タケキャブ(ボノプラザン)の特徴・作用機序

特徴的なポイント
・カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(Potassium-Competitive Acid Blocker:P-CAB)とも呼ばれる新たな作用機序を有する新しいカテゴリーのプロトンポンプ阻害薬(PPI)である。
・既存のPPIは酸の存在下で活性体に変換されてプロトンポンプのSH基に非可逆的に結合し、酵素活性を阻害するのに対し、本剤は既存のPPIよりも塩基性が高く胃壁細胞の分泌細管に高濃度に集積、長時間残存してカリウムイオンと競合的な様式で可逆的に酵素活性を阻害し、強力かつ持続的な酸分泌抑制作用を示す。
・胃の壁細胞に集積して、速やかに酸分泌を抑制する。

構造式または示性式

名前の由来

タケダのP-CAB(Potassium-Competitive Acid Blocker:ピーキャブ)

ステム

なし

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発売日

2015 年 2 月

メーカー

武田薬品工業株式会社(提携 大塚製薬株式会社)

適応

○胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制

○下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

作用機序

ボノプラザンは酸による活性化を必要とせず、カリウムイオンに競合的な様式でプロトンポンプを阻害し、胃酸分泌を抑制する。

また、塩基性が強く、また酸性環境下でも安定なため、分泌細管に高濃度に集積し、長時間残存する。この性質により、血中薬物濃度の低下後に、新たに分泌細管の膜上へ移動してきたプロトンポンプも阻害することができるため、速やかで優れた酸分泌抑制作用を示すと考えられる。

H.pylori 除菌効果に関しては、直接的なウレアーゼ阻害活性はない。
そのため、除菌効果は、ボノプラザンが 胃内pHを上昇させることにより併用する抗菌薬の抗菌活性を増強させ、抗菌薬の粘液層透過性を高めたためと考えられている。

代謝などに関して

ボノプラザンフマル酸塩は主としてCYP3A4で代謝され、一部CYP2B6、CYP2C19及び CYP2D6で代謝される。また、硫酸転移酵素SULT2A1でも代謝される。

さらに、CYP2B6、CYP2C19及びCYP3A4/5に対して時間依存的な阻害作用も示す。P-gpの輸送活性も阻害する。

主な排泄経路は尿である。

相互作用

(1) 併用禁忌とその理由

なし

(2) 併用注意とその理由

CYP3A4 阻害剤 (クラリスロマイシン等 )

本剤は主として肝薬物代謝酵素CYP3A4で代謝されるため、クラリスロマイシン等との併用により本剤の血中濃度が上昇する。

ジゴキシン、 メチルジゴキシン

ジゴキシンは、その一部が胃内で加水分解される。本剤の胃酸分泌抑制作用により、ジゴキシンの加水分解が抑制され、血中濃度が上昇する可能性がある。

イトラコナゾール、チロシンキナーゼ阻害剤(ゲフィチニブ、ニロチニブ、エルロチニブ等)、ネルフィナビルメシル酸塩

これらの薬剤の溶解度はpHに依存しているため、本剤の胃酸分泌抑制作用により血中濃度が低下する可能性がある。

重大な副作用

  • 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(StevensJohnson 症候群)、多形紅斑(いずれも頻度不明)
  • ヘリコバクター・ピロリの除菌に用いるアモキシシリン水和物、クラリスロマイシンでは、 偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎(頻度不明)があらわれることがある。

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