
『みなさん、こんにちは。今回は2019年12月に新たに発売されたFGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症治療薬「クリースビータ」について、簡単にまとめました。』
はじめに:クリースビータとは
クリースビータ(一般名:ブロスマブ)は、FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症に対する国内初の抗FGF23抗体製剤です。くる病・骨軟化症は骨石灰化障害を特徴とし、FGF23の過剰産生によって腎からのリン再吸収が抑制され、低リン血症や骨の成長障害、骨痛、骨変形、歩行困難などが現れます。X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症(XLH)や腫瘍性骨軟化症(TIO)が主な原因疾患であり、従来の治療は経口リン酸製剤や活性型ビタミンD製剤による対症療法が中心でしたが、副甲状腺機能亢進症や腎石灰化などのリスクがありました。クリースビータはFGF23の過剰な作用を根本から抑えることで、より持続的で安定した血清リン値の是正と骨症状の改善が期待されています。
製品概要
- 商品名:クリースビータ皮下注10mg、20mg、30mg
- 一般名:ブロスマブ(遺伝子組換え)
- 製造販売元:協和キリン株式会社
- 薬効分類:抗FGF23抗体製剤
- 効能・効果:FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症
- 承認日:2019年9月20日
- 発売日:2019年12月6日
- 包装:1mL×1バイアル/シリンジ
作用機序と特徴
クリースビータはヒト型抗FGF23モノクローナル抗体で、過剰に分泌されたFGF23に結合しその作用を中和します。これにより、腎臓でのリン再吸収が増加し、血清リン値が上昇、骨の石灰化障害が改善します。従来治療では困難だった根本治療が可能となり、骨症状や生活の質(QOL)の向上が期待できます。
効能・効果・適応症
FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症や腫瘍性骨軟化症など)
用法・用量と投与時の注意点
●FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症(腫瘍性骨軟化症を除く):
・成人:4週に1回1mg/kgを皮下投与(1回最大90mg)。
・小児:2週に1回0.8mg/kgを皮下投与(増減可・最大2mg/kgまたは90mg)。
●腫瘍性骨軟化症:
・成人:4週に1回0.3mg/kgを皮下投与(増減可・最大2mg/kgまたは90mg)。
※体重ごとの開始用量、血清リン値の定期モニタリング、投与量調整が必要です。
相互作用・代謝経路
経口リン酸製剤・活性型ビタミンD3製剤(カルシトリオール等)と併用すると高リン血症リスクがあるため、基本的にこれらの薬剤は中止した上でクリースビータを開始します。
体内ではIgG1モノクローナル抗体として分解されます。
食事の影響について
食事の影響は特にありません。
主な副作用と安全性情報
- 注射部位反応(発疹・そう痒・疼痛など)
- 筋骨格痛、下肢不快感、筋痙攣
- 発疹、じん麻疹、悪心、下痢、腹痛、歯痛
- 腎結石、腎石灰化、血清リン増加、高リン血症、PTH増加、ビタミンD異常、カルシウム減少
- 倦怠感、頭痛、疼痛、めまい、ALP増加
高リン血症や腎機能障害、重度アレルギー反応にも注意し、定期的な血清リン値・腎機能の確認が必要です。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- FGF23関連低リン血症性くる病・骨軟化症の診断確認
- 重度の腎機能障害・末期腎不全・高カルシウム血症は禁忌
- 経口リン酸・活性型ビタミンD製剤の中止確認
- 体重・血清リン値等による用量設定
- 定期的な血清リン・腎機能・PTH測定
- 投与前・投与中の副作用説明、アレルギー歴・自己投与の可否
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 定期的な血清リン値・腎機能検査の必要性説明
- 副作用(発疹・筋肉痛・注射部位反応等)発現時の相談先案内
- 自己注射指導時は投与手順・廃棄法・副作用対応の確認
- 投与開始時の体重・用量の確認、投与間隔の遵守説明
ケアポイント(看護師向け)
- 注射部位や皮膚の観察・副作用早期発見
- 投与毎の体重・血清リン値・腎機能管理の支援
- 自己注射の技術・手順指導と心理的サポート
- 骨症状や歩行機能の変化観察・生活指導
まとめ

『クリースビータは、低リン血症性くる病・骨軟化症の根本治療を目指す新しい抗体製剤です。定期的な検査・副作用管理と多職種連携で、患者さんの生活の質向上を支援していきたいですね。』
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