
みなさん、こんにちは。今回は2024年11月に新たに発売されたトリプルネガティブ乳がん治療薬「トロデルビ」について、簡単にまとめました。
はじめに:トロデルビとは
トロデルビ(一般名:サシツズマブ ゴビテカン)は、ホルモン受容体陰性かつHER2陰性の乳がん、いわゆるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する新たな治療選択肢です。TNBCは乳がん全体の約10%を占め、再発・転移のリスクが高く、標準的治療が限られている中で、トロデルビの登場は大きな期待を集めています。
製品概要
- 製品名:トロデルビ点滴静注用200mg
- 一般名:サシツズマブ ゴビテカン(遺伝子組換え)
- 製造販売元:ギリアド・サイエンシズ株式会社
- 承認日:2024年9月24日
- 発売日:2024年11月20日
- 薬効分類:抗TROP-2抗体トポイソメラーゼⅠ阻害剤複合体
作用機序と特徴
トロデルビは、抗TROP-2抗体とトポイソメラーゼⅠ阻害剤SN-38(イリノテカンの代謝産物)を結合させた抗体薬物複合体(ADC)です。TROP-2は乳がんを含む多くの腫瘍細胞に高発現しており、本剤はこのTROP-2を標的にして選択的に薬剤を腫瘍細胞内に送り込み、SN-38によりDNA合成を阻害し、腫瘍の増殖を抑制します。
効能・効果・適応症
化学療法歴のあるホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん。
用法・用量と投与時の注意点
21日間を1サイクルとし、1回10mg/kgを1日目および8日目に点滴静注(通常初回は3時間、忍容性が良好であれば2回目以降は1~2時間)。投与前にinfusion reaction軽減のため、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン薬、H2ブロッカーの前投与を検討します。
相互作用・代謝経路
SN-38は主にUGT1A1によって代謝されるため、UGT1A1阻害剤(アタザナビル等)や誘導剤(リファンピシン等)との併用に注意が必要です。また、UGT1A1*28/*28等の遺伝子多型を有する患者では副作用が増強する可能性があります。
食事の影響について
添付文書上、食事の影響に関する記載はありませんが、通常の抗がん剤と同様に空腹時または軽食後の投与が望ましいとされています。
主な副作用と安全性情報
主な副作用には、好中球減少(66.7%)、悪心(62.6%)、脱毛症(46.6%)、下痢(44.4%)、発熱性好中球減少、infusion reaction(32.3%)などがあり、投与中は血液検査と症状観察が重要です。間質性肺疾患や感染症のリスクもあり注意が必要です。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- 適応はTNBCであることの確認
- UGT1A1遺伝子多型の確認
- 骨髄抑制リスクの説明と同意取得
- 投与施設の緊急対応体制の整備
- 投与前の前処置薬剤(解熱鎮痛薬など)確認
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
副作用として下痢や脱毛、感染症リスクが高いため、発熱や倦怠感があればすぐに受診を促すように説明します。また、事前に脱毛への備えや、G-CSF投与の可能性も伝えておくと安心です。
💡ワンポイントアドバイス:「下痢が続くようなら我慢せず、すぐに主治医に連絡してくださいね」
まとめ

副作用管理がカギになるけど、トリプルネガティブ乳がんの新しい希望の選択肢になるかもしれませんね。これからの現場での活用に期待が高まります!