
『みなさん、こんにちは。今回は2025年6月に新たに発売された急性骨髄性白血病治療薬「ティブソボ」について、簡単にまとめました。』
はじめに:ティブソボとは
ティブソボ(一般名:イボシデニブ)は、2025年6月2日に日本セルヴィエ株式会社から新発売された、IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病(AML)に用いるファーストインクラスの経口IDH1阻害剤です。AMLは年間約13,000人の新規患者が発生する進行性の造血器腫瘍であり、感染症や出血による致死的合併症が少なくありません。IDH1遺伝子変異は日本人AML患者の約10%に認められ、特に高齢や寛解導入療法不適応例では治療選択肢が限られていました。
ティブソボは変異型IDH1酵素を選択的に阻害することで腫瘍細胞の分化障害を解除し、腫瘍増殖を抑制します。アザシチジンとの併用により、従来治療が困難であった症例にも新たな治療機会を提供する薬剤です。
製品概要
- 商品名:ティブソボ錠250mg
- 一般名:イボシデニブ
- 製造販売元:日本セルヴィエ株式会社
- 薬効分類:IDH1阻害剤(抗悪性腫瘍剤)
- 効能・効果:IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病
- 承認日:2025年3月27日 発売日:2025年6月2日
- 包装:14錠(プラスチックボトル、乾燥剤入り)
作用機序と特徴
イボシデニブは、IDH1遺伝子変異型酵素を特異的に阻害する低分子薬です。変異型IDH1は2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)を産生し、細胞分化を阻害して腫瘍増殖を促進します。本剤は2-HGの産生を抑制することで、分化障害を解除し、白血病細胞の成熟と腫瘍増殖抑制を実現します。従来治療が難しかった高齢・不応例のAML患者にも、分化誘導療法という新たな治療戦略を提供します。
効能・効果・適応症
IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病
用法・用量と投与時の注意点
通常、成人にはイボシデニブとして1日1回500mgをアザシチジンとの併用で経口投与します。強いCYP3A阻害剤と併用する場合は1回250mgへ減量します。
高脂肪食摂取前後の投与は避けてください。QT延長や分化症候群、ギラン・バレー症候群など重篤な副作用に注意し、定期的な心電図・血液検査等による経過観察が重要です。
相互作用・代謝経路
本剤は主にCYP3Aで代謝されます。強いCYP3A阻害剤(イトラコナゾール等)、中程度阻害剤(エリスロマイシン等)、CYP3A誘導剤(リファンピシン等)、QT延長作用薬との併用に注意が必要です。P-gp、OAT3、OATP1B1の基質薬、グレープフルーツ含有食品も併用注意です。
食事の影響について
高脂肪食摂取後に本剤を投与するとAUCおよびCmaxが増加するため、高脂肪食の摂取前後での投与は避けてください。
主な副作用と安全性情報
- 重大な副作用:分化症候群、QT間隔延長、ギラン・バレー症候群
- その他の副作用:好中球減少、貧血、下痢、悪心、浮動性めまい、頭痛、発熱、皮疹、肝機能障害、感染症
副作用発現時には速やかな休薬、減量、中止など適切な対応が必要です。特に分化症候群・QT延長には注意し、発熱・皮疹・呼吸困難等を認めた際は速やかに対応してください。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- IDH1遺伝子変異陽性が確認された患者か
- アザシチジンとの併用適応か(寛解導入療法不適応例)
- 投与前・投与中の心電図、血液検査(白血球、電解質、腎機能等)管理
- CYP3A阻害・誘導薬、QT延長薬等の併用有無
- 副作用(分化症候群、QT延長、感染症等)のリスク説明・同意取得
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 用法・用量、服薬タイミング(高脂肪食を避ける)の説明
- 副作用(発熱、皮疹、息切れ、動悸等)出現時の早期受診指導
- 併用薬(CYP3A阻害・誘導薬、QT延長薬など)の確認
- 乾燥剤入りボトルで保存・服用方法
ケアポイント(看護師向け)
- バイタルサイン・自覚症状の観察、心電図管理
- 分化症候群や感染兆候出現時の早期報告・連携
- 服薬管理・保存指導、定期検査の受診勧奨
- 心理的サポートと副作用・生活指導
まとめ

『ティブソボは、IDH1変異陽性の急性骨髄性白血病に対する初の経口分化誘導療法薬です。適切なモニタリングと多職種連携を意識し、患者さん一人ひとりに寄り添った治療を大切にしていきたいですね。』
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