【2025年6月12日発売】リブマーリ内用液10mg/mL(マラリキシバット塩化物)の特徴、作用機序

『みなさん、こんにちは。今回は2025年6月に新たに発売されたアラジール症候群・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症治療薬「リブマーリ」について、簡単にまとめました。』

はじめに:リブマーリとは

リブマーリ内用液10mg/mL(一般名:マラリキシバット塩化物)は、アラジール症候群(ALGS)および進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)に伴う胆汁うっ滞性そう痒の治療に用いる、国内初の回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤です。

ALGSは小葉間胆管減少症を伴うまれな遺伝性疾患で、重度のそう痒や黄疸、成長障害などが現れ、60~75%の患者が成人前に肝移植が必要になることがあります。PFICは乳児期から進行性の肝機能障害や強いそう痒を呈し、いずれも患者・家族の生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼします。

従来は利胆剤やかゆみ止め、ビタミン補充など対症療法が中心でしたが、リブマーリは胆汁酸の腸肝循環を遮断し、血清胆汁酸を低下させることで、根本的なそう痒軽減が期待できる新規経口薬です。

製品概要

  • 商品名:リブマーリ内用液10mg/mL
  • 一般名:マラリキシバット塩化物
  • 製造販売元:武田薬品工業株式会社
  • 薬効分類:肝臓疾患用剤
  • 効能・効果:アラジール症候群、進行性家族性肝内胆汁うっ滞症における胆汁うっ滞に伴うそう痒
  • 承認日:2025年3月27日 発売日:2025年6月12日
  • 包装:30mL(1瓶)

作用機序と特徴

マラリキシバットは、回腸末端部の腸管上皮細胞に発現する回腸胆汁酸トランスポーター(IBAT)を選択的かつ可逆的に阻害し、胆汁酸の腸肝循環を遮断します。これにより、胆汁酸が糞便中に排泄されやすくなり、血清胆汁酸濃度が低下し、そう痒の軽減効果が期待できます。体内吸収はわずかで、主に腸管内で作用します。

効能・効果・適応症

次の疾患における胆汁うっ滞に伴うそう痒
・アラジール症候群(ALGS)
・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)
※PFICのうち、BSEP完全欠損変異例では効果が期待できません。

用法・用量と投与時の注意点

【アラジール症候群】
通常、マラリキシバット塩化物として200μg/kgを1日1回食前に経口投与し、1週間後に400μg/kg 1日1回へ増量します。
【進行性家族性肝内胆汁うっ滞症】
通常、300μg/kgを1日1回食前に経口投与、1週間後から300μg/kgを1日2回、さらに1週間後から600μg/kgを1日2回に増量します。
※体重別投与量表に基づき、ディスペンサーで計量し投与。
※3ヵ月間投与しても効果がない場合は継続可否を検討。
※副作用や肝機能、脂溶性ビタミン低下、脱水・下痢等に注意し、定期的にモニタリングを行います。

相互作用・代謝経路

主に未変化体で糞中に排泄されます。OATP2B1阻害作用があるため、併用薬には注意が必要です。
生ワクチン等の薬効へ影響する可能性や、胆汁酸排泄増加による脂溶性ビタミン(A, D, E, K)低下に留意します。

食事の影響について

高脂肪食摂取後の投与では血中濃度が大幅に減少します。必ず空腹時(食前)に投与してください。

主な副作用と安全性情報

  • 下痢(20~23%)、腹痛(6~13%)、便意切迫、皮膚炎、血中ビリルビン増加など
  • 重大な副作用:脱水、高度な下痢、肝機能障害、ビタミン欠乏、アナフィラキシーなど

副作用発現時は速やかに減量・休薬や適切な処置を行い、定期的な肝機能・ビタミン測定を実施します。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • ALGS/PFICの診断、BSEP完全欠損ではないことを確認
  • 体重、肝機能、ビタミンA/D/E/K、PT-INR測定の体制
  • ディスペンサー使用説明、服用指導の実施
  • 3ヵ月後の効果判定・継続可否評価
  • 下痢・腹痛・脱水症状等の副作用説明と家族への指導

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 必ず食前に服用すること、ディスペンサーで計量すること
  • 開封後130日以内の使用・保管・廃棄方法
  • 副作用(下痢、脱水等)時の受診目安説明
  • ビタミン補給の重要性や、継続的な検査の必要性

ケアポイント(看護師向け)

  • 副作用(下痢、脱水、皮膚炎など)・肝機能障害の観察
  • 投与量・投与法の説明サポートと家族への指導
  • 服用・ディスペンサー管理の確認
  • ビタミン低下や栄養障害・発育不良の早期発見

まとめ

『リブマーリは、ALGS・PFICに伴うそう痒を根本から軽減できる新しい経口治療薬です。家族との協力や多職種連携で、安心して治療を続けていきましょう。』

執筆者:薬剤師[博士(薬学)]
参考・引用資料:添付文書、インタビューフォーム、適正使用ガイド、メーカープレスリリース資料など
※掲載内容には細心の注意を払っておりますが、古い情報や誤りがある場合がございます。最新の添付文書などをご確認ください。
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