【2025年8月14日発売】タービー皮下注3mg・40mg(トアルクエタマブ)の特徴、作用機序

みなさん、こんにちは。今回は2025年8月に新たに発売された多発性骨髄腫治療薬「タービー」について、簡単にまとめました。

はじめに:タービーとは

タービー皮下注(一般名:トアルクエタマブ〔遺伝子組換え〕)は、2025年に新たに承認・発売された再発または難治性多発性骨髄腫(MM)の治療薬です。
多発性骨髄腫は、骨髄中の形質細胞ががん化し、骨や血液・腎臓に影響を及ぼす治療困難な疾患です。日本における年間新規患者数は約7,000人と推定され、高齢者に多く、症状としては骨痛・骨折、貧血、腎障害、高カルシウム血症などがみられます。従来の治療選択肢(IMiDs、プロテアソーム阻害剤、抗CD38抗体)に抵抗性を示した患者においては標準治療が確立しておらず、新たな分子標的薬への期待が高まっていました。
タービーは従来の標的分子(BCMA)とは異なるGPRC5Dを標的とした二重特異性抗体製剤であり、新しい治療オプションとして注目されています。

製品概要

  • 商品名:タービー皮下注3mg・40mg
  • 一般名:トアルクエタマブ(遺伝子組換え)
  • 薬効分類:抗悪性腫瘍剤(二重特異性抗体製剤)
  • 製造販売元:ヤンセンファーマ株式会社
  • 製造販売承認日:2025年6月24日
  • 薬価基準収載日:2025年8月14日
  • 発売日:2025年8月14日

作用機序と特徴

タービー(トアルクエタマブ)は、GPRC5DとCD3に対する二重特異性抗体です。GPRC5Dは多発性骨髄腫細胞で高発現しており、正常組織での発現が限定的といわれています。タービーはT細胞上のCD3と腫瘍細胞上のGPRC5Dを同時に結合し、T細胞を活性化し、その結果、GPRC5Dを発現する骨髄腫細胞を直接攻撃・破壊します。BCMA標的療法に抵抗性となった患者にも有効性が期待できる点が大きな特徴です。

効能・効果・適応症

再発または難治性の多発性骨髄腫(標準的治療が困難な場合に限る)。
IMiDs・PI・抗CD38抗体の3クラス治療歴を有する患者を対象としています。

用法・用量と投与時の注意点

通常、成人には以下のいずれかで皮下投与します。
A法:漸増期 0.01 → 0.06 → 0.4mg/kg、その後 0.4mg/kgを週1回皮下注
B法:漸増期 0.01 → 0.06 → 0.4 → 0.8mg/kg、その後 0.8mg/kgを2週に1回皮下注
投与初期はサイトカイン放出症候群(CRS)リスクが高いため、必ず入院下で管理し、前投与薬(ステロイド、抗ヒスタミン薬、解熱鎮痛薬)を使用します。

相互作用・代謝経路

・本剤投与によるサイトカイン放出によりCYP酵素が抑制され、ワルファリン、シクロスポリン、タクロリムスなど治療域の狭い薬剤の血中濃度が上昇する可能性あり。
・生ワクチン接種は感染症リスクがあるため避けることが推奨されています。

食事の影響について

食事による有意な影響は報告されていません。投与は皮下注製剤のため、摂食状況によらず使用可能です。

主な副作用と安全性情報

  • サイトカイン放出症候群(76.1%)
  • 味覚不全(71.1%)
  • 爪障害(55.5%)、皮膚障害(41.5%)、発疹(34.6%)
  • 血液毒性:好中球減少(25.2%)、貧血(24.9%)、血小板減少(20.9%)
  • 神経学的事象:ICANS(8.6%)、頭痛(8.6%)、痙攣・錯乱など
  • 感染症:肺炎、敗血症など(注意が必要)

重度CRSや神経毒性の発現時には速やかに休薬、中止を行い、必要に応じてトシリズマブ等の投与を行います。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • IMiDs・PI・抗CD38抗体治療歴を有するか
  • 初期投与は入院下で行う準備が整っているか
  • トシリズマブ製剤を速やかに使用できるように備えているか
  • CYP基質薬(ワルファリン等)の併用確認
  • 感染症リスク評価(既往・予防投与含む)

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 入院下での初期投与と前投与薬の必要性を説明
  • 投与後数日は発熱・倦怠感・皮疹に注意するよう案内
  • 味覚異常や爪障害が出やすいことを事前に説明
  • 自己判断で市販薬を使用しないよう指導
  • 生ワクチン接種を避けるよう説明

ケアポイント(看護師向け)

  • 投与初期48時間は発熱・血圧・呼吸状態を重点観察
  • 神経学的症状(言語障害、錯乱、けいれん)に注意
  • 皮膚・爪の異常や口腔内症状を観察・記録
  • 感染兆候(咳、発熱、排尿異常など)の早期発見

まとめ

タービーは従来の標準治療に抵抗性を示す骨髄腫患者さんに、新しい希望をもたらすお薬ですね。特に入院下での安全管理や多職種連携がとても大切だと感じます。

執筆者:薬剤師[博士(薬学)]
参考・引用資料:添付文書、インタビューフォーム、適正使用ガイド、メーカープレスリリース資料など
※掲載内容には細心の注意を払っておりますが、古い情報や誤りがある場合がございます。最新の添付文書などをご確認ください。
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