアソームについてはモルテゾミブ(ベルケイド)を参照
バリシチニブ(オルミエント)
承認日:2017/7/3
標的分子:JAK1/JAK2
主な適応疾患:関節リウマチ
※JAKについてはトファシチニブ(ゼルヤンツ)を参照
パルボシクリブ(イブランス)
承認日:2017/9/27
標的分子:CDK4/6(サイクリン依存性キナーゼ)
主な適応疾患:乳癌
ダラツムマブ(ダラザレックス)
承認日:2017/9/27
標的分子:CD38(造血器腫瘍の腫瘍細胞表面に発現する)
主な適応疾患:多発性骨髄腫
※CD38は多発性骨髄腫細胞の表面に過剰発現するシグナル伝達分子として考えられています。
サリルマブ (ケブザラ)
承認日:2017/9/27
標的分子:IL-6受容体
主な適応疾患:関節リウマチ
ベズロトクスマブ (ジーンプラバ)
承認日:2017/9/27
標的分子:クロストリジウム・ディフィシルが産生するトキシンB
主な適応疾患:クロストリジウム・ディフィシル感染症
ベリムマブ (ベンリスタ)
承認日:2017/9/27
標的分子:Bリンパ球刺激因子(BLyS)
主な適応疾患:全身性エリテマトーデス
アベルマブ(バベンチオ)
承認日:2017/9/27
標的分子:PD-L1(がん細胞や抗原提示細胞が発現する)
主な適応疾患:メルケル細胞癌、腎細胞癌
2018年承認
オラパリブ(リムパーザ)
承認日:2018/1/19
標的分子:PARP(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ)
主な適応疾患:卵巣癌、乳癌
アテゾリズマブ(テセントリク)
承認日:2018/1/19
標的分子:PD-L1(がん細胞や抗原提示細胞が発現する)
主な適応疾患:非小細胞肺癌、乳癌
デュピルマブ (デュピクセント)
承認日:2018/1/19
標的分子:IL-4受容体
主な適応疾患:アトピー性皮膚炎、気管支喘息
ベンラリズマブ(ファセンラ)
承認日:2018/1/19
標的分子:IL-5受容体
主な適応疾患:気管支喘息
イノツズマブ オゾガマイシン(ベスポンサ)
承認日:2018/1/19
標的分子:CD22
主な適応疾患:CD22陽性の急性リンパ性白血病
グセルクマブ (トレムフィア)
承認日:2018/3/23
標的分子:IL-23
主な適応疾患:尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、掌蹠膿疱症
エミシズマブ (ヘムライブラ)
承認日:2018/3/23
標的分子:活性型血液凝固第IX因子及び血液凝固第X因子
主な適応疾患:先天性血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制
オビヌツズマブ(ガザイバ)
承認日:2018/7/2
標的分子:CD20
主な適応疾患:CD20陽性の濾胞性リンパ腫
デュルバルマブ (イミフィンジ)
承認日:2018/7/2
標的分子:PD-L1
主な適応疾患:非小細胞肺癌の維持療法
ベドリズマブ(エンタイビオ)
承認日:2018/7/2
標的分子:α4β7インテグリン
主な適応疾患:潰瘍性大腸炎、クローン病
ブリナツモマブ(ビーリンサイト)
承認日:2018/9/21
標的分子:CD19/CD3(B細胞系の細胞表面に発現するCD19及びT細胞表面に発現するCD3に結合)
主な適応疾患:B細胞性急性リンパ性白血病
アベマシクリブ(ベージニオ)
承認日:2018/9/21
標的分子:CDK4/6
主な適応疾患:ホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌
アベマシクリブ(ベージニオ)の特徴
ギルテリチニブ(ゾスパタ)
承認日:2018/9/21
標的分子:FLT3チロシンキナーゼ
主な適応疾患:FLT3遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病
ロルラチニブ(ローブレナ)
承認日:2018/9/21
標的分子:ALKチロシンキナーゼ(L1196M、G1269A、I1171T及びG1202R変異型にも有効)
主な適応疾患:ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌
※ALKについてはクリゾチニブ(ザーコリ)を参照
2019年承認
エンコラフェニブ(ビラフトビ)
承認日:2019/1/8
標的分子:BRAF(V600変異)
主な適応疾患:BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫
ビニメチニブ(メクトビ)
承認日:2019/1/8
標的分子:BRAF(V600変異)
主な適応疾患:BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫
ロモソズマブ (イベニティ)
承認日:2019/1/8
標的分子:スクレロスチン
主な適応疾患:骨折の危険性の高い骨粗鬆症
※スクレロスチンは、Wntシグナルの伝達経路を介した骨形成を抑制する因子です。このスクレロスチンの働きを阻害することで、骨形成の促進ならびに骨吸収の抑制作用が示されます。
