開発の経緯について
ロザノリキシズマブは、UCB社が開発した胎児性抗体フラグメント(結晶化可能領域)受容体(FcRn)に対する遺伝子組み換えヒト化免疫グロブリン(Ig)G4Pモノクローナル抗体製剤である。鎖交換(IgG)の重鎖・軽鎖対に解離が生じた後、特異性の異なるIgG4の同等の重鎖・軽鎖対と再会合すること)の発生を軽減するため、IgG4重鎖配列225番目のセリンをプロリンに変異させ、ヒンジ領域を改変した構造をしている。本剤は、FcRnにIgGが結合するのを競合的に阻害することで、IgGの血清中濃度を低下させるとともに、同じ機序で、全身型重症筋無力症(gMG)に伴う病原性IgG自己抗体の濃度を低下させる。
本剤の臨床開発は海外において2013年7月より開始され、健康被験者を対象とする海外第I相試験の結果、皮下投与が適切な投与経路であり(UP0018試験)、日本人、中国人及び白人被験者との間でPK/PDに臨床的に重要な差は認められないことが確認された(UP0060試験)。また、海外第IIa相試験(MG0002試験)で得られた有効性及び安全性の効果により、gMG患者を対象とする国際共同第III相試験(MG0003試験)及び長期継続投与試験(MG0004試験、MG0007試験)の結果、本剤の治療サイクルによる投与を支持する主な臨床データを得られたことから、米国では2022年10月に承認申請を行い、2023年6月に製造販売承認を取得した。また、欧州では2022年11月に承認申請を行った。
日本では2023年2月に聖俗販売承認申請を行い、「全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)」を効能又は効果として2023年9月に承認を取得した。また、本剤は2020年11月25日に全身型重症筋無力症に対する希少疾病用医薬品の指定(指定番号:(R2薬)第490号)を受けている。
作用機序
ロザノリキシズマブは、FcRnに対する遺伝子組み換えヒト化免疫グロブリン(IgG)G4Pモノクローナル抗体である。ロザノリキシズマブの構造は、鎖交換(IgG)の重鎖・軽鎖対に解離が生じた後、特異性の異なるIgG4の同等の重鎖・軽鎖対と再会合すること)の発生を軽減するため、IgG4重鎖配列225番目のセリンをプロリンに変異させ、ヒンジ領域を改変した構造をしている。また、アルブミンとFcRnとの結合を阻害せずにIgGとFcRnとの結合を特異的に阻害するようにデザインされている。
製品情報
商品名 | リスティーゴ皮下注280mg |
一般名 (洋名) | ロザノリキシズマブ (Rozanolixizumab) |
承認年月日 | 2023年9月25日 |
発売年月日 | 2023年11月28日 |
メーカー | ユーシービージャパン株式会社 |
名前の由来 | 特になし |
ステム | ヒト化キメラモノクローナル抗体:-xizumab |
[こちらも参照:ステムで薬の名前を暗記!【一覧リスト】薬が覚えられない人必見!]
効能又は効果
全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
用法及び用量
通常、成人にはロザノリキシズマブ(遺伝子組換え)として下表に示す用量を1週間間隔で6回皮下注射する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。
注意
本剤の投与により、血中IgG濃度が低下し、感染症が生じる又は悪化するおそれがある。本剤の治療期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、感染症の自他覚症状に注意し、異常が認められた場合には、速やかに医療機関に相談するよう患者に指導すること。
代謝・代謝酵素について
ロザノリキシズマブは、内因性IgGと同様の異化経路によりペプチド及びアミノ酸に代謝されると予想される。
食事の影響
該当データなし
副作用(抜粋)
重要な副作用には、重篤な感染症(0.5%)、無菌性髄膜炎(0.5%)が報告されている。
10%以上の副作用には、下痢(20.7%)、頭痛(36.7%)、発熱(12.8%)がある。
こちらのサイトは記載日時点の添付文書、インタビューフォームをまとめたものです。記載内容には十分な注意を払っておりますが、医療の情報は日々新しくなるため、誤り等がある場合がございます。参考にする場合は必ず最新の添付文書等をご確認ください。
情報更新日:2024年1月