
みなさん、こんにちは。今回は2025年8月に新たに発売された肺動脈性肺高血圧症治療薬「エアウィン」について、簡単にまとめました。
はじめに:エアウィンとは
エアウィン皮下注用45mg・60mg(一般名:ソタテルセプト[遺伝子組換え])は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対する新しい治療薬です。PAHは、肺動脈の血管が狭くなり血流が障害されることで肺動脈圧が上昇し、右心室に負担をかけて最終的に右心不全を引き起こす難治性疾患です。指定難病に指定されており、国内の患者数は年々増加しており、2023年度の特定医療費受給者証所持者数は4,682人と報告されています。主な症状には労作時呼吸困難、息切れ、動悸、胸痛、失神、浮腫などがあり、進行すると日常生活に大きな支障をきたします。従来は利尿薬や酸素療法に加え、肺血管拡張薬を用いた治療が中心でしたが、それだけでは十分な効果が得られない患者が多く、新規作用機序を持つ薬剤が待望されていました。
製品概要(承認日、発売日、製造販売元など)
- 商品名:エアウィン皮下注用45mg・60mg
- 一般名:ソタテルセプト(遺伝子組換え)
- 薬効分類:アクチビンシグナル伝達阻害剤
- 製造販売元:MSD株式会社
- 製造販売承認取得日:2025年6月24日
- 薬価基準収載日:2025年8月14日
- 発売日:2025年8月18日
作用機序と特徴
エアウィンは、世界初のアクチビンシグナル伝達阻害剤(ASI)です。PAHでは、肺血管平滑筋細胞の異常増殖や炎症によって肺血管リモデリングが進行し、血管抵抗が上昇します。本剤は、アクチビンシグナル経路を阻害することで細胞増殖促進と抑制のバランスを整え、肺血管平滑筋細胞の異常増殖を抑制し、肺血管の恒常性を回復させる作用を持ちます。既存の肺血管拡張薬とは異なる作用点を有しており、従来治療で十分な効果が得られなかった患者にも新たな選択肢を提供します。
効能・効果・適応症
肺動脈性肺高血圧症(PAH)
用法・用量と投与時の注意点
通常、成人にはソタテルセプトとして初回0.3mg/kgを皮下投与し、2回目以降は0.7mg/kgに増量して3週間ごとに投与します。投与前および投与中はヘモグロビン値および血小板数を定期的に測定し、特に投与5回目までは各投与前に検査を実施する必要があります。肺血行動態の悪化がみられなくても原因不明の低酸素症が出現した場合には、右左シャントの可能性を考慮して精査を行うことが推奨されています。
相互作用・代謝経路
ソタテルセプトはタンパク質製剤であり、主に標的受容体との結合を介して作用するため、一般的なCYP酵素を介した薬物相互作用は少ないと考えられています。ただし、併用薬による造血機能への影響や血液検査値変動には注意が必要です。
食事の影響について
皮下投与製剤のため、食事の影響は受けません。
主な副作用と安全性情報
- ヘモグロビン増加
- 血小板減少
- 頭痛、倦怠感、鼻出血など
定期的な血液検査によるモニタリングが安全投与の鍵となります。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- 対象患者がPAHであることを確認
- 投与開始前にヘモグロビン値・血小板数を測定
- 少なくとも投与5回目までは各投与前に検査を実施
- 原因不明の低酸素症が出現した場合には精査を実施
- 肺血管拡張薬併用下での治療を考慮
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 3週間ごとの皮下投与であることを説明
- 血液検査の重要性を伝える
- 倦怠感や頭痛、鼻出血などの副作用が出た場合は報告を促す
- 通院間隔が長い患者では副作用兆候に注意するよう指導
ケアポイント(看護師向け)
- 投与前に血液検査結果を確認
- 注射部位の状態を観察
- 倦怠感、息切れ、頭痛などの症状の聴取
- 低酸素症の兆候がないかSpO2を定期的に確認
まとめ

エアウィンは、PAH治療において新しい作用機序を持つ画期的なお薬です。血液検査でのモニタリングが大切ですが、既存治療で十分な改善が得られなかった患者さんにとって希望となる選択肢になりそうですね。
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