【2025年11月21日発売】フジケノン粒状錠125(ケノデオキシコール酸)の特徴、作用機序

『みなさん、こんにちは。今回は2025年11月に新たに発売された脳腱黄色腫症(CTX)治療薬「フジケノン粒状錠125」について、簡単にまとめました。』

はじめに:フジケノン粒状錠125とは

脳腱黄色腫症(CTX:Cerebrotendinous Xanthomatosis)は、胆汁酸合成に関与するCYP27A1遺伝子の変異により、一次胆汁酸であるケノデオキシコール酸(CDCA)の合成が著しく低下する希少疾患です。日本では指定難病に分類され、2023年度の特定医療費受給者証所持者数は54名とされています。

CDCAが不足することで負のフィードバックが働かず、コレステロールから代謝される中間代謝物「コレスタノール」が過剰に産生されます。血中コレスタノールは中枢神経系(脳・脊髄)、腱(アキレス腱など)、水晶体、血管壁など全身に沈着し、以下のような多彩な症状を引き起こします。

  • 小脳失調、錐体外路症状
  • 認知症様症状、精神症状
  • 白内障(若年期から発症)
  • 腱黄色腫(特にアキレス腱)

一度重度の神経症状が確立すると治療による改善は限定的であり、早期診断・早期治療が非常に重要とされています。CTX診療ガイドラインでも、CDCAの補充療法が治療の第一選択と位置づけられていますが、これまで国内では「CTXに対する効能・効果を正式に持つCDCA製剤」が存在しませんでした。

今回発売されたフジケノン粒状錠125は、国内で初めて「脳腱黄色腫症」を効能・効果に持つCDCA製剤であり、早期からの介入を可能とする新たな治療選択肢として期待されています。

製品概要

  • 商品名:フジケノン粒状錠125
  • 一般名:ケノデオキシコール酸
  • 薬効分類:脳腱黄色腫症治療剤
  • 製造販売元:藤本製薬株式会社
  • 効能・効果:脳腱黄色腫症
  • 規格:1包中125mg(5錠入りの粒状錠)
  • 承認取得日:2025年9月19日
  • 薬価基準収載日:2025年11月12日
  • 発売日:2025年11月21日

作用機序と特徴

ケノデオキシコール酸(CDCA)は、生体内の胆汁酸合成経路における主要な一次胆汁酸です。CTXではCDCA欠乏によりCYP7A1(胆汁酸合成の律速酵素)への負のフィードバックが働かず、コレスタノール産生が亢進します。

● フジケノン(CDCA)の作用機序

  • CDCAを外から補充することで、CYP7A1に対する負のフィードバックを回復
  • その結果、コレスタノールの過剰産生を抑制
  • 血中コレスタノール濃度を低下させ、臓器沈着・進行を抑える

CDCAはCTX治療の中心的役割を担うとされ、国際的にも早期治療の重要性が強調されています。フジケノンは直径約4mmの粒状錠であり、嚥下困難な小児・高齢者にも使いやすい製剤です。

効能・効果・適応症

効能・効果:
脳腱黄色腫症

用法・用量と投与時の注意点

成人:

  • ケノデオキシコール酸として1日250mgより開始
  • 250mgずつ増量し、維持量:1日750mg
  • 1日3回に分割し連日経口投与
  • 最大:1日1000mgまで
  • 1回あたり375mg超は不可

小児:

  • 1日量5mg/kgより開始
  • 5mg/kgずつ増量し、維持量:1日15mg/kg
  • 1日3回に分割
  • 上限:1日15mg/kg または 750mg(いずれも超えない)
  • 1回あたり250mg超は不可

注意点:

  • 維持量への漸増は2週間ごとに実施
  • 定期的に肝機能検査を行い、重度の肝機能障害があれば中止
  • 胆道閉塞がある患者には禁忌

相互作用・代謝経路

● 制酸作用を有するアルミニウム含有製剤(例:水酸化アルミニウムゲル)

