【2025年9月8日発売】リアルダ錠600mg(メサラジン)の特徴、作用機序

『みなさん、こんにちは。今回は2025年9月に新たに発売された潰瘍性大腸炎治療薬「リアルダ錠600mg」について、簡単にまとめました。』

はじめに: リアルダ錠600mgとは

潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis: UC)は、大腸粘膜に慢性的な炎症や潰瘍を生じる原因不明の炎症性腸疾患です。国内の指定難病のひとつであり、2023年度の特定医療費受給者証所持者数は約146,702人と報告されています。
症状は血便や粘血便が特徴的で、下痢・腹痛・発熱などを伴い、再燃と寛解を繰り返すことが知られています。治療の基本は炎症のコントロールであり、寛解導入と維持を目的とします。
軽症から中等症のUCでは5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤が第一選択薬とされており、リアルダ錠600mg(一般名:メサラジン)は、このカテゴリーに属する新しい経口製剤です。従来のリアルダ錠1200mgを小型化し、体重に応じて柔軟に投与量を調整できる点が特徴で、小児患者への使用も視野に入れた治療選択肢として注目されています。

製品概要

  • 商品名: リアルダ錠600mg
  • 一般名: メサラジン
  • 薬効分類: 潰瘍性大腸炎治療剤
  • 製造販売元: 持田製薬(株)
  • 製造販売承認日: 2025年6月24日
  • 薬価基準収載日: 2025年8月14日
  • 発売日: 2025年9月8日

作用機序と特徴

メサラジンは、腸管局所での抗炎症作用を示す5-ASA製剤です。その作用は以下の複数経路によると考えられています。
・活性酸素種の産生抑制および酸化ストレスからの細胞保護
・ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γ(PPAR-γ)の活性化
・転写因子NF-κBの活性化抑制による炎症性サイトカイン産生の抑制
・アラキドン酸代謝物(プロスタグランジン、ロイコトリエン)の産生抑制
これらの作用により、大腸粘膜の炎症反応を抑制し、潰瘍性大腸炎の症状を改善します。

リアルダ錠600mgは「MMXテクノロジー」という放出制御システムにより大腸で持続的に有効成分を放出する設計がなされており、1日1回投与が可能です。アドヒアランス向上に加え、小児UC患者における高用量投与にも対応できる点が大きな特徴です。

効能・効果・適応症

潰瘍性大腸炎(重症を除く)

用法・用量と投与時の注意点

  • 成人:通常1日1回2,400mgを食後経口投与
  • 活動期の成人:1日1回4,800mgまで投与可(状態により減量)
  • 小児(体重23kg超):通常40mg/kg(上限2,400mg)、活動期は80mg/kg(上限4,800mg)
  • 服用は必ず食後、錠剤は噛まずに服用する
  • PTP包装から取り出して服用(誤飲による穿孔リスクに注意)
  • 活動期投与は8週間を目安に有効性を評価し、漫然投与を避ける

相互作用・代謝経路

主に腸管粘膜でN-アセチルトランスフェラーゼにより代謝され、N-アセチルメサラジンとして尿中排泄されます。CYPを介した相互作用は少ないと考えられています。
一方で、アザチオプリンやメルカプトプリンと併用すると骨髄抑制が起こる可能性があり、併用時は注意が必要です。

食事の影響について

メサラジンの吸収は食事の影響をほとんど受けません。空腹時と食後で薬物動態は大きく変わらないことが確認されています。そのため、用法上は「食後投与」とされていますが、吸収効率よりも消化管への刺激軽減を考慮した設定です。

主な副作用と安全性情報

  • 重大な副作用: 再生不良性貧血、無顆粒球症、間質性腎炎、肝障害、膵炎、心筋炎、間質性肺疾患、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、Stevens-Johnson症候群など
  • その他の副作用: 発疹、頭痛、腹部膨満、下痢、血便排泄、尿異常(蛋白尿、血尿)、肝酵素上昇など
  • 副作用発現率は臨床試験で約17~26%程度と報告

処方時のチェックリスト(医師向け)

  • 重症UCではなく適応範囲に該当するか
  • 腎障害・肝障害の有無を確認
  • 骨髄抑制リスクのある薬剤との併用有無を確認
  • 8週間を目安に有効性評価を実施
  • 小児・高齢者では特に慎重投与

服薬指導のポイント(薬剤師向け)

  • 1日1回食後服用であることを説明
  • 錠剤は噛まずに服用、便中に錠剤が残ることがあるが有効性に影響はない旨を説明
  • PTPシートは必ず外して服用させることを強調
  • 腎・肝機能に異常が出る場合があるため、定期的な検査の必要性を説明
  • 副作用(発疹、尿異常、倦怠感など)を早期に報告するよう指導

ケアポイント(看護師向け)

  • 投与初期から排便回数・血便の有無を観察
  • 副作用として皮疹・発熱・呼吸症状が出ていないかチェック
  • 服薬アドヒアランス確認(特に小児患者では保護者へ指導)
  • 定期採血や尿検査のスケジュール管理をサポート
  • 患者が服薬継続に不安を抱えないよう心理的支援も重要

まとめ

『リアルダ錠600mgは、1日1回投与で服薬しやすく、小児から成人まで幅広く使える新しいUC治療薬です。患者さんの生活の質を高める頼もしい選択肢になりそうですね。』

執筆者:薬剤師[博士(薬学)]
参考・引用資料:添付文書、インタビューフォーム、適正使用ガイド、メーカープレスリリース資料など
※掲載内容には細心の注意を払っておりますが、古い情報や誤りを含む場合があります。最新の添付文書などをご確認ください。
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