
『みなさん、こんにちは。今回は2024年11月に新たに発売された耐性菌感染症治療薬「ザビセフタ配合点滴静注用」について、簡単にまとめました。』
はじめに: ザビセフタとは
ザビセフタ配合点滴静注用(一般名:アビバクタムナトリウム/セフタジジム水和物)は、グラム陰性菌による複雑性腹腔内感染症、複雑性尿路感染症、敗血症、院内肺炎などに用いられる抗菌薬です。
近年、国内外で問題となっているのはβ-ラクタマーゼ産生菌による薬剤耐性(AMR)の増加です。特に大腸菌、肺炎桿菌、緑膿菌といった病原菌では、従来のβ-ラクタム系抗菌薬に対する耐性率が上昇し、臨床現場で治療に難渋する例が増えています。
こうした背景から、β-ラクタマーゼ阻害剤と抗菌薬の配合剤が注目されており、ザビセフタは新しい治療選択肢として期待されています。
製品概要
- 商品名: ザビセフタ配合点滴静注用
- 一般名: アビバクタムナトリウム/セフタジジム水和物
- 薬効分類: β-ラクタマーゼ阻害剤配合抗生物質製剤
- 製造販売元: ファイザー(株)
- 製造販売承認日: 2024年6月24日
- 薬価基準収載日: 2024年8月15日
- 発売日: 2024年11月12日
作用機序と特徴
ザビセフタは、β-ラクタマーゼ阻害剤アビバクタムと、セフェム系抗菌薬セフタジジムの配合剤です。
・アビバクタム: AmblerクラスA、クラスCおよび一部のクラスD(OXA-48など)のβ-ラクタマーゼを阻害。非β-ラクタム系阻害薬であり、加水分解されにくい安定な付加体を形成します。
・セフタジジム: 細菌のペニシリン結合蛋白質(PBP)に結合し、細胞壁合成を阻害して殺菌作用を発揮します。
この2剤を組み合わせることで、従来のセフタジジムでは治療困難だった耐性菌に対しても有効性を示す点が大きな特徴です。
効能・効果・適応症
〈適応菌種〉本剤に感性の大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ属、インフルエンザ菌、緑膿菌
〈適応症〉敗血症、肺炎、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、肝膿瘍
用法・用量と投与時の注意点
- 成人:通常1回2.5g(アビバクタム0.5g/セフタジジム2g)を1日3回、2時間かけて点滴静注
- 腹膜炎・腹腔内膿瘍・胆嚢炎・肝膿瘍ではメトロニダゾール注射液と併用
- 腎機能障害患者(CLcr 50mL/min以下)では投与量を減量調整
- 血液透析中の患者では透析後に投与
- 投与中は腎機能・肝機能・血液検査を定期的に実施することが望ましい
相互作用・代謝経路
・アビバクタム、セフタジジムは主に腎排泄され、代謝はほとんど受けません。
・プロベネシド: アビバクタムの血中濃度が上昇するため併用注意(OAT1/OAT3阻害による)
・利尿薬(フロセミド等): 腎障害のリスク増大
・経口避妊薬: 腸内細菌叢の変化で効果減弱の可能性あり
食事の影響について
点滴静注用製剤であるため、食事による影響はありません。
主な副作用と安全性情報
- 重大な副作用: ショック、アナフィラキシー、クロストリジウム・ディフィシレ大腸炎、急性腎障害、汎血球減少、肝障害、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、Stevens-Johnson症候群、間質性肺炎、神経症状(痙攣・意識障害など)
- その他の副作用: 下痢、悪心、頭痛、発疹、肝酵素上昇、静脈炎、カンジダ症など
- 副作用発現率は臨床試験で約6〜16%と報告
処方時のチェックリスト(医師向け)
- β-ラクタマーゼ産生菌が疑われ、感受性が確認されているか
- 腎機能に応じた投与量調整が必要かどうか
- 重篤なβ-ラクタム系抗菌薬過敏症歴がないか
- 治療必要最小限の期間にとどめるか
- メトロニダゾール併用の有無(腹膜炎・胆嚢炎など)を確認
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 点滴静注であり、経口薬ではないことを確認
- 腎機能・肝機能に応じた調整が行われているかを確認
- 他剤(プロベネシド、利尿薬、経口避妊薬など)との併用注意を説明
- 副作用(発疹・下痢・倦怠感・尿異常)があればすぐ報告するよう指導
- 治療期間が限定されていることを説明
ケアポイント(看護師向け)
- 投与中はアナフィラキシー症状の有無を観察
- 下痢・血便・発熱など感染性腸炎の兆候を確認
- 腎機能や尿量の変化をモニタリング
- 点滴部位の静脈炎や疼痛を観察
- 患者や家族に治療目的と投与期間をわかりやすく説明
まとめ

ザビセフタは、耐性菌に対応できる新しいβ-ラクタマーゼ阻害剤配合抗菌薬です。感染症治療の強力な武器として、現場で頼れる存在になりそうですね。』
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