
みなさん、こんにちは。今回は2025年8月に新たに発売されたフォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍・腎細胞がん治療薬「ウェリレグ」について、簡単にまとめました。
はじめに:ウェリレグとは
ウェリレグ錠40mg(一般名:ベルズチファン)は、低酸素誘導因子 HIF-2α を標的とする経口の選択的阻害薬で、フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病関連腫瘍およびがん化学療法後に増悪した根治切除不能または転移性の腎細胞がん(RCC)を適応とする抗悪性腫瘍剤です。VHL病は国内で推定600〜1,000人の患者が罹患する希少疾患で、若年発症・多発性・再発性が特徴。RCCは腎がんの約9割を占め、淡明細胞型ではVHL遺伝子異常が多く、VEGFR-TKIや免疫チェックポイント阻害薬が標準ですが、再発・進行例での選択肢拡充が求められてきました。ウェリレグはHIF-2α経路を直接阻害することで、腫瘍血管新生と増殖シグナルを抑制し、外科的介入や既存薬で対応困難な状況に新たなオプションを提供します。
製品概要(承認日、発売日、製造販売元など)
- 商品名:ウェリレグ錠40mg
- 一般名:ベルズチファン
- 薬効分類:抗悪性腫瘍剤/HIF-2α阻害剤
- 製造販売元:MSD株式会社
- 製造販売承認取得日:2025年6月24日
- 薬価基準収載日:2025年8月14日
- 発売日:2025年8月18日
- 識別コード・剤形:青色フィルムコート錠 40mg(識別コード177)
作用機序と特徴
ベルズチファンは、HIF-2α と ARNT(HIF-1β)との二量体形成を阻害し、HIF-2α標的遺伝子の転写を抑制します。これにより、血管新生の抑制・細胞周期停止を介して腫瘍増殖を抑えると考えられます。VHL遺伝子異常で持続的に活性化するHIF-2経路を直接叩くため、VEGF経路阻害や免疫療法後の患者においても理論的有効性が期待されます。
効能・効果・適応症
- フォン・ヒッペル・リンドウ病関連腫瘍(適応患者の選択は臨床成績の熟読が必要)
- がん化学療法後に増悪した根治切除不能又は転移性の腎細胞癌(PD-1/PD-L1阻害薬およびVEGFR-TKI既治療例が対象)
用法・用量と投与時の注意点
通常、成人にベルズチファンとして 120mg を1日1回経口投与します。副作用時は40mg刻みで段階的減量、または休薬・中止を行います(目安表あり)。
重要な注意として、EPO低下に伴う貧血および低酸素症があるため、投与前および投与中に定期的なヘモグロビン測定とSpO2モニタリングを行います。初回治療は、緊急時対応可能な施設で、がん化学療法に習熟した医師のもとで実施します。
相互作用・代謝経路
ベルズチファンはUGT2B17・CYP2C19が主代謝、一部CYP3A4で代謝され、CYP3Aを誘導します。
併用注意:
・CYP2C19阻害薬(フルコナゾール、フルボキサミン、チクロピジンなど)・UGT2B17阻害薬(イマチニブなど):ベルズチファン濃度↑→有害事象増大に留意。
・CYP3A基質薬(ミダゾラム、フェンタニル、経口避妊薬など):ベルズチファンの誘導作用で基質薬の効果↓の可能性。必要に応じて用量調整や代替を検討。
・CYP2C19誘導薬併用でベルズチファン曝露↓の可能性。
その他、ベルズチファンはP-gp基質で、in vitroでUGT2B17・OCT1・MATE1/2-K阻害を示しています。
食事の影響について
高脂肪食併用で Cmaxはわずかに低下する一方、AUCはほぼ同等(空腹時比 Cmax0.76、AUC 1.00)。食事の有無にかかわらず投与可能です。
主な副作用と安全性情報
- 重大な副作用:貧血(74.4%)、低酸素症(10.4%)
- その他の主な副作用:疲労、悪心、めまい、呼吸困難、頭痛、関節痛、ALT/AST上昇、電解質異常など
VHL病試験では奏効率63.9%(CR 6.6%、PR 57.4%)。RCC第Ⅲ相では、PFSハザード比0.75でエベロリムスに対し有意なPFS延長を示しました(OSは中間解析で有意差なし)。安全性では貧血・低酸素症のモニタリングが鍵となります。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- 対象がVHL病関連腫瘍またはがん化学療法後に増悪した根治切除不能/転移性RCCであるか確認(適応外投与を避ける)。
- 治療開始前にHb・SpO2の基線を取得し、以降も定期モニタ。貧血・低酸素症の対策(輸血・ESA等)を準備。
- 併用薬でCYP2C19/UGT2B17阻害薬やCYP3A基質薬の有無をチェックし、投与計画を調整。
- 副作用発現時の休薬・減量(40mg刻み)・中止基準をチームで共有。
- 妊娠可能年齢への避妊指導(最終投与後1週間まで)と授乳回避の説明。
- 中等度以上の肝機能障害では曝露↑の可能性あり。慎重投与と厳格な観察。
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 1日1回120mgを毎日同じ時間に。飲み忘れは気づいた時点で服用し、次回分と二重服用しない。
- 食事の影響は軽微のため、食前・食後いずれでも可。継続性を優先。
- 貧血(だるさ、息切れ、ふらつき)や低酸素症(呼吸苦、チアノーゼ)の症状に早期対応を案内。
- 相互作用:一部抗真菌薬・抗うつ薬・抗てんかん薬、経口避妊薬、鎮静薬などのリスク説明。OTC・サプリも必ず申告してもらう。
- PTPは直前に取り出し、誤飲防止を周知。湿気対策も指導。
ケアポイント(看護師向け)
- 治療開始〜数週はHb・SpO2、バイタル、呼吸状態を重点観察。倦怠感・動悸・息切れの聴取をルーチン化。
- めまい・頭痛・霧視などの神経症状、呼吸困難・胸水兆候の有無をこまめに評価。
- 採血スケジュール・減量基準の共有、ESAや輸血の準備体制を事前に確認。
- 妊娠回避・授乳回避の指導内容を再確認し、継続的にアドヒアランスを支援。
まとめ(QOL・現場活用)

ウェリレグはHIF-2αを直接抑える内服薬として、外科中心だったVHL病や既治療RCCの現場に新しい風を運んでくれますね。モニタリングをしっかり行いながら、患者さんの通院負担やQOLの向上につなげていきましょう。
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