
みなさん、こんにちは。今回は2025年1月に新たに発売されたランバート・イートン筋無力症候群治療薬「ファダプス」について、簡単にまとめました。
はじめに:ファダプスとは
ファダプス錠10mg(一般名:アミファンプリジンリン酸塩〈Amifampridine Phosphate〉)は、ランバート・イートン筋無力症候群(Lambert-Eaton Myasthenic Syndrome:LEMS)の筋力低下改善を目的とした内服薬です。
LEMSは、神経筋接合部における自己免疫性疾患で、2017年の推定受療患者数は348人とされる稀少疾患(希少疾病)です。主に抗P/Q型電位依存性カルシウムチャネル(Voltage-Gated Calcium Channel:VGCC)抗体が神経終末へのカルシウム流入を阻害し、アセチルコリンの放出が障害されることで、筋力低下・腱反射低下・自律神経障害などの症状を引き起こします。
また、50~70%の患者に悪性腫瘍(特に小細胞肺がん)が合併する傾向があり、予後は腫瘍の有無に大きく影響されます。既存治療は対症療法が中心であり、ファダプスは日本初の承認アミファンプリジン製剤として、治療の選択肢拡大に寄与する新薬です。
製品概要
- 販売名:ファダプス錠10mg
- 一般名:アミファンプリジンリン酸塩(Amifampridine Phosphate)
- 製造販売元:ダイドーファーマ株式会社
- 薬効分類:その他の末梢神経系用薬(129)
- 承認日:2024年9月24日
- 薬価基準収載日:2024年11月20日
- 発売日:2025年1月15日
作用機序と特徴
ファダプスは、電位依存性カリウムチャネル(Voltage-Gated Potassium Channel)を遮断することで、神経筋接合部における脱分極時間を延長し、カルシウムチャネルの開口時間を増加させます。
その結果、アセチルコリンの放出量が増加し、神経筋伝達の効率が改善され、筋力低下を改善すると考えられています。
3,4-ジアミノピリジン系として、長年欧米で使用されてきた実績があり、日本では初承認のアミファンプリジン製剤です。
効能・効果・適応症
ランバート・イートン筋無力症候群の筋力低下の改善
用法・用量と投与時の注意点
通常、成人にはアミファンプリジンとして初期用量1回5mgを1日3回経口投与します。
患者の状態に応じて1回5〜30mgの範囲で適宜増減し、1日3〜5回投与、最大1日100mgまでとされます。
増量は3日以上の間隔をあけ、1日用量として5mgずつ行う必要があります。
てんかんや痙攣性疾患の既往がある患者は禁忌であり、浮動性めまい、霧視、疲労、痙攣発作などの副作用に注意が必要です。
相互作用・代謝経路
CYP代謝酵素による主な代謝ではなく、代謝や相互作用の記載は限定的ですが、中枢神経系に影響を及ぼす薬剤(例:抗けいれん薬)との併用には注意が必要です。
食事の影響について
食事の影響に関する明確な制限はなく、食後投与が基本とされています。
主な副作用と安全性情報
主な副作用には、めまい、霧視、疲労、胃腸症状(下痢・吐き気)などがあり、痙攣発作などの重篤な副作用にも注意が必要です。
神経系への作用があるため、自動車運転や機械操作に支障をきたす可能性があり、十分な指導が求められます。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- てんかん・痙攣性疾患の既往の有無
- 浮動性めまい・霧視・疲労感などの副作用モニタリング
- 1回投与量・回数・増量間隔の管理(3日以上空けて5mg刻み)
- 他の中枢作用薬との併用有無の確認
- 最大1日用量100mgを超えていないかチェック
ケアポイント(看護師向け)
- 服薬タイミングや回数の管理状況を確認し、アドヒアランスをサポート
- 立ちくらみ・ふらつき・霧視などの自覚症状を観察・傾聴
- 痙攣の前兆(脱力感・意識の変容など)への注意喚起
- 他の疾患(特に小細胞肺がん)を併発している場合の全身状態モニタリング
- 介護支援・生活動作の支障について、必要時に多職種連携を促す
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 1日3〜5回の投与スケジュールを明確に説明
- 食後に服用することを推奨
- 浮動性めまいや視覚異常、疲労感に注意し、変化時は早めに受診を促す
- 痙攣発作の兆候があればすぐに中止し受診を指示
- 自動車運転や危険作業は控えるように案内
一言アドバイス:「1日何回か飲まなあかんけど、ちゃんと時間あけて守ってな。めまいとかあったらすぐ言ってや〜」
まとめ

ファダプスは、LEMSの筋力低下に新しい選択肢やね。しっかり飲み方守って、無理せんように使っていこ!