【2025年10月29日発売】マグミット錠100mg(酸化マグネシウム)の特徴、作用機序

『みなさん、こんにちは。今回は2025年10月に新たに発売された便秘症治療薬「マグミット錠100mg」について、簡単にまとめました。』

はじめに:マグミット錠100mgとは

便秘症は、排便回数の減少、排便困難、硬便などが持続することで診断され、腹痛、残便感、膨満感などを伴うことが多い疾患です。特に小児においては、排便の不快や不安、日常生活への支障が大きな問題となります。

酸化マグネシウムは、浸透圧性下剤として長年使用されてきた安全性の高い薬剤で、腸管内に水分を引き込むことで便を軟化させ、排便を促進します。従来、酸化マグネシウム製剤は小児の便秘に広く使われてきましたが、国内では小児向けの明確な用法・用量が承認されていませんでした。

今回発売された「マグミット錠100mg」は、小児が服用しやすいサイズへと小型化された製剤であり、同時に全マグミット製剤(錠・細粒)において小児の便秘症に対する用法・用量が正式に追加されました。小児の便秘治療における実臨床で大変使いやすい製剤となっています。

製品概要

  • 商品名:マグミット錠100mg
  • 一般名:酸化マグネシウム
  • 薬効分類:制酸剤・緩下剤
  • 製造販売元:マグミット製薬株式会社
  • 販売元:マグミット製薬(株)、シオエ製薬(株)、丸石製薬(株)、フェルゼンファーマ(株)、日本新薬(株)
  • 製造販売承認日:2025年8月25日
  • 薬価基準収載日:2025年10月22日
  • 発売日:2025年10月29日

作用機序と特徴

酸化マグネシウムは、以下の2つの作用を持つ薬剤です。

  • ① 制酸作用
    胃酸と中和反応を起こし、胃酸過多による刺激症状を改善します。炭酸水素ナトリウムと異なり、CO₂を発生させないため、腹部膨満を起こしにくい特徴があります。
  • ② 緩下作用(主作用)
    腸内で水分と反応して Mg²⁺ と OH⁻ を放出し、腸管内浸透圧を上昇させることで便を軟化し、排便を促進します。浸透圧性下剤として最も標準的に使用されている薬剤のひとつです。

さらに、今回発売の100mg錠は小児に配慮した小型設計であり、服用のしやすさと携帯性が向上しています。

効能・効果・適応症

  • 制酸作用と症状改善:
    胃・十二指腸潰瘍、胃炎、上部消化管機能異常(神経性食思不振、胃下垂症、胃酸過多症)
  • 便秘症
  • 尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防

用法・用量と投与時の注意点

成人:

  • 制酸剤:1日0.5〜1.0gを数回に分けて経口投与
  • 緩下剤:1日2gを3回に分割、または就寝前に1回投与
  • 尿路結石予防:1日0.2〜0.6gを多量の水とともに服用

小児:

  • 緩下剤として:20〜80mg/kg/日を2回に分けて食後に服用
  • 開始用量の目安:40mg/kg/日

注意点:

  • 腎機能障害のある患者では高マグネシウム血症のリスクが高まるため慎重投与
  • 悪心、徐脈、傾眠などは高マグネシウム血症の初期兆候
  • 他剤との飲み合わせに注意(後述の相互作用)

相互作用・代謝経路

酸化マグネシウムは主に「キレート形成」や「吸収阻害」による相互作用を起こします。




  • テトラサイクリン系抗菌薬:キレート形成で吸収低下

  • ニューキノロン系抗菌薬:同上、吸収低下

  • ビスホスホネート製剤:吸収率低下のため併用注意

  • 鉄剤:キレート形成で鉄吸収が低下

  • ジギタリス製剤:高Mg血症による不整脈リスク増大

  • 甲状腺ホルモン製剤(レボチロキシン):吸収低下の可能性

  • 経口セフェム系抗生物質の一部:吸収が阻害される可能性



飲み合わせ対策:

これら薬剤と服用する場合は、原則として2〜3時間の服用間隔をあけることが推奨されます。



代謝経路:

酸化マグネシウムは吸収率が低く、ほとんどが腸管内に留まり便中に排泄されるため、全身的な代謝負担は少ない薬剤です。

食事の影響について

食事の影響は大きくありませんが、通常は胃腸への負担が少ない食後投与が推奨されています。

主な副作用と安全性情報

主な副作用:

  • 下痢・軟便(特に高用量時)
  • 腹痛、腹部膨満感
  • 悪心・食欲低下
  • 高マグネシウム血症(腎障害や高齢者で注意)

高マグネシウム血症の症状:
悪心、ふらつき、筋力低下、反射低下、血圧低下、徐脈、傾眠など。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 便秘の原因が機能性か、器質性ではないか
  • 腎機能(eGFR)の確認
  • 高齢者・小児では副作用リスクの説明をされているか
  • 服薬中の抗生物質・鉄剤などとの相互作用の確認
  • 小児の体重をもとに用量調整しているか

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 100mg錠は小型で飲みやすい製剤であることを説明
  • 鉄剤・抗菌薬など相互作用薬との服用間隔は2時間以上あける
  • 下痢が続く場合は早めに受診するよう案内
  • 就寝前投与の場合は飲み忘れに注意
  • 小児には粉砕の可否なども相談可能であることを案内

ケアポイント(看護師向け)

  • 排便回数・便性状の継続的なモニタリング
  • 下痢・腹痛などの副作用チェック
  • 高齢者や小児の服薬管理のサポート
  • 水分摂取量や生活リズムにも目を配る
  • 服薬アドヒアランスに関する声かけ・フォロー

まとめ

『マグミットって昔からあるお薬やけど、小さくて飲みやすい100mg錠が出たのは嬉しいよね。小児の便秘ケアにもしっかり役立ってくれるはずやし、毎日の排便がもっと楽になりますように』

執筆者:薬剤師(大学病院)
参考・引用資料:添付文書、インタビューフォーム、適正使用ガイド、メーカープレスリリース資料など
※掲載内容には細心の注意を払っておりますが、古い情報や誤りを含む場合があります。最新の添付文書などをご確認ください。
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