
『みなさん、こんにちは。今回は2022年4月に新たに発売されたKRAS G12C変異陽性非小細胞肺がん治療薬「ルマケラス」について、簡単にまとめました。』
はじめに:ルマケラスとは
ルマケラス(一般名:ソトラシブ)は、2022年4月20日にアムジェン株式会社より発売された、KRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした国内初のKRAS G12C阻害剤です。KRAS G12C変異は、日本人非扁平上皮がんの約4.5%で認められる発がんドライバー変異であり、従来は直接標的とする治療薬が存在しませんでした。KRAS G12C変異はKRASタンパクを常に活性化状態に維持し、細胞増殖・生存シグナルの恒常的な亢進を引き起こすため、治療抵抗性や再発の原因となっていました。がん化学療法歴があり、増悪したNSCLC患者にとって、ルマケラスは新しい分子標的治療薬として治療選択肢を広げる薬剤です。
製品概要
- 商品名:ルマケラス錠120mg
- 一般名:ソトラシブ
- 製造販売元:アムジェン株式会社
- 薬効分類:KRAS G12C阻害剤(抗悪性腫瘍剤)
- 効能・効果:がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- 承認日:2022年1月20日
- 発売日:2022年4月20日
- 包装:56錠(8錠PTP×7)
作用機序と特徴
ソトラシブはKRAS G12C変異を有するKRASタンパクに選択的に結合し、KRASの活性化および下流のシグナル伝達経路を阻害する低分子化合物です。これにより腫瘍細胞の増殖・生存シグナルを遮断し、腫瘍増殖を抑制します。国内外の臨床試験では、がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性NSCLC患者で客観的奏効率やPFS延長が認められ、国内初のKRAS G12C標的薬として臨床現場のニーズに応えています。
効能・効果・適応症
がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
用法・用量と投与時の注意点
通常、成人にはソトラシブとして960mgを1日1回経口投与します(120mg錠8錠)。患者の状態により減量が必要な場合は480mg→240mgへ段階的に減量します。副作用発現時は休薬・減量・中止の対応を行います。粉砕や分割はせず、PTPシートから取り出して服用します。
相互作用・代謝経路
本剤はCYP3Aで主に代謝されます。CYP3A誘導剤(リファンピシン等)併用で有効性減弱、CYP3A基質薬・P-gp基質薬・BCRP基質薬(ジゴキシン、ロスバスタチン等)との併用で血中濃度上昇による副作用増加の恐れがあります。胃内pH上昇薬(PPIやH2ブロッカー)は本剤の血中濃度を低下させるため併用注意です。
食事の影響について
高脂肪食後にAUCおよびCmaxの増加が報告されていますが、臨床的意義は限定的です。基本的には食前・食後いずれでも服用可能です。
主な副作用と安全性情報
- 重大な副作用:肝機能障害(ALT/AST増加)、間質性肺疾患
- その他の副作用:下痢、悪心、疲労、嘔吐、腹痛、発疹、貧血、食欲減退、浮腫、頭痛、血液障害、皮膚障害、筋骨格症状
副作用発現時は速やかに主治医へ報告し、休薬・減量・中止など適切な対応が必要です。肝機能検査、胸部X線等による副作用の早期発見が重要です。
処方時のチェックリスト(医師向け)
- KRAS G12C変異陽性が確定した切除不能な進行・再発NSCLC患者か
- 化学療法後に増悪した症例か
- 肝機能・間質性肺疾患のリスク評価とモニタリング体制の確認
- 併用薬(CYP3A誘導剤、PPI等)・減量基準の確認
- 副作用のリスク説明と同意取得
服薬指導のポイント(薬剤師向け)
- 用法・用量、PTPシートからの取り出し服用の説明
- 副作用(下痢、発熱、肝障害等)や異常時の受診指導
- 併用薬(PPI・H2ブロッカー等)の管理
- 粉砕・分割不可、定期的な肝機能・血液検査の重要性
ケアポイント(看護師向け)
- バイタルサイン・副作用(下痢、発熱、皮疹等)の観察
- 肝機能・間質性肺疾患症状の早期発見と報告
- 服薬管理・生活指導・心理的サポート
まとめ

『ルマケラスはKRAS G12C変異陽性NSCLCに対する新たな分子標的治療薬です。定期的なモニタリングや副作用管理、多職種連携を大切に、患者さんにとって最善の治療をサポートしたいですね。』
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