アレックスビー(組換えRSウイルスワクチン)の特徴・作用機序

開発の経緯について
 RSウイルスは、インフルエンザ及びライノウイルスとともに成人で気道疾患の原因であり、米国では 65 歳以上の成人において RS ウイルスが原因で年間177000人が入院し、14000人が死亡すると推定されている。また、日本では60 歳以上の成人において 62627 人が RSウイルスが原因で入院し、4467人が死亡すると推定されている。また、先進国での60歳以上の成人におけるRSウイルス感染による急性呼吸器感染症は520万例、入院が47万例、死亡が33000例に上ると推定されている。
 RSウイルスは、高齢者集団で疾病負担の原因になっているにもかかわらず、対症療法のみで RSウイルス感染症に対する治療法がなく、これまで成人では予防に利用可能なワクチンも存在しなかった。
 アレックスビー筋注用(以下、アレックスビー)は、60歳以上の成人を対象に RS ウイルスによる感染症の予防を目的として、RSウイルスに対する抗 原特異的液性免疫応答及び細胞性免疫応答を誘導するようGlaxoSmithKline Biologicals(GSK社)により設計・開発された、遺伝子組換えRSウイルスPreF3 抗原及びアジュバントシステム(AS01E)から構成される組換えサブユニットワクチンである。 60 歳以上の日本人を含む被験者を対象に実施された国際共同第 相試験( RSV OA=ADJ-006試験)において、アレックスビーの有効性、免疫原性及び安全性を検討した結果、本邦においては、2022年10月に製造販売承認申請を行い、2023年9月、「 RS ウイルスによる感染症の予防」を効能又は効果として製造販売承認を取得した。

作用機序

 本剤は、RSウイルスPreF3抗原(RSVPreF3)及びアジュバントシステム(AS)01Eから構成される。RSVPreF3は、RSウイルスの表面糖タンパク質の一つであるFタンパク質の膜融合前型立体構造を保持する融合タンパク質抗原であり、AS01Eは2種類の免疫賦活剤MPL及びQS-21を含むリポソームを基剤としたアジュバントである。AS01は、タンパク質抗原と組み合わせた際に特異的な液性免疫応答及びCD4陽性T細胞応答を促進させる作用を有しており、RSVPreF3をAS01Eとともに接種することで、RSウイルスサブタイプA及びB中和抗体応答、並びにRSVPreF3特異的CD4陽性T細胞応答を誘導する。これらの抗原特異的な液性及び細胞性免疫応答の誘導がRSウイルスのサブタイプA及びBの感染による下気道疾患の予防に寄与すると考えられる。

製品情報

商品名アレックスビー筋注用
一般名
(洋名)
組換え RS ウイルスワクチン
(Recombinant Res piratpirator y Syncytial Vir Virus vaccine)
承認年月日2023年9月25日
発売年月日
メーカー製造販売元:グラクソ・スミスクライン株式会社
名前の由来
ステム

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効能又は効果

RSウイルスによる感染症の予防

接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)
・明らかな発熱を呈している者
・重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
・本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
・上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

用法及び用量

抗原製剤を専用溶解用液全量で溶解し、60歳以上の者に1回0.5mLを筋肉内に接種する。

注意
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。

代謝・代謝酵素について

該当資料なし

食事の影響

該当資料なし

副作用(抜粋)

重大な副反応として、ショック、アナフィラキシーがあらわれることがある。 主な副反応( 10 %以上)は、疼痛、頭痛、筋肉痛、関節痛、疲労であった。

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情報更新日:2023年11月

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