ヴァンフリタ(キザルチニブ)の特徴・作用機序

特徴的なポイント
・ FLT3(FMS-like tyrosine kinase 3:FMS 様チロシンキナーゼ 3)に対して強力かつ選択的な阻害作用を示すクラスⅢの受容体型チロシンキナーゼ阻害剤である。
・ 急性骨髄性白血病の予後は、FLT3などの疾患特異的因子と患者特異的因子の両方に影響を受けるとされており、FLT3 内部縦列重複(FLT3-internal tandem duplication; ITD)変異は急性骨髄性白血病において最も高頻度に認められる遺伝子異常である。
・本剤は、FLT3 の ATP 結合ポケットに高い親和性で競合的に結合し、FLT3-ITD キナーゼ活性に対して高い阻害作用を有する。
・通常、成人にはキザルチニブとして 1 日 1 回 26.5mg を 2 週間経口投与し、それ以降は 1 日 1 回 53mg を経口投与する。
・本剤の投与により、QT 間隔延長があらわれることがある。

構造式または示性式

名前の由来

FLT3 の語感に由来する。

ステム

チロシンキナーゼ阻害薬:-tinib

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発売日

2019年 10月

メーカー

第一三共株式会社

適応

再発又は難治性のFLT3-ITD変異陽性の急性骨髄性白血病

作用機序

キザルチニブは、受容体型チロシンキナーゼである FLT3 に対する阻害作用を有する低分子化合物である。
キザルチニブは、内部縦列重複(internal tandem duplication; ITD) 変異を有する FLT3 に結合し、FLT3 を介したシグナル伝達を阻害することにより、FLT3-ITD 変異を有する腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。

代謝などに関して

キザルチニブ及び主な一次代謝物(AC886)はいずれも、CYP3A4 及び 3A5 によって代謝されると考えられている。
また、キザルチニブは P-糖蛋白(P-gp)の基質、及び AC886 は乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質であり、キザルチニブ
は P-gp を阻害した。

相互作用

注意
本剤は主に CYP3A により代謝される。

(1) 併用禁忌とその理由

特になし

(2) 併用注意とその理由

強い CYP3A 阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、ボリコナゾール等)

これらの薬剤等が CYP3A を阻害することにより、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。

CYP3A 誘導剤(リファンピシン、フェニトイン、カルバマゼピン等)、セイヨウオトギリソウ(St. John’s Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品

これらの薬剤等が CYP3A を誘導することにより、本剤の血中濃度が低下する可能性がある。

QT 間隔延長を起こすことが知られている薬剤(キニジン、プロカインアミド、オンダンセトロン等)

本剤及びこれらの薬剤はいずれも QT間隔を延長させるおそれがあるため、併用により副作用が増強するおそれがある。

重大な副作用

  • QT 間隔延長、心室性不整脈(Torsade de Pointes を含む)
  • 感染症
  • 出血
  • 骨髄抑制
  • 心筋梗塞
  • 急性腎障害
  • 間質性肺疾患

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