
みなさん、こんにちは。今回は2024年11月に新たに発売された甲状腺眼症治療薬「テッペーザ」について、簡単にまとめました。
はじめに:テッペーザとは
テッペーザ(一般名:テプロツムマブ)は、2024年11月に発売された国内初の活動性甲状腺眼症(TED)に対する治療薬で、インスリン様成長因子-1受容体(IGF-1R)を標的とするモノクローナル抗体です。TEDはバセドウ病に伴って生じることが多く、眼球突出、複視、疼痛などの眼症状に加え、心理的・社会的なQOLの低下を引き起こす難治性疾患です。本剤の登場により、従来のステロイドや放射線治療に加えて、新たな治療の選択肢となりました。
製品概要(承認日、発売日、製造販売元など)
- 商品名:テッペーザ点滴静注用500mg
- 一般名:テプロツムマブ(遺伝子組換え)
- 製造販売元:アムジェン株式会社
- 薬効分類:甲状腺眼症治療用IGF-1R阻害剤
- 承認日:2024年9月24日
- 薬価基準収載日/発売日:2024年11月20日
作用機序と特徴
テプロツムマブは、TEDに関与する眼窩線維芽細胞上のIGF-1受容体に対する抗体として作用し、自己リン酸化および下流シグナルを阻害します。その結果、眼窩組織の肥厚や炎症が抑制され、眼球突出や浮腫などの症状が軽減されます。従来治療では得られにくかった迅速かつ顕著な眼球突出の改善効果が、国内外の臨床試験で確認されています。
効能・効果・適応症
効能・効果:活動性甲状腺眼症(中等症〜重症)
適応対象:眼球突出や疼痛、複視を伴う活動性TED患者で、特に従来治療に抵抗性のあるケースに適応されます。
用法・用量と投与時の注意点
通常、成人には初回10mg/kgを、2回目以降は20mg/kgを3週間間隔で計8回点滴静注します。
投与時間は初回90分間、忍容性良好であれば3回目以降は60分に短縮可能です。投与に際しては溶解と希釈手順を厳密に遵守し、聴力検査を含むモニタリングを行います。
相互作用・代謝経路
本剤は抗体医薬品であり、CYP酵素による代謝の影響を受けにくいとされます。併用禁忌は明示されていませんが、蛋白製剤であるため他薬剤との混合投与は避け、独立した静注ラインでの投与が必要です。
食事の影響について
本剤は静脈内投与製剤であり、経口投与での吸収影響はなく、食事の影響もありません。ただし、点滴時の患者状態(脱水や低栄養)には注意が必要です。
主な副作用と安全性情報
国内試験では副作用発現率は約52%、海外試験では約63%と報告されています。
主な副作用:脱毛、耳鳴、聴力低下、感音性難聴、筋痙縮、糖尿病、infusion reaction など。
重篤かつ不可逆的な聴覚障害の報告があるため、定期的な聴力検査が必須です。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- 活動性TED(中等症〜重症)であることの確認
- 妊娠中・妊娠可能性の有無(禁忌)
- 聴力検査(事前・投与中)を実施
- 糖尿病・耐糖能異常の有無と血糖コントロール
- 炎症性腸疾患・耳疾患の既往確認
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 投与前に聴覚に関する説明を行い、耳鳴や聞こえにくさがあれば速やかに申告するよう伝えます。
- 投与スケジュールは3週ごとであるため、来院予定の確認と調整も重要です。
- 脱毛や味覚障害などの外見や生活への影響も丁寧に説明してあげると安心感につながります。
💡ワンポイントアドバイス:「少しでも耳が変だな?と感じたら、遠慮せずすぐ教えてくださいね!」
まとめ

テッペーザは、これまで治療選択肢の乏しかった活動性TEDにとって、まさに希望の光となるお薬です。副作用の注意点をしっかり押さえて、現場での新たなスタンダードになっていくといいですね♪