【2025年10月23日発売】セタネオ点眼液(セペタプロスト)の特徴、作用機序

『みなさん、こんにちは。今回は2025年10月に新たに発売された緑内障・高眼圧症治療薬「セタネオ点眼液」について、簡単にまとめました。』

はじめに:セタネオ点眼駅とは

緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経が障害され、視野欠損が進行する疾患で、適切な治療が行われなければ失明に至ることもあります。日本国内では失明原因の第1位を占めており、早期発見と持続的な眼圧コントロールが極めて重要です。

治療の基本は眼圧を下げることですが、患者によっては既存治療が無効または使用困難なケースもあり、新たな作用機序を持つ治療薬が求められていました。

セタネオ点眼液0.002%(一般名:セペタプロスト)は、2025年10月に参天製薬より発売された、FPおよびEP3受容体を刺激する二環式プロスタグランジン誘導体です。プロドラッグであり、点眼後に角膜内で加水分解されて活性体となり、房水流出促進を通じて眼圧を低下させます。新規作用機序による治療選択肢として、今後の活用が期待されています。

製品概要

  • 商品名:セタネオ点眼液0.002%
  • 一般名:セペタプロスト
  • 製造販売元:参天製薬株式会社
  • 薬効分類:二環式プロスタグランジン誘導体/緑内障・高眼圧症治療剤
  • 製造販売承認日:2025年8月25日
  • 薬価基準収載日:2025年10月22日
  • 発売日:2025年10月23日

作用機序と特徴

セタネオはプロドラッグであり、点眼後に角膜内で速やかに加水分解されて活性体となります。この活性体がFPおよびEP3受容体を刺激し、房水の線維柱帯外流路およびぶどう膜強膜流出路からの排出を促進することにより、眼圧を低下させると考えられています。

従来のFP受容体作動薬とは異なり、EP3受容体を併せて刺激する点が大きな特徴であり、より強力な眼圧下降作用が期待されます。また、1日1回の点眼で効果を発揮するため、アドヒアランスの改善にも寄与する可能性があります。

効能・効果・適応症

緑内障、高眼圧症

用法・用量と投与時の注意点

用法・用量:
通常、成人には1回1滴、1日1回点眼する。

主な注意点:

  • 虹彩や眼瞼への色素沈着(メラニン増加)や多毛が報告されており、点眼液が皮膚に付着した場合は洗顔または拭き取りが必要。
  • 角膜上皮障害(点状表層角膜炎、糸状角膜炎など)が報告されており、眼痛・しみる・そう痒感などが持続する場合は速やかに受診するよう指導。
  • 他の点眼薬との併用時には5分以上の間隔を空けて使用すること。

相互作用・代謝経路

相互作用(併用注意):

  • 他の眼圧下降薬(FP受容体作動薬、β遮断薬、EP2受容体作動薬など)との併用により、眼圧低下作用が増強する可能性があります。
  • 他の点眼薬を併用する場合は、薬剤間の相互作用による眼刺激性や吸収への影響を避けるため、5分以上の間隔を空けることが推奨されています。

代謝経路:
点眼後、角膜内で速やかに加水分解され、全身循環に移行するのはわずかであり、全身的な薬物動態への影響は極めて少ないとされています。

食事の影響について

本剤は点眼薬であるため、食事の影響は受けません。

主な副作用と安全性情報

承認時までの臨床試験・調査結果における主な副作用は以下の通りです。

  • 眼痛、しみる感じ、そう痒感(角膜上皮障害含む)
  • 眼瞼や虹彩の色素沈着(長期使用で増加)
  • 眼周囲の多毛(特に下まつ毛)
  • 結膜充血
  • 異物感、流涙増加

重大な副作用:角膜障害が報告されており、症状が持続する場合には速やかに中止を検討する必要があります。

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 緑内障または高眼圧症の確定診断があるか
  • 他剤で効果不十分、または副作用のため継続困難な患者か
  • 皮膚や虹彩の色素沈着・多毛などへの注意喚起ができているか
  • 角膜障害の既往または併用薬との相互作用の有無を確認しているか
  • 他の点眼薬との間隔を指導できる体制か

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 1日1回、決まった時間に点眼するよう説明
  • 点眼後にまばたきを避け、数分間閉眼するよう案内
  • 皮膚についた場合は必ず拭き取るよう指導(色素沈着予防)
  • 使用後はキャップを清潔に保ち、冷暗所に保管
  • 異物感や目のしみなどが続く場合はすぐに受診するよう案内

ケアポイント(看護師向け)

  • 点眼状況(頻度・タイミング)を患者に確認
  • 目の周囲の変化(色素沈着、多毛)を観察
  • 角膜障害の徴候(眼痛、異物感、視力低下)に注意
  • 点眼操作が難しい高齢者には補助の工夫を提案
  • 点眼後のアドヒアランスに関する不安や負担感に寄り添った声かけを

まとめ

『セタネオは、新しい作用機序でしっかり眼圧を下げてくれるお薬やね。点眼も1日1回で続けやすいから、毎日のケアにうまく取り入れていけるといいですね』

執筆者:薬剤師(大学病院)
参考・引用資料:添付文書、インタビューフォーム、適正使用ガイド、メーカープレスリリース資料など
※掲載内容には細心の注意を払っておりますが、古い情報や誤りを含む場合があります。最新の添付文書などをご確認ください。
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