ジャヌビア(シタグリプチン)の特徴・作用機序

特徴的なポイント
・本剤は、2006 年 8 月に世界初のジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4) 阻害薬としてメキシコで承認され、日本では2008 年に臨床試験が終了し、承認された。
・DPP-4 阻害活性は 24 時間持続し、1 日 1 回投与で良好な血糖降下作用が得られる。
・高選択的に DPP-4 を阻害し、DPP-8、DPP-9 などに対する親和性は極めて低い。
・最初に発売されたDPP-4阻害薬ということもあり、売り上げの上位に長年位置している。

構造式または示性式

名前の由来

JANUS(ヤヌス、二つの顔を持つ神)、via(道)から命名

ステム

ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4 阻害薬:-gliptin

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発売日

2009年12月

メーカー

MSD株式会社

適応

2型糖尿病

作用機序

インクレチンである glucagon-like peptide 1(GLP-1)及び glucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)は、グルコース恒常性の維持にかかわるホルモンである。
本剤は、DPP-4 酵素を阻害し、インクレチンの DPP-4 による分解を抑制することで活性型インクレチン濃度を上昇させる。その結果、血糖値依存的にインスリン分泌促進作用並びにグルカゴン濃度低下作用を増強し血糖コントロールを改善する。

代謝などに関して

シタグリプチンの消失において代謝の関与は少ない。

主として尿中に排泄される。シタグリプチンの消失は主に腎排泄によるもので、能動的な尿細管分泌が関与する。

シタグリプチンは P-糖タンパク質及び有機アニオントランスポーター(OAT3)の基質である。

相互作用

注意
本剤は主に腎臓から未変化体として排泄され、その排泄には能動的な尿細管分泌の関与が推察される。

(1) 併用禁忌とその理由

特になし

(2) 併用注意とその理由

糖尿病用薬

糖尿病用薬(特に、インスリン製剤、スルホニルウレア剤又は速効型インスリン
分泌促進薬)との併用時には、本剤の血糖コントロール改善により、低血糖のリスクが増加するおそれがある。

ジゴキシン

機序は不明であるが、本剤との併用によりジゴキシンの血漿中濃度がわずかに増加したとの報告がある。

血糖降下作用を増強する薬剤(β-遮断薬、サリチル酸剤、モノアミン酸化酵素阻害剤等)

本剤とこれらの薬を併用する場合には、血糖降下作用の増強により、さらに血糖が低下する可能性がある。

血糖降下作用を減弱する薬剤(アドレナリン、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン等)

本剤とこれらの薬を併用する場合には、 血糖降下作用が減弱されることにより、血糖が上昇する可能性がある。

重大な副作用

  • アナフィラキシー反応
  • 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson 症候群)、剥脱性皮膚炎
  • 低血糖
  • 肝機能障害、黄疸
  • 急性腎障害
  • 急性膵炎
  • 間質性肺炎
  • 腸閉塞
  • 横紋筋融解症
  • 血小板減少
  • 類天疱瘡

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