ダコミチニブ(ビジンプロ)
承認日:2019/1/8
標的分子:EGFRチロシンキナーゼ
主な適応疾患:EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌
※EGFRについてはゲフィチニブ(イレッサ)を参照
ペフィシチニブ(スマイラフ)
承認日:2019/3/26
標的分子:JAK1、JAK2、JAK3
主な適応疾患:関節リウマチ
※JAKについてはトファシチニブ(ゼルヤンツ)を参照
リサンキズマブ(スキリージ)
承認日:2019/3/26
標的分子:IL-23
主な適応疾患:尋常性乾癬,関節症性乾癬,膿疱性乾癬,乾癬性紅皮症
ラブリズマブ (ユルトミリス)
承認日:2019/6/18
標的分子:補体C5
主な適応疾患:発作性夜間ヘモグロビン尿症
エヌトレクチニブ(ロズリートレク)
承認日:2019/6/18
標的分子:トロポミオシン受容体キナーゼ(TRK)
主な適応疾患:神経栄養因子受容体チロシンキナーゼ(NTR) 融合遺伝子陽性の固形癌
キザルチニブ(ヴァンフリタ)
承認日:2019/6/18
標的分子:FLT3チロシンキナーゼ
主な適応疾患:FLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病
ネシツムマブ (ポートラーザ)
承認日:2019/6/18
標的分子:EGFR
主な適応疾患:切除不能な扁平上皮非小細胞肺癌
※EGFRについてはゲフィチニブ(イレッサ)を参照
ブロスマブ (クリースビータ)
承認日:2019/9/20
標的分子:線維芽細胞増殖因子23(FGF23)
主な適応疾患:FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
ブロスマブ (クリースビータ)の特徴
ベネトクラクス(ベネクレクスタ)
承認日:2019/9/20
標的分子:BCL-2(抗アポトーシス作用を有するがん遺伝子)
主な適応疾患:慢性リンパ性白血病
ベネトクラクス(ベネクレクスタ)の特徴
2020年代に承認されたもの 一覧
2020年承認
デルゴシチニブ(コレクチム)
承認日:2020/1/23
標的分子:JAK1、JAK2、JAK3
主な適応疾患:アトピー性皮膚炎
※JAKについてはトファシチニブ(ゼルヤンツ)を参照
ウパダシチニブ(リンヴォック)
承認日:2020/1/23
標的分子:JAK1、JAK2、JAK3
主な適応疾患:関節リウマチ
※JAKについてはトファシチニブ(ゼルヤンツ)を参照
ブロルシズマブ (ベオビュ)
承認日:2020/3/25
標的分子:VEGF-A
主な適応疾患:中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性
カボザンチニブ(カボメティクス)
承認日:2020/3/25
標的分子:VEGFR2、MET、AXL等のマルチキナーゼ
主な適応疾患:腎細胞癌
※1. VEGFRについてはラムシルマブ(サイラムザ)を参照
※2. レセプター型チロシンキナーゼであるMETは、癌の発育・進展に関与する分子であると考えられている。
※3. レセプター型チロシンキナーゼであるAXLは、細胞増殖や分化の制御に関与する複雑なシグナル伝達ネットワークのメンバーであり、癌の発育・進展に関与する分子であると考えられている。
チラブルチニブ(ベレキシブル)
承認日:2020/3/25
標的分子:BTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)
主な適応疾患:中枢神経系原発リンパ腫
※BTKについてはイブルチニブ(イムブルビカ)を参照
トラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ)
承認日:2020/3/25
標的分子:HER2
主な適応疾患:化学療法歴のあるHER2陽性の乳癌
※HER2についてはトラスツズマブ(ハーセプチン)を参照
テポチニブ(テプミトコ)
承認日:2020/3/25
標的分子:MET
主な適応疾患:MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の非小細胞肺癌
※METについてはカボザンチニブ(カボメティクス)を参照
サトラリズマブ(エンスプリング)
承認日:2020/6/29
標的分子:IL-6受容体
主な適応疾患:視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)
チルドラキズマブ (イルミア)
承認日:2020/6/29
標的分子:IL-23α(p19)サブユニット
主な適応疾患:尋常性乾癬
イサツキシマブ(サークリサ)
承認日:2020/6/29
標的分子:CD38
主な適応疾患:多発性骨髄腫
※CD38についてはダラツムマブ(ダラザレックス)を参照
カプマチニブ(タブレクタ)
承認日:2020/6/29
標的分子:MET
主な適応疾患:MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の非小細胞肺癌
※METについてはカボザンチニブ(カボメティクス)を参照
フィルゴチニブ(ジセレカ)
承認日:2020/9/25
標的分子:JAK1、JAK2、JAK3
主な適応疾患:関節リウマチ
※JAKについてはトファシチニブ(ゼルヤンツ)を参照
セツキシマブ サロタロカン(アキャルックス)
承認日:2020/9/25
標的分子:EGFR
主な適応疾患:頭頸部癌
※EGFRについてはゲフィチニブ(イレッサ)を参照
ニラパリブ(ゼジューラ)
承認日:2020/9/25
標的分子:PARP(ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ)
主な適応疾患:卵巣癌(初回化学療法後、白金系抗悪性腫瘍剤感受性、相同組換え修復欠損)
2021年承認
ガルカネズマブ(エムガルティ)
承認日:2021/1/22
標的分子:CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)
主な適応疾患:片頭痛
アカラブルチニブ(カルケンス)
承認日:2021/1/22
標的分子:BTK
主な適応疾患:ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌
イネビリズマブ(ユプリズナ)
承認日:2021/3/23
標的分子:AQP4(アクアポリン4)
主な適応疾患:視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)
ラロトレクチニブ(ヴァイトラックビ)
承認日:2021/3/23
標的分子:TRK(トロポミオシン受容体キナーゼ)
主な適応疾患:NTRK融合遺伝子陽性の固形癌
ダラツムマブ・ボルヒアルロニダーゼアルファ(ダラキューロ)
承認日:2021/3/23
標的分子:CD38
主な適応疾患:多発性骨髄腫、全身性ALアミロイドーシス
ポラツズマブ ベドチン(ポライビー)
承認日:2021/3/23
標的分子:CD79b
主な適応疾患:びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
ペミガチニブ(ペマジール)
承認日:2021/3/23
標的分子:FGFR
主な適応疾患:がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の胆道癌
フレマネズマブ(アジョビ)
承認日:2021/6/23
標的分子:CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)
主な適応疾患:片頭痛
エレヌマブ(アイモビーグ)
承認日:2021/6/23
標的分子:CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)1型受容体
主な適応疾患:片頭痛
ジヌツキシマブ(ユニツキシン)
承認日:2021/6/23
標的分子:GD2(神経細胞などの表面に存在する糖脂質)
主な適応疾患:大量化学療法後の神経芽腫
カシリビマブ・イムデビマブ(ロナプリーブ)
承認日:2021/7/19
標的分子:SARS-CoV-2
主な適応疾患:SARS-CoV-2による感染症及びその発症抑制
セルペルカチニブ(レットヴィモ)
承認日:2021/9/27
標的分子:RET
主な適応疾患:RET融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌
アブロシチニブ(サイバインコ)
承認日:2021/9/27
標的分子:JAK1
主な適応疾患:アトピー性皮膚炎
アニフロルマブ(サフネロー)
承認日:2021/9/27
標的分子:IFNAR1(I型インターフェロンα受容体のサブユニット1)
主な適応疾患:全身性エリテマトーデス
エンホルツマブ ベドチン(パドセブ)
承認日:2021/9/27
標的分子:Nectin-4
主な適応疾患:がん化学療法後に増悪した尿路上皮癌
ソトロビマブ(ゼビュディ)
承認日:2021/9/27
標的分子:SARS-CoV-2
主な適応疾患:SARS-CoV-2による感染症
2022年承認
ビメキズマブ(ビンゼレックス)
承認日:2022/1/20
標的分子:IL-17A、IL-17F
主な適応疾患:尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症
さいごに
分子標的薬の一覧はいかがだったでしょうか。
まとめるのも大変でしたので、日本だけでも多くの分子標的薬が承認されていることがわかると思います。
もちろん、米国、欧州の国では多くの医薬品が先だって承認されていますので、それについても今後まとめたいと思います。
最初にもお話しましたが、分子標的薬にはこれまでの医薬品以上に効果が期待されているものが多くあります。
こういった薬は、医師だけでなく患者さんも興味を持ちますので、現場の薬剤師の方々は頑張って知っておかないといけませんね。
新しい薬が承認されましたらその都度更新していきます。