ライブリバント®点滴静注350mg[一般名:アミバンタマブ(遺伝子組換え)](以下、本剤)は、ヒトEGFR及びMETに対する抗原結合部位を有するヒト型IgG1二重特異性モノクローナル抗体であり、一方の抗原結合部位でEGFRと結合し、もう一方の抗原結合部位でHGF受容体(MET)と結合する。
本剤は、リガンド結合によるEGFR及び/又はMETの活性化を阻害し、EGFR及び/又はMETのシグナル伝達機能を阻害する。これらの機序により、癌の増殖及び進行を抑制する。さらに、本剤は細胞表面にEGFR及び/又はMETが高発現した腫瘍に結合することで、免疫エフェクター細胞を介したADCCを誘導し、EGFR及び/又はMETが活性化している腫瘍を標的として腫瘍増殖抑制作用を発揮する。
近年では、NSCLCの生物学的特性に関する研究が進展し、増殖促進に関連するシグナル伝達経路の恒常的活性化を引き起こす可能性がある遺伝子のドライバー変異が複数同定されている。EGFR 遺伝子変異は、これらの中で最も一般的な遺伝子変異であるが、その中でEGFR 遺伝子エクソン20挿入変異陽性のNSCLCに対しては有用な治療が確立しておらず、新たな治療選択肢が望まれてきた。
本剤の臨床開発として、切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象とした61186372EDI1001試験(以下、EDI1001試験)及びEGFR 遺伝子エクソン20挿入変異陽性の化学療法歴のない切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象として ACP 併用療法と CP 併用療法の有効性を比較した国際共同第Ⅲ相試験である61186372NSC3001試験(以下、NSC3001試験)が実施された。
本剤は、これらの試験において検討されたACP併用療法の有効性及び安全性の結果より、製造販売承認申請を行い、「EGFR 遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の効能又は効果で2024年9月に承認された。
作用機序
アミバンタマブは、ヒトEGFR及びMETに対する抗原結合部位を有するヒト型IgG1二重特異性モノクローナル抗体である。野生型、活性型及び耐性遺伝子変異を有するEGFR、及び/又は野生型、変異型及び過剰発現したMETのECDに結合することが可能である。
アミバンタマブは、EGFR又はMETシグナル伝達が活性化されたNSCLC細胞において、シグナル伝達阻害、ADCCを介して腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられる。
アミバンタマブの抗腫瘍作用機序を図に示す。
① アミバンタマブは、EGFRとそのリガンドであるEGFの結合、及びMETとそのリガンドであるHGFの結合を阻害して、EGFR及びMETシグナル伝達を阻害する(図A)。
② 免疫細胞上に存在するFcγR及び腫瘍細胞表面のEGFR及びMETに結合し、FcγRを介してADCCを惹起し、腫瘍細胞を傷害する(図B)。
製品情報
商品名 | ライブリバント点滴静注350mg |
一般名 (洋名) | アミバンタマブ (Amivantamab) |
承認年月日 | 2024年9月24日 |
発売年月日 | 2024年11月20日 |
メーカー | ヤンセンファーマ株式会社 |
名前の由来 | 抗体をイメージする「Y」、呼吸を意味する「BREATH」、本剤の有効成分である「amivantamab」を由来とし、そこにRを加えることで力強さや堅実さを感じさせる響きをもたせ、ライブリバント®(RYBREVANT®)とした。 |
ステム | モノクローナル抗体:‐mab |
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効能又は効果
EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
・本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
・本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行うこと。異常が認められた場合は本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。また、特に治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと。
・本剤投与開始前に、胸部CT検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴の有無を確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること。
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
用法及び用量
カルボプラチン及びペメトレキセドナトリウムとの併用において、3週間を1サイクルとし、通常、成人にはアミバンタマブ(遺伝子組換え)として以下の用法及び用量で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。
・本剤投与によるinfusion reactionを軽減させるため、本剤投与前に、1サイクル目の第1日目及び第2日目は、副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤を投与し、必要に応じてH2受容体拮抗剤や制吐剤を投与すること。1サイクル目の第8日目以降は、抗ヒスタミン剤及び解熱鎮痛剤を投与し、必要に応じて副腎皮質ホルモン剤、H2受容体拮抗剤や制吐剤を投与すること。
・重度の皮膚障害があらわれることがあるので、必要に応じて皮膚科を受診するよう患者に指導すること。
代謝・代謝酵素について
アミバンタマブはヒトIgG mAbであるため、ヒトでは内因性IgG抗体と同様にタンパク質の異化経路でペプチドやアミノ酸に分解され、反応性代謝物は生成しないと考えられる。
食事の影響
該当資料なし
副作用(抜粋)
重大な副作用としてinfusion reaction、間質性肺疾患、重度の皮膚障害、静脈血栓塞栓症、主な副作用として爪囲炎、好中球減少症、低アルブミン血症、口内炎、発疹、ざ瘡様皮膚炎、末梢性浮腫、ALT増加、AST増加などが報告されている。
情報更新日:2024年11月