  • 本剤の吸収が低下 → 効果減弱のおそれ
  • 機序:アルミニウムがCDCAを吸着し吸収阻害
  • 対応:できるだけ服用間隔をあける

● 陰イオン交換樹脂(コレスチラミン・コレスチミド)

  • 本剤と結合し吸収阻害 → 効果減弱
  • 機序:陰イオン交換樹脂がCDCAと強く結合

● ウルソデオキシコール酸

  • CDCAおよびUDCA双方の吸収が減弱
  • 機序:吸収が競合する
  • 対応:服用間隔をあけることが望ましい

● IBAT阻害剤(エロビキシバット)

  • CDCAの再吸収が阻害され、効果減弱のおそれ
  • 機序:胆汁酸トランスポーター(IBAT)阻害

● シクロスポリン・シロリムス

  • 本剤のコレスタノール抑制作用を打ち消す可能性
  • 機序:胆汁酸代謝への影響や免疫抑制剤の作用

● フェノバルビタール・プリミドン

  • 本剤の「プールサイズ」(胆汁酸量)を減少させる可能性
  • 機序:酵素誘導などに伴う胆汁酸代謝の変化

● 経口避妊薬

  • 本剤の胆汁酸プールサイズが減少 → 作用減弱

● 代謝経路(ポイント)

  • IBATによる吸収+腸肝循環で作用を発揮
  • 肝で抱合 → 胆汁排泄 → 再吸収の循環(腸肝循環)
  • アルブミン結合率約98.5%

食事の影響について

食事による明確な吸収変動の記載はありませんが、胆汁酸は食事刺激に応じて腸肝循環が変動するため、臨床的には「毎日同じタイミングで服用」することが推奨されます。

主な副作用と安全性情報

  • 肝機能異常(ALT/AST/ALP/ビリルビン上昇)
  • 鼓腸
  • 下痢、軟便、悪心、嘔吐
  • 食欲不振
  • 腹部不快感、腹部膨満感
  • 過敏症:発疹、瘙痒
  • 倦怠感、めまい、顔のむくみ

定期的な肝機能検査は必須であり、重度の肝障害が確認された場合は中止とされています。 また、胆道閉塞のある患者へは禁忌です。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • CTXと確定診断されているか(CYP27A1遺伝子、血清コレスタノールなど)
  • 早期治療介入が必要な症例であるか
  • 肝機能検査を投与前に実施したか
  • 胆道閉塞がないことを確認したか
  • 併用薬(制酸剤、陰イオン交換樹脂、UDCA、IBAT阻害剤など)をチェックしたか
  • 漸増スケジュールを患者・家族と共有したか
  • 小児の場合は、体重換算・上限量を厳密に確認したか
  • 14日分制限(2026年11月末まで)を考慮した処方設計か

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 漸増スケジュールの確認
  • 制酸剤・陰イオン交換樹脂・ウルソなどの併用薬の有無を確認
  • 肝機能検査の重要性を説明
  • 粒状錠(直径4mm)のため、小児や嚥下困難者にも服用しやすいことを説明
  • 腹部症状(下痢・膨満感)が続く場合は早めに医師へ連絡するよう指導

ケアポイント(看護師向け)

  • 服薬スケジュール(増量2週間ごと)を家族と共有
  • 肝機能障害徴候(黄疸、倦怠感、食欲不振)に注意
  • 腹部症状の訴えの変化を観察
  • 小児では体重変化を定期的にチェックし用量調整に反映
  • 併用薬が吸収阻害に影響していないか確認

まとめ

『フジケノンは、これまで選択肢が限られていた脳腱黄色腫症に、ようやく承認された大切なお薬ですね。早く始めるほど将来の症状を抑えることにもつながるので、患者さんやご家族と一緒に、無理のない服薬計画を作っていけたらいいな、って思います。』

執筆者:薬剤師(大学病院)
参考・引用資料:添付文書、インタビューフォーム、適正使用ガイド、メーカープレスリリース資料など
※掲載内容には細心の注意を払っておりますが、古い情報や誤りを含む場合があります。最新の添付文書などをご確認ください。
PMDA 医療用医薬品 情報検索

